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異世界爆誕!

食われるわけには行かない! こんなところで俺は……


「グルルルルルルル、ヴァンッ!」


地面が見えないほど草が生い茂り、いつも俺の上で輝いていてくれた真っ赤に前盛っている太陽の光は巨木によって遮られているこの森で俺は狼もどきに追い詰められていた。


何故狼もどきなのかは、見た目が普通の狼と違い身長162センチの俺のことなんて丸呑みできるくらい巨大だからだ。


そんな狼が喰いたそうにうなりながら、やっと追い詰めたぞと俺を睨んでいる。


おいおい、何だってこんなことに、まだこの世界に来たばかりだと言うのに。


「クソ! こうなったら相打ちでもいいから道ずれにしてやる! もしかしたら俺はこの世界に来て強大な力に目覚めたかもしれない!」


そんな希望にすがりながらどうやっても勝てない狼もどきに、先手必勝と襲い掛かった……




「や、やぁ…… さっき振りですね」


「さっき振りって、君もう死んだのか」


ここは俺が地球にある日本という平和な国で、死んでしまったときに訪れたあたり真っ白な不思議な場所だ。


俺はここで神様に死因を伝えられ、異世界へと送られた。


死んだ理由が異世界の魔王と勇者の戦闘の余波らしい。これは俺が生まれる前から定められていた運命であったらしい。まあそんな理由で可愛そうだからとその異世界に記憶を持ったまま送ってくれるらしい。


そして、ついさっき狼もどきが巨大な口を開いて俺がそれに突っ込んだところで記憶は途切れた。




またこの真っ白な場所に戻ってきてしまった。


「すいません、ですが理由はあるんです! まず森に送るのがおかしい。あれが無ければこんな早く死ぬことも無かったんです!」


そうだそうだ! 俺は悪くない! あんな危険な場所に送ったこの幼女が悪い! 爺さんみたいなしゃべりかたしやがって、可愛ければ何でも許されると思うなよ!


「ほお、ワシのせいにするか。いい度胸だな…… せっかくもう一度チャンスをやろうと思っておったのに」


「いや、もう一度しっかりと考えてみたら。森の中で異世界の喜びに叫びまくっていた俺が悪かったです。どうかもう一度チャンスをお願いします」


可愛いは正義、可愛いは正義である。


「ふふふ、心変わりが早いな。まあいい、もう一度だけチャンスをやろう。そしてその貧弱な体を死ににくくしてやろう!」


おお、さすが神様! これで俺の異世界ライフも安泰だ。


「ありがとうございます! 出来れば次はもっと安全なところに送ってください」


「仕方が無いの、どこか街の近くに送ってやろう。それじゃ送るぞ」


これから、俺の冒険が始まる! 異世界で成り上がり、美女達に囲まれたハーレムになるんだ!



「紹介できる依頼は薬草採取です」


「薬草採取だけですか?」


「はい、それだけです」




異世界にきて、早速街に入った俺は門番の人に働ける場所を聞きこの冒険者ギルドに来た。


冒険者ギルドは屋敷と言われてもおかしくないほどの大きさで、内装は酒場と冒険者受付所があり、酒場のほうでは冒険者風の男共が騒がしく飲んだり食ったりしている。


冒険者ギルドに入ると、異世界者では必ずといっていいほど絡まれると言うテンプレがあるのだがおれが入ったときには少し目線をこちらに向け興味をなくしたかのようにまた騒がしくなった。


受付には女の人がいる。俺はここに登録するため、受付嬢の下へ歩き出した。


「あの、冒険者になりたいのですがここであってますか?」


何か書類のようなものを書いていた受付嬢は声を聞き、ぱっと顔を挙げ笑顔で答えてくれた。


「冒険者登録ですね。こちらで受け付けております。ステータスを確認しますのでこちらの水晶に手をかざしてください。そうすることで私たちが冒険者の人たちにちゃんとしたレベルのクエストを紹介できます。確認しないと言う人は、こちらの用紙に名前、種族を書いていただければ、登録は出来ます。クエストは自分で探すことになります」


