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ゴリランランのうた

「あーつまんない。つまんないよぅ」

つーちゃんは朝からご機嫌斜め。

今は長い長い夏休みの真っ最中。

「もう!いい加減にしてちょうだい」

ママも一緒にご機嫌斜め。

でもでも、お友達のかぁくんに会いたいってママに言ったら

「かぁくんはおじいちゃんのお家よ」って言うんです。

「じゃあ公園!」って言えば「暑いからダメ」って言うし、

「お出かけしたい」って言えば、「どこも混んでるわよ」って言うんです。

「つまんないよつまんないよつまんないよぅ!」

絵本も積木も塗り絵もすっかり飽きてしまいました。

ママは「なつばて」と言ってゴロゴロしてるし、パパはお仕事。

テレビはダメって言うしどたばたしたらダメって言うし。

「もおおー!つまんないよぉ!」

つーちゃんが叫んだときです。

ぴかっとお部屋のなかが光りました。


「つまらんつまらん言うのは、誰らーんっ」


甲高い声がして、つーちゃんの目の前に金色のゴリラが現れました。


「きゃあ!君は誰ぇ?!」

「オイラはゴリラン!つまらんって言う言葉が大嫌いな、世界で一番すてきなゴリラだらん!」

「…すてき?」

「そうだらん!見るらん!このキラキラなからだを!」

確かにゴリランのからだはピカピカの金ぴかです。

でもさ、とつーちゃんは口を尖んがらせました。

「本当につまんないんだもん」

「何でらん?」

ゴリランに聞かれて、つーちゃんはつまらない理由を話しはじめました。ゴリランはフンフンとうなずきました。

「なーるほどらん。それは確かにつまらないらん」

「でしょ?」

「でもつまんないって言ってたら、もっと“つまらんく”なっちゃうらん」

「でもぉ…」

ゴリランはにいっと笑いました。

「つまらんときには、歌うと良いらん」

「歌う?」

「そうらん!題してゴリランランの歌だらん!」


そういうとゴリランは大きな声で歌いだしました。


ゴリゴリランラン ゴリランラン

ランラン ランプの中には 魔神だラン

ランドセルには 鉛筆教科書

ランドリーには 洗濯機


ゴリゴリランランゴリランラン

ランラン 歌えば 心がランラン

今日のランチは 卵黄ごはん

ツーアウトランナー3塁の 大チャンス


おメメ ランラン ランナーズハイ


今日のいいことランキング 1番は 君に会えたこと

つまらん気分は もういらん


「もういらんっ!」

真似をしてつーちゃんが歌ったときです。


いつの間にