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転機

「にいさん。起きてください。」


ゆさゆさと体がゆすられる。頭が割れるように痛い。僕は砂漠でどうしたんだっけ。

目を開けると差し込む光に顔をを顰める。


「えっと僕どうしたんだっけ?」

砂漠の暑さでたおれたんですよ。気を付けてくださいね。と妹がくすくすと笑っている

どうやらみんなが運んでくれたらしい。


よく考えればいつでも屋敷に戻ってこれるんだ。わざわざいつまでも砂漠にいることもないもんな。


「えっとみんなは?」


「先に休んでもらいました。」


どうやら今は深夜らしい。みんなでいる必要もないもんな。寝ていてくれてもよかったのに。

こうして妹と二人で過ごすのは久しぶりな気がする。


なんで深夜におこしたんだ?ちょっと嫌な予感がする。


「約束覚えていますよね?」


「なんだっけ?」

とりあえずごまかしてみる。妹はにっこり笑って僕を見ている。




「にいさん。本気で言ってます?」

まずいな。これは否定してはいけない、妹の目が赤く光っている。


「わかった。なんでも言うこと聞くよ。」

「じゃあ家に帰りましょう?にいさん。」


帰るも何ももういるじゃないか。いや家というのは僕たちの育った家か。


「どうしたんだ急に?旅が嫌になったのか?」


妹は否定も肯定もしない。


「いつまで旅を続けるんです?」


いつまでって。カレン達は続けたいだろうし。このままみんなで飽きるまで続けるのか?

彼女達も家に戻らずに旅を続けるのだろうか?


「いつまでも一緒にはいられませんよ?」

わかってる。


「わたしを捨てていきますか?」

出来るわけない。


「いつまでも子供じゃいられませんよ?」


僕が答えられないでいると妹は出て行ってしまった。


行かせて良かったのだろうか?もう遅いけどね。


今日はもう寝てしまおう。



翌朝。いつもどおり妹は僕の背中に張り付き血をペロペロやっている

耳元で妹が呟いた

「もう少しだけ待ってあげますね。」

振り向くとにぱっと薄くて真っ赤な唇から犬歯を見せていた。



おはよーとみんなが起きてくる。僕の様子を見ているうちにみんな眠ってしまったようだ。

元気になってよかったね。ニッコリと微笑む彼女達と僕はいつまで一緒にいられるのだろうか。


僕の後ろの妹の顔は僕からは見えなかったが。きゅっと力がこめられた。






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