番外編 チビエタ! スペシャル版 ゲスト:橘菊生(司シュタウフェンベルク役)
twitterでの人気アンケート
https://twitter.com/usagi_ya/status/1097131521876455426
……の、結果を踏まえて書きました。
二位が接戦だったので、この二人も出しています。絶対O者にも、少〜しだけ言及があります。
「ああ、君に届いているかい? わたしたちの声が。この歌が……! ラジオ・エターナルから飛びだした生放送。もう、声だけでは終わらない。めくるめく映像の世界へようこそ! チビエタこと『TVエターナル』、司会の馨流星と」
「俺様どなた様小銀丸様〜! の、中の人たちで!」
「待った待った。そういうの、アウトだから。これ、キャラ崩しちゃいけない企画だからね? さっき説明あっただろう? 聞いてなかったのかな?」
「キャラとかいう単語は大丈夫なの? スタッフさん、どうなの? つまり、運営さん的にはどうなのよ?」
「キャラが駄目なら、運営スタッフも駄目だよ。……ふふっ。どうやら企画の趣旨を説明し直さなければいけないようだ。だが、そんな無粋なこともできないな。生放送でもあるし、場の流れにまかせるしかないだろうね。ああ、これもすべて、美しい人の美しい笑顔のため。わたしは最善を尽くすと誓おう」
「あっ、ずりぃ! 俺もきらきらエフェクト出したい!」
「これはキーを打ち合わ……じゃ、ないよ。うん。わたしほどの若武者にもなると、しぜんと滲み出てくるものなんだ。光が、ね」
「つーかさ、3Dモデルのクオリティも、なんか流星のが良くね? 俺の、ちょっと手抜きっぽいっていうかさ」
「謝れ! スタッフさんに謝れ!」
「はい流星アウトー。スタッフっていったらアウトー。自分でいってたからなー、アウトアウトー」
「僕は、いつ入ればいいの、これ」
「いつなりと、君の心が赴くままに入りたまえ。そしてようこそ、今宵のチビエタへ! ゲストのご入場だ。黒鍵と白鍵をあやつるモノクロの貴公子、司シュタウフェンベルク!」
「らっせーい! わ、司のちびキャラ動いてるとこ、はじめて見たけど、なんか……ウゼ」
「ひどいなぁ。そんなこといわれると、もっと動きたくなるじゃないか。どう? こんな感じ?」
「よっしゃぁっ! モニター見ながら身をくねらせる菊生パイセンの動画をゲット! あとでインスタ見てねー」
「はい小銀丸、完全にアウトだね。しばらく、これを着けていたまえ」
「ふぐッ。ふぁふー」
「バッテン付きのマスクでおとなしくなるのか。これ、売ってほしいな」
「わかったよ。今度、売店に入荷するようにはからっておこう」
「学園の? 流星、そんな権限あるっけ?」
「なに、簡単なことさ。売店の店頭で、入荷をお願いする。それだけだよ」
「うっわ、きらきらしてる。……これはたしかに、やってみたくなるね」
「試してみるかい?」
「いや、いいよ。それより、小銀丸がおとなしくしてるあいだに進めよう。僕らがチビキャラで喋って歌って踊る、ラブエタのことがもっとわかる刺激的な生放送『チビエタ』は、まだ第二回ってことだけど」
「さすがだな……。司が来た、ただそれだけで、情報量が激増したぞ」
「ありがとう。まぁ、第二回ってことは、僕らも、配信を支えてくれているスタッフも、慣れてないということ。アクシデントなんかもあるかもだけど、それも含めて、楽しんでもらえる番組にしたいね」
「もちろん、楽しんでもらえるさ」
「なんだか自信がありそうだ」
「あるとも」
「流星は、確信を持ってるみたいだね。画面の向こうの皆に、伝わったかな? それじゃ、最初のコーナー、行ってみようか」
「誰が司会なのかわからなくなってきたが、行ってみよう。美しい人よ、ああ、どうかその手をとらせてくれ。さぁ、わたしたちと行こう、どこまでも!」
「いやー、それをアドリブでできるのが凄いよね」
