いのちだいじに!
「にゃあ。ん…なあ。猫達が迷宮内までついてきてるんだけど?」
「この子達に探索させますからね」
それって大丈夫なのか?食べられちゃわない?
「平気ですよ……きっと」
「平気なわけないでしょ!家に帰らせなさい!」
「……迷宮内はどうなっているかわからない。駄目」
「やめてくださ~い」
うるさいですねえとそっぽを向いている妹にカレンたちが食って掛かる。
でもひどい目にあうと判っていていて連れて行く事はできない。かわいそうだしね。
「うちの猫だけにしなさい」
何言ってんだ?見たいな目で見るんじゃないよ。全部おとりに使うつもりだったの?怖い!
じっと見つめて首を横に振っていると。
にいさんは優しいですねとか言ってヤレヤレしている。それやめなさい。
黒猫がなあとなくとあれだけいた猫が去っていった。二度と悪いヴァンパイアについてっちゃだめだよ。
「冗談ですよ」
クスクスと笑いながら後ろに手を組んで散歩するように進んでいってしまう。
急いで後を追いながらカレンに火で明かりを頼むと睨まれた。ヒカリに頼むからいいもんね。
「ミズハ敵が出たら顔の周りに水を出してユキが凍らせてくれ」
綺麗に素材取りたいし解凍めんどくさいもんね。
なぜかカレンが目を見開いている。だから明かりだそうって言ったのに。
不満そうにしていたのでエリアマナヒールをかける。
「エリアマナヒール死ながら進むから魔術の武器も出しておいてくれ不意打ちがあるかもだしね」
カレンが目を吊り上げてエリアマナヒールを問い詰めてきた。
だいぶ前から使えるというと、報連相が大事でしょだって。
自分たちだって無詠唱でキャストタイムもほぼゼロになってるじゃん。
ちょっとだけむくれて目をそらしてしまう。
だから気付かなかった。先を歩く黒猫がなぁと鳴いて妹が何かを飛び越えたことに。
猫の脇を通ると床がガコと音を立てて抜けていた。
迷宮最初の犠牲者は僕だった。
「あっ」
落ちると覚悟を決めた瞬間後ろから抱きとめられた。言い争っていたカレンだった。
咄嗟につかんでくれて助かった。さっきはごめんね。ありがとう!
「何やってるんですか?にいさん」
呆れた顔でよってくる。危なかったんだから心配してよ!
あれぐらいじゃ死にませんよ。それに猫がちゃんと教えてくれてたじゃないですかとクスクスわらっている。
猫の言葉はわからないし。そういうことは先にみんなに教えなさい!報連相すごくだいじ!
耳が痛かった。
カレンごめんね。僕が悪かった。
カレンは笑顔で許してくれた。 やっぱり天使か。




