ねーさん!
生まれ故郷の村についた。相変わらず昼間なのに薄暗くて陰気な村だ。
人っ子一人歩いていないが僕の生まれ故郷なのだ!
だから後ろで廃村だとか……不気味だとか青い顔しているミズハとか文句を言ってやらねばなるまい。
ミズハ怖いの苦手なのか?でも失礼だぞ!ゴーストなんか出ないよ。
振り向くと他の二人も僕の後ろを指さして青くなってアワアワやっていてちょっとむっとしてしまう。
振り向いてもほら僕しかいないじゃないか。
黒いロングの髪に赤い瞳真っ赤で薄い唇病的に白い肌。ヘッドドレスに古式ゆかしい給仕服。
一回まわってにぱっと笑顔から覗く可愛い犬歯。僕と瓜二つのパタパタとしている少女。
あ、これ僕じゃない可愛い妹じゃないか。
「にいさ……いやねえさん?」
「いやにいさんです。ただいまザクロ」
しまった女装の噂が立つのをしっかり防いでいたのに女装をしたまま里帰りしてしまった。
まだ禿げてるしもういいや。
「ちょっとこれは事情があって」
折角帰って来たんだしゆっくりしてねとパタパタと家に向かう妹に付いていく。
家に入るとやけに玄関口が騒がしい。妹がどなたですか?と不信がっているじゃないか。
ヤバイ。みんなを忘れていた。
ごめん僕のパーティ―の仲間だよと伝えると妹の目が一瞬細まったきがした。
「ごめんみんな。僕の妹のザクロだよ。」
みんなの紹介をしようと振り向くと妹とパタパタと首に抱き着いてきた。昔はよくこうしていたが今はみんなの前なので恥ずかしいのでやめてほしい。
照れ隠しに父さんと母さんのことを聞く。妹がパタパタと3年前に父さんは山に芝刈りに母さんは川に洗濯にいったばかりじゃないですかという。そうだった。旅に出るまで二人っきりだったじゃないか。
妹にかまっていて忘れたのに怒ってしまったのか、みんなの方から魔力の高まりを感じる。
目をあげるとみんなが強力な魔術をまとっていた。
カレンは真っ赤に燃えている炎の剣を両手に持っていた。
ユキの頭上には氷でできた槍が5本浮いていた。
ミズハの手には水で出来たハルバートが握られていて穂先は激しく流れ続けていた。
僕は妹に抱き着かれながらそれをただ見ていた。パタパタパタと妹が喜んでいるがどんな表情をしているのかは僕からは見えなかった。
でもそんな魔術つかえたんだなと感心してつぶやく。
成長したって教えたじゃないと怒られた。そんな話したっけ?