たんさくしよう!
今夜泊まる宿に到着し手早く食事を済ませた僕たちは水晶小箱の中に入る。
箱の外から見えていた景色が広がっている。とても静かで小動物の気配しか感じない。
みんな感嘆の声をあげている。人の気配がないが誰もいないのだろうか。
屋敷に近づくと誰かに管理されているかのような庭園が見える。
そこを通り抜け屋敷のエントランスに入る。みんなは今にも探索に行きたそうだが何者かがいるかもしれない。妹に鍵を手に入れた場所に案内させる。
鍵かけからは6本外されているようだ。
「持ち主が失われると自然にここに戻る仕組みみたいですね」
僕の背中に取りついた妹がそういってくる。
「ここでは僕の影に入ってなくても平気だろ」
そういって妹を引きはがす。
普段は好きにさせているが彼女が背中に抱き着いているときは僕の影の中にいるのだ。
魔力を受け取ったり日差しが苦手な彼女はよく避難している。けして趣味ではないのだ!たぶん。
血をなめるのは嗜好のためらしい。他人にはしないように言い含めている。
イーっと牙をむいてみんなを連れて出て行ってしまった。大丈夫だろうか。
5本の鍵は僕たちが持っているがあと一本は誰かが持っているはずなのだ。
僕も屋敷の探索を行うことにした。
一時間ほど見て回って気になる部屋を見つけた。鍵がかかっていたのだ。ほかの部屋は鍵などついていなかったし不思議な感じがする。ふと思いついて屋敷の鍵で開けてみると。
低い音を立ててゆっくり開く扉の中を覗くと天蓋付のベットの上に棺桶のような水晶が置かれていてその中には長い金髪を両側で結んだ裸の少女が眠るようによこたわっていた。
胸に組んだ手の中に同じカギが握られている。僕ら以外が持つあと一本なのだろう。
しばらく惚けて眺めていた。光の魔力を反映する金色の髪は珍しい。手のひらサイズか。がんばれ。
おぞるおそる触れてみると水晶の棺桶は魔力の結晶のようだ。僕の能力で吸収できるかも知れない。
どんな理由があるかは解らないが開放してあげようか。
棺桶は消え少女が解放される。謎の光が彼女に纏わりついているが危険はなさそうだ。
顔を覗き込むとパッチリと目が見開き僕と目が合うお互い見つめ合うが彼女はむくりと起き上がり自分の体を確認すると屋敷中に響きわたる大声で叫び蹲った
みんなが集まってくるまで僕は彼女をぼーっとみていた。 役得!