もちろん、ステータスも確認でき、クエストも紹介してくれる前者でお願いする。


水晶の上に手を置くと、若干の光を見せ、その光が文字のようになりそれを受付嬢の人が用紙に書き写していった。


書き写している途中受付嬢の顔が少しずつゆがんでいき、書き写し終わるころには笑いをこらえるように肩を震わせながら、ステータスを書いた用紙を俺に渡してきた。


「こ、これがあなたのステータスです…… ふふっ」


なんかとても嫌な予感がする。だが見るしかないので、用紙を受け取りステータスを確認した。


名前 センヤ       


種族 人間?   レベル1


生命力 ∞


魔力 1


攻撃力 1


防御力 1


敏捷 1


スキル なし


魔法 なし



名前が苗字が消え、名前だけになっていた。なぜ名前だけなのかは分からないが特に困ることが無いので、これからはセンヤということにする。


ステータスのほうは、生命力はおかしいと言うことだけが分かった。確かあの幼女がしににくくしてやるといっていたからそのせいだろう。


それにしても、生命力以外のステータスが悲惨なような気がする。


「確認できましたね。これが冒険者ギルドカードです。初回は無料ですが紛失などした場合再発行に金貨1枚必要になりますので注意してください」


さっきまで笑いをこらえていた受付嬢は表情を元に戻し最初に見せてくれた笑顔だった。


「ありがとうございます。早速依頼を受けたいのですが、何か言い依頼ありますか?」


そういうと、受付嬢は笑顔を崩しかけたが、すぐに笑顔を作り直し、少し待っててくださいといい、奥に行ってしまった。


少し待っていると、受付嬢が戻ってきた。


「お待たせしました。セニヤさんに紹介できる依頼は……」




俺は今、街から出て、少しさきにある森で薬草を探していた。


「薬草採取しか紹介できるクエストが無いとか……」


まさか生命力だけカンストして他のステータスは初期っていうか最小という


薬草も見つかんない。なんか泣きたくなってきた。


薬草はそこらいったいに生えているらしい。


なのに見つかんないとかもしかしたらステータスに乗っていない運まで最小だったりしてな


「まさか、そんなことはないよな?」


そんなことは無いはずだ。



嫌な予感を振り払い、ひたすら薬草を探した。


日没。やっと見つけた薬草1束を冒険者ギルドの受付嬢に渡し始めての依頼をクリアして今日は疲れたためついでにお勧めの宿も聞いて今その宿屋、あの有名な冒険者が泊まった宿と言う名前の宿屋に向かっている。


あの有名な冒険者って誰だよともいいたいが、結構人気な宿屋らしい。


可愛い看板娘がいたらいいなと思いながら、その宿屋の前に着いた。


「ここが有名な冒険者が泊まったことのある宿屋か、普通だな」


「いらっしゃませ! お泊りですか? お食事ですか?」


きました! 可愛い看板娘確定だよ!


髪がロングで華やかな笑顔がとても似合う、可愛らしい女の子だ。背は150センチぐらいと小さめで声はまだ声変わりのしてないように可愛らしく、小学生と見間違えてしまうほどだ……


「泊まりたいのだが部屋は空いているかい?」


俺は変態ではない。幼女に欲情などしない。愛でることはあっても欲情はしない。怖がらせることないよう優しく声をかけた。


「空いてますよ! 1泊2ギンギになります」


今手元にあるお金は薬草採取で手に入った1ギンギ50ドルドしかない。


やばいこのままじゃ泊まれない! だがこの幼女にかっこ悪いところを見せるか? お金がありませんとか言ったら。たった2ギンギのお金も無いの? 何しに来たの? とか思われたりしないだろうか。


いつまでも返事を返さない俺に幼女は首をかしげながら


「あの? 2ギンギになりますが、お金ないんですか?」


まあいつまでも財布(ギルドでもらえた皮袋)を見ながら一言も言わなければそう思うのも当たり前だ。ここは素直に言ったほうがいいだろう。


「しまった! 財布を落としてしてしまったようだ! お金が無い! いったいどうすれば…… 外で寝たりなんかすると起きたら奴隷になってましたとかなるに違いない! いったいどうすれば」


「えっと、その袋にお金が入っているのではないのですか?」


「いや、これは…… そう! これに財布を入れていたんだ! だけど見たら空っぽ、どうにかちゃんと寝れる場所でもないのだろうか?」


そんなどうみたって嘘っぽい俺に幼女はさっきまでの笑顔が消え一言、無表情で言ってきた。


「馬小屋なら50ドルドで泊まることが出来ますが、どうします?」


「泊まらせてもらいます」




馬小屋は意外と広く俺が余裕で寝れるスペースがあり、臭いはあるが意外と布団代わりの藁が気持ちよくすぐに意識を手放した。



「もう昼ですよ。いつまで寝てるんですか?」


今俺は、寝起き早々命の危険を感じていた。


目の前にはいつまでも寝ている俺を起こしに来た看板娘が包丁らしきものを持ちながら不気味な笑顔で佇んでいる。


「も、もう昼か。いや、馬小屋の藁が意外と気持ちよくてよく寝れた。俺が起きるのが遅かったのはすべてこの藁が悪い!」


いつまでも寝ていた理由を正直に訴えた。


「そうですか。なら次からは土の上で寝てもらいます。さぞ寝心地は悪いでしょうが、早起きは出来るでしょう」


そういい、さっきまで布団代わりにしていた藁を持っていこうとする看板娘に


「すいません! 私が悪かったです。どうか土の上だけは勘弁してください」


日本人の必殺技、土下座を繰り出した。




「そんなことがあったんですよ」


冒険者ギルドに来た俺は早速今朝(昼)あった出来事を受付嬢、ミルフちゃんに話していた。


「はぁ…… それで薬草採取以外の依頼を受けさせてくださいと?」


「このままじゃ、また馬小屋の藁に眠りという混沌に落とされてしまう」


そうだ、このままじゃ命が危ないのだ今度寝坊でもしたらあの包丁を振り下ろされるかもしれない。一刻も早く馬小屋から出てちゃんとした部屋に泊まらなければ。



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