「おや、まさかのアウト発言かな? 司にしては迂闊だね」
「アウトってなんのことかな? 今のはね、流星は凄いなって感心しただけだよ。事前に渡された台本はあるけど、だいたいの流れが書いてあるだけだし。それを盛り上げていく手腕がみごとだな、って思ったんだ。さすが司会をまかされるだけあるな、って」
「ははは、そういうことなんだね。でも、さすがといえば、司こそさすがじゃないか。その淀みない喋り! 司の舌には詩神が宿っているのかもしれないね。とても心強いゲストだよ」
「第一回のゲストは応慈だったんだっけ?」
「ああ……応慈は凄かったよ……。……うん。ともあれ、今日は第二回。一緒に盛り上げていこうじゃないか」
「てわけで、新コーナー! ドキドキ☆若武者クイズ! だぜ!」
「短い沈黙だったな」
「マスクを勝手に取ったら駄目じゃないか、小銀丸。ほら、おとなしくしていなさい」
「ふぎゅー」
「フリップを出すのはたのんだよ?」
「ふゅっ!」
「このコーナーは、クイズを通して、わたしたちのことをもっとよく知ってもらおう、という企画だね。今回は、ゲストの司にまつわる問題が出るわけだが……」
「なんだか緊張するな」
「四択が表示されるから、画面の前の皆は、ピンと来たのを選んでくれると嬉しいよ。回答数が多いほど、わたしたちも数字を出せるようになった、と学園に報告できるからね」
「数か……。自信ないなぁ」
「わたしたちは、アイドルとしても活動しているからね」
「まぁ、マスに発信していくからには、数字は重要になるよね。それはわかるけど、僕はこう……なんていうか、アイドルとしては地味だし。流星みたいに華のある人が羨ましいよ」
「自分を信じるんだ、司。自分を信じることは、皆を、世界を信じることだ。君を愛する美しい人たちも、君の信頼に応えたいと思っているはずだよ」
「わかった。画面の向こうの皆を、信じるよ」
「では、第一問」
「ふぁっふ!」
「小銀丸、さっそくのフリップお届けありがとう。問題、司の名字はどれ?」
「えっ、それクイズなの?」
「1.シュタウフェンベルク
2.シュタウフェンベルグ
3.シュタウフェンベルギー
4.シュタイフノクマカワイイ」
「……これはコメントしづらいな」
「なかなか面白い選択肢が揃ったね。司ならどれを選ぶ?」
「そのフリは無茶じゃない? いわゆる無茶振りってやつだよね」
「そうかな。君ならうまく返せるだろう、なにかこう……冴え渡った回答ってやつを」
「うーん。苗字って、基本的には自分で選ぶことができないものだからね、選べる機会ができたと思って考えてみることにしよう。……で」
「で?」
「僕なら、この中からは選ばないかなー」
「なるほど、なんのヒントにもならないね。さあ、回答は集まったかな? ああ、できるならわたしが手をとって、正解に導いてあげたいものだ」
「ところで流星は正解を把握してるの?」
「ははは、もちろんだとも。仲間の名字を知らないわけがないだろう! さあ、回答の時間は終わりだ。真実を聞く準備はできているかな、美しい人たち。正解は――小銀丸?」
「ふぁっふ!」
「ファンキーなブレイクダンスからのフリップ出し、さすが小銀丸だね。正解は、一番のシュタウフェンベルク! 正解率は六十二パーセントだ。過半数を軽く超えているじゃないか、素晴らしい結果だね」
「四番はまだわかるけど、三番に六パーセントも入ってることの意味とは……」
「平等を重んじるレディが全体を調整しようとした、ということだろう」
「思うに、流星の今のコメントで、正解以外を狙う人が、さらに増えるんじゃないかな」
「ところで、司は自分の名字は気に入っているかい?」
「いや、べつに」
「そうか。では第二問に行こう」
「ふっふー」
「エクセレントなターンからのフリップ渡し、ありがとう。さて……司の家族は世界的な音楽家一家、ということで有名だね?」
