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決壊すんぜん!

「んーんー」


ヒカリが若干苦しそうな声を出している。許してくれ僕だって本当はこんなことしなくないんだ。


「騒いだって助けは来ないぞ?」


そうこないのだ。


僕は家出した。勝手口で猫にたかられていたヒカリを道づれにして。


家出から二時間が経った。それなのにまだ誰にも見つかっていない。探している気配すらない。


今はヒカリと宿で二人っきりだ。部屋から逃亡しようとしたヒカリは縛らせてもらった。

お手洗いがどうこう言っていたがブラフだ。


酷くないか?最愛の兄が家出して探しに来ない妹もリーダーが失踪して探しに来ない仲間も。


僕だけ仲間外れにされていたそんな事実を突きつけられて僕は涙していた。


「ヒカリ許してくれ。みんなが悪いんだ。設置してたのに教えてくれなかった君もいけないんだ」


かわいそうなので口だけ解放してあげる。顔を真っ赤にしながら必死に膝をこすり合わせても無駄だよ。


「もうこんなひどいことはやめてください……ほどいて」


涙目でモジモジしてるのを見ると心が痛む。でも僕も心が痛かったんだ。


ノックが聞こえる。誰だろうか妹は僕が家出しても2カ月放っておかれたからカレンたちだろうか?


「にいさん、ちょっといいしら」

妹め。迎えに来ても僕は戻らないぞ!


「僕達は帰らないよ」


ヒカリには悪いがこれはアイデンティティをかけた戦いなのだ!

ヒカリは絶望的な顔をして歯を食いしばっている。


「それはいいけど、話があるわ」


いいのか。ほんとにかえらないからな?ほんとだよ?


「なに?」


「三人が攫われたわ、騎士に捕まって貴族の馬車に乗せられていたから首都にでも連れていかれたんじゃないかしら」


「は?」


3人が攫われた?さっきまで屋敷にいたじゃないか?


「外に出た時に見つかったみたいよ」

妹は無事だったみたいだが3人を早く助けないと。

よく無事だったなと聞く。


「だって私は関係ないもの」

いやたしかにお家騒動には関係ないかもしれないけどさ?なかまでしょ?寂しいよ?


みんなすぐ行く!僕は駆け出して勝手口までの道をもどる。

現場に手がかりが残って居るかもしれないからだ。現場百辺ってだれかがいってたし。


ミズハのスライムがいた。ミズハが手掛かりに残していったのかもしれない。使い魔なら魔力で繋がってるはずだしな。


妹が追い付いてくる。ヒカリはどうした?


「知らないわ」


慌てて宿に戻るとヒカリは泣いていた。慌てて紐を解くと慌てて走っていった。


僕が間違ってた。どうか殴ってくれ。頭を床に擦りつけるとヒカリは潤んだ瞳で微笑んで許してくれた。


天使か。



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