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にゃあにゃあにゃあ!

今日は迷宮探索初日だ。カレンの泣き落としで反則気味だったパーティー会議だったが、僕がこのパーティーのリーダーだ。

彼女達と一緒に一流冒険者を目指そうと決めた。


朝食をとりつつみんなに注意事項を伝える。戦闘で気を抜かないこと。罠に気を付けること。物資は潤沢に買いそろえたがいつ地上に戻れるかわからないので覚悟するようにとだ。


水晶庭園から迷宮都市の目立たない路地裏までもどる。

僕の足元からふぎゃと声がした。


「踏まないで下さいね。にいさん」


妹が僕の足元から黒い毛玉を拾い上げる。猫だ。かわいいね。

一匹だったらね。猫が辺り一面に控えていた妹を女王のように敬っている様だ。屋根の上にも、路地も埋め尽くしている、百や二百ではきかない。


みんなも目を丸くして驚いている。


「なんだこれ?」


「私の使い魔ですよ。にいさん」


妹が何事もないかのように答える。だって昨日までこんなのいなかったじゃん?

ミズハも使い魔欲しいって言ってるのになんで黙ってるの?


「だってこの子昨日出会いましたから。残りはこの子が集めたんで知りませんよ」


抱いている黒猫は僕の方を見てにゃあと鳴いた。妹とお揃いの真っ黒い体に真っ赤な瞳をしていた。

大丈夫だよね町中の猫連れてきてないよね?


「大丈夫です」

怪しい笑みを浮かべながら信用ならない返事が返ってくるだけだった。


カレンたちは最初はびっくりしていたがそれぞれ猫を抱いていた。ミズハはなんか泣きそうだった。


「かわいいねぇよちよちよち」

カレンが似合わないような似合っているような猫なで声だしていた。かわいいね。

じっと眺めているとかおを真っ赤にして猫を投げ出していた。生ものは投げちゃいけません。


ユキの頭には猫が乗っていた。肩にも二匹乗っていた。だんだん増えていくと背中に圧し掛かられてつぶされていた。無抵抗過ぎだろう。慌てて掘り出してあげたが毛だらけだった。


ミズハは使い魔の件でしょんぼりしている。待っててくれ。説得して見せるから。それまでは僕が使い魔さ。

妹から冷たい視線を感じて振り返ると。

後ろで手を組んでどんどん迷宮の方に向かっていく。猫たちも一斉にそれに続いていった。


後ろでヒカリが何やらごそごそやっているので。急ごうと声をかけてみんなで迷宮にむかった。


街では目立ちまくったが不思議と声はかけられなかった。かわいいのにね。


迷宮の衛兵は僕たちが付くと虚ろな目をしていた。また魔眼をつかったな。大量猫誘拐犯の便利すぎる妹だ。


僕たちは迷宮に足を踏み入れた。

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