「おかげさまで、皆、元気に弾きまくってるみたいだね」
「では、問題。司の父上は、〈果てなき黎明〉の異名を持つ、世界的なヴァイオリニストだが――えっ、待って? なにこれ、かっこいい……〈果てなき黎明〉……」
「うちの父の異名が流星の心を撃ち抜いてしまったようだから、僕が出題を読み上げようか。第二問のつづきはこうだ。僕の母の職業は?」
「1.ピアニスト
2.オルガニスト
3.フェミニスト
4.アルピニスト」
「読み上げありがとう、流星。復活してくれて助かったよ。なんというかこう……出題のセンスが……」
「それより教えて欲しい。どうやったら、〈果てなき黎明〉なんてかっこいい異名を手に入れることができるんだ! わたしも欲しい」
「それ、訊いちゃう?」
「教えてもらえるものなら、是非とも」
「黎明、の意味はわかるよね? 夜明け、ってことなんだけど」
「そうだね。ああ、思い浮かぶようだよ……地平線の際がほんのりと白みはじめ、すべての輪郭が闇の中から淡く立ち上がる……その中に佇む、ひとりのヴァイオリニスト。彼の弓さばきは、あたかも曙光が世界を照らすがごとく、聴衆の魂をふるわせる……。それは昼と夜の間、朝ですらない。ほんのわずかな、奇跡のような時間を奏でる音と光の壮大な協奏曲。終わらないで欲しい一瞬を、永遠に変える音。ああ、なんて美しいんだ!」
「……わかった、そういうことにしておこう」
「えっ、なに?」
「その方が綺麗だし、ドラマティックだから。それにしよう。父のマネージャーにも伝えておくよ」
「よくわからないが……今のが真実に迫っていた、ということかな?」
「酒飲みが飲み明かして二日目に突入したけどまだ昼じゃないですぅー、夜明け前ですぅー、俺様のヴァイオリンもそういってますぅー……なんて主張したという、みっともないにもほどがあるエピソードの一億倍くらいかっこいいと思う、ということだね」
「……さて、回答はそろそろ終わりだ。わたしたちの会話に気を取られず、真実を見極めてくれただろうか。美しい人たちの邪魔をしていなければ良いのだが……さあ、終わりを告げる鐘が鳴り響く!」
「正解、ドーン!」
「小銀丸、今回も華麗なフリップ掲出をありがとう。君がいなければ、この番組がどれだけ地味になっていたかと思うと、感謝の念しかないよ。正解は、一番! ピアニスト、だね」
「たぶんフェミニストでもあるけど、職業じゃないからなぁ」
「では、三番に入ったこの八パーセントは、そこまで情報を収集しているレディたちによるもの、ということかな」
「前向きに考えれば、そういうことになるね。四番は、思ったほど人気が出なかったなぁ。さっきのシュタイフの熊の方が人気があった……まぁ当然か」
「シュタイフの熊は人気だもんなー」
「小銀丸、シュタイフ知ってるんだ。なんだか意外だな」
「知ってるよー。無茶苦茶もらうからね!」
「……ぬいぐるみの熊をあげたくなるタイプってことだな。なるほど」
「プレゼントについての分析が始まったようだが、それはそれとして、だ。司は母上のピアノについては、どう思っているのかな」
「どう、って」
「なにかあるだろう。好きとか嫌いとか。目標にしてますとか、タイプが違い過ぎて評価ができません、とか。どう?」
「あの人のピアノね。そうだな……うまい、に尽きるね」
「端的な表現だね」
「音楽の評価には、いろんな軸があると思うんだ。好き嫌いはもちろん、ソリストとしては最高なのに人に合わせるのは決定的に駄目だな、みたいな細かい事例の評価もあるだろう? その中で、もっとも客観的といえるのが、うまさについての評価だよね。母は、うまいピアニストだよ。それは保証できる」
「好きかどうか、とは別?」
「そうだね。そこは、ノーコメントでお願いしたいな。肉親の演奏については、どうしても客観的には語れないものだから」
「客観的かどうかは、求められていないと思うけどな」
「僕が、客観的でありたいんだ」
「なるほど、なるほど。じゃあ、最後のクイズだ。小銀丸!」
「小銀丸スペシャルスーパーアターック!」
「フリップを投げるんじゃないよ。でも、やんちゃなところも小銀丸らしくていいね。最後の問題は、全員に正解してほしいな。正解者の割合に応じて、光の音符が配布されることになっているのだから」
「これは気を抜けないね。僕も、いい感じのヒントを出せるように努力しよう」
「ふふ、頼もしい味方があらわれた、ということだね。では出題から、司本人にお願いしようか。司、これだ」
「僕が適合者に誘われて、ユニットへの参加を決めたときの、キメ台詞。……ええー、自分でキメ台詞とかいっちゃうの?」
「なにがいけないんだい?」
「……いけなくはないけど、いけてない気がする。まぁとにかく、キメ台詞だね。どれが正解かを答えて欲しい。再現ドラマを用意してある……って。なんか、恥ずかしいな」
「ドラマって……ゲームのイベントグラをそのま――ふぐっ」
「小銀丸、なんということだ。君の愛らしい兎の耳とは関係ない場所に、なぜかマスクの紐をかけられる部位が存在する……という秘密を、今日、わたしは知ってしまった! ああ……まぁともかく、マスクをつけたままでいてくれたまえ。よく似合うよ」
「ふぐふぐっ(皆、俺のインスタをチェキ⭐︎、と書いた手書きのフリップを振りながら画面外へ)」
「じゃあ司、再現ドラマをまず見てみようか」
「僕、見なくていいかな」
「見てみようか」
「わかったわかった、わかりました。じゃあ、お願いします。再現ドラマ、スタート!」
〜♪キャラソン♪〜
悔しそうな表情の司が、手を差し伸べている絵
「来るんだ。いや、来てくれ。僕を、助けると思って。君がこのまま、ここにとり残されるなんて、耐えられない。なぜなら、君は僕の――――――」
「思うんだけど、ピーで伏せると、ヤバいことを口走ってるみたいだね」
「司、なにをいうんだ。君が語る言葉は、君を愛する人たちにとってはすべて、ヤバいに決まっているだろう!」
「……それはない」
「いや、そうだ。愛する者の言葉は、すべてがヤバい。そういうものだ」
「いやもうそれはいいよ。で、なに? この選択肢、僕が読み上げるの?」
「読み上げるんじゃないよ」
「読み上げようよ。いや、読み上げさせてよ! 僕を助けると思って」
「再現ドラマでやるに決まってるだろう。生アフレコだよ」
「ここは面白企画として、流星が演じるっていうのは、どう?」
「司。君を愛する人たちの期待に応えるんだ。皆、待っているよ」
「……。じゃあ、一番から」
〜♪キャラソン♪〜
「来るんだ。いや、来てくれ。僕を、助けると思って。君がこのまま、ここにとり残されるなんて、耐えられない。なぜなら、君は僕の光、冷え切った魂を照らし、あたためてくれるかもしれない存在だから……」
「かもしれない存在だから、というあたりが実に司っぽいね」
「煮え切らない感じだよな!」
「小銀丸、黙れ」
「次、二番だぜ!」
〜♪キャラソン♪〜
「来るんだ。いや、来てくれ。僕を、助けると思って。君がこのまま、ここにとり残されるなんて、耐えられない。なぜなら、君は僕の太陽、冷え切ったこの身体を、あたためてくれるかもしれない存在だから……」
「えっこれどこが違うの」
「小銀丸」
「だってー、間違い探しみたいじゃ……フゴッ」
「司、疲れた顔をしていないで三番に行ってくれ」
「三番ね。行くよ」
〜♪キャラソン♪〜
「来るんだ。いや、来てくれ。僕を、助けると思って。君がこのまま、ここにとり残されるなんて、耐えられない。なぜなら、君は僕の保温ジャー。朝作ったお弁当が、お昼になってもこんなに暖かく! やっぱり、暖かい食事って……いいね」
「いいね」
「いいよね、暖かい食事ね」
「司、台詞はちゃんと情感をこめていたのに、終わるなりコメントが棒読みじゃないか。どうしたんだい?」
「台詞に情感を込め過ぎて、疲れた……ということにしてくれないか。もういい、一気にやろう。次は四番ね」
〜♪キャラソン♪〜
「来るんだ。いや、来てくれ。僕を、助けると思って。君がこのまま、ここにとり残されるなんて、耐えられない。なぜなら、君は僕のワンワンだからだ。お手! お座り! お散歩! ああ、なんて素晴らしいんだ。永遠にモフっていたい……!」
「ありがとう、素晴らしい演技だよ、司! まるで……まるで、そこに実際に犬がいるかのように感じた」
「モフモフしたいなら小銀丸の耳を使うといいよ」
「どっちの耳かな……マスクの紐を引っ掛けられる方?」
「それはトップ・シークレットだから。……まぁ、これは真面目に回答してもらいたいところだよね。光の音符に関わるからね」
「そうだね。ウケを狙って行くのは、台本を作ったスタッフだけでいいね」
「ていうかさ、なに、ワンワンって……もはやウケ狙いでもなんでもなくない? これ、台本書いた人、大丈夫? ちゃんと家に帰って寝てる? 人間らしい暮らし、できてるのかな? もしかして、忙し過ぎてずっと帰宅できてなくて、愛犬に会えない辛さが爆発したとかさ……あー、なんか悲しくなってきた」
「司、瞳が虚無を映しているよ」
「そうかもしれない」
「さあ、回答を締め切るよ! 皆の心がひとつになって、百パーセントの正解を目指してくれることを祈ろう……。正解は!」
「イッチバーン!」
「正答率は……残念、九十七パーセント! 一パーセントが保温ジャー、二パーセントがワンワンに心惹かれてしまったようだね……」
「光の音符ですら敵わない魅力ってことか。まぁ、わかる気もしないでもないけど」
「そうだね。あたたかい食事。あたたかいモフモフ。どちらも、生きる上でわたしたちに力をくれる存在だ」
「あと、お金も大事だよ」
「……小銀丸」
「小銀丸は、いつも自由だなぁ」
「お金があれば、あたたかい食事も、あたたかいモフモフも、どっちも買えるからな。でも、買えるからって全部買うのは駄目なんだって、師匠がいってた」
「師匠の言葉……ああ、わたしにも師匠と呼べる人が欲しかったな」
「俺の師匠は凄いんだぜ? 自分がほんとうに欲しいものがなんなのか、それを常に忘れないようにしろってさ」
「小銀丸、なんかずるい」
「……たしかにね。わたしも今、そう思った」
「えっ、なんで?」
「なんで、といわれてもなぁ……。司、うまく説明できるかい?」
「なんででも」
「司のくせに小学生みたい!」
「なんだそれ……」
「さて、司をゲストに迎えた今回のクイズ企画、楽しんでもらえたと思う。なぜなら、わたしたちを愛してくれる人たちは、楽しむ才能がある人たちだから。これからも、共に人生を楽しみ、喜びをわかちあわせてほしい。後悔は、させない」
「あっ、またきらきらしてる……いいなぁ」
「ふふっ。次は、ライブ・パフォーマンスを楽しんでもらおう。曲は、司の『君を巡る輪舞曲』、歌うのはもちろん司シュタウフェンベルク! そしてバック・ダンサーは、わたし馨流星と」
「小銀丸が、頑張っちゃうよー。きらきらしながら!」
「メイン・ボーカルより派手なバック・ダンサーと、うまく共存したいと思います。……あー、なんかトークの部分で疲れちゃって、振り付けが少し抜けてそう」
「俺がカバーするから大丈夫!」
「小銀丸、前に出過ぎたら駄目じゃないか。それに、まだ歌が始まっていないよ」
「それ以前に、移動してないし。はい、小銀丸も流星も、カメラの前から離れて。移動するよー、ここで歌ったり踊ったりするとモニターとかケーブルとかがピンチだからねー。大丈夫、カメラは一緒について来るから、こっちから行かなくてもいいんだよ。ほら! 行くよ!」
「司は頼りになるなぁ」
「バク転で移動していい?」
ライブは読者諸賢のご想像におまかせします。