女の子みたいだし!
死にたい。
僕の後頭部は禿げていた。
やけどは治っていたので治療してくれていたのだろう。
ギルドで爆笑されてから気づいたのだが、彼女たちは当然知っていたのだ。
僕が嫌気をさしてパーティー抜けてしまう心配ではなく、僕の後頭部が涼しくなっていることを不憫に思って静かだったのかもしれない。
真相は彼女たちの心の中だ。
ギルドから彼女達と宿に移動したのだがお金が足りなくて呆れた表情をされ。
防具も服もボロボロだった僕はユキの制服の予備を貸してもらう事になった。
防具を買うお金などどこにもなくどうしようもなかったのだ。
初めはスカートを着せられそうになったが死ぬ気で抵抗して、ホットパンツで勘弁してもらった。
いくら僕が華奢でもバレると思うのだが女の子みたいだし大丈夫でしょと軽く流された。
後頭部を隠す黒髪ロングウィッグも貸してくれたきっと彼女たちは天使なのだろう。
冒険者になったんだし、男女一緒でも慣れていかなきゃねと四人部屋でみんないっしょだ。
お金は4人部屋ならなんとか足りた。ギリギリ。
何としてもパーティーを軌道に乗せて防具と服をそろえるのが急務だ。
4人になったし稼ぎも4倍にしないとな。
彼女達が順番でお風呂に入るそうなので、その間に各々と話し合って戦力の調査を行いたいと思う。
「ミズハちょっといいか?」
「な~に?」
「ミズハの使える魔術についてちょっと教えてくれないか?」
うんいいよとニコニコと寄って来て僕の隣に座ってくる。なんで隣に座るんだ。
ちなみに僕はベットに座っていたので自然と肩が触れている。どうも手元の紙が気になるらしい。
僕の手元を覗き込んでいるせいで、彼女の胸元が自然と目に入って来てしまった。デカいな。
当然部屋にいたユキもこちらが気になるのか反対側に座ってきた。
「……私のは?」
「順番ね次はユキだから」
彼女ものぞき込んでいるがその胸元はなだらかだった。制服を僕が着ても胸に違和感なかったしね。
僕が穏やかな瞳で見つめて居たのにきづいたのか、小首をかしげている。
二人から一通り使える魔術を聞き出しまとめているとカレンがお風呂から戻ってくる。
「随分熱心だね。リーダーさん?」
左右に女の子たちを侍らせているように見えたのかその視線は若干冷たく感じた。
「みんなの使える魔術を聞いて何かできないか考えてたんだよ」
へーと若干疑ったような返事が聞こえたが僕は気にしなかった。やましいことは何もない。
「二人とも女の子なんだから男の子にくっ付いちゃだめだよ」
カレンが二人にいうとふたりはちょっと首をかしげつつ。
「「女の子みたいだし?」」
ウィッグで禿を隠しユキの制服の予備に身を包んでいる変態こと僕は床に崩れ落ち泣いたのだった。
カレンが憐みと呆れた表情で目をそらしてほっぺをポリポリやっていた。
「カレンは使える魔術教えて!ミズハは僕に《浄化》!ユキはお風呂!」
僕は泣きながら毛布に包まってリーダ―権限を行使したのだった。
初めて女の子と一緒部屋に泊まったのになんの感慨もなかった。畜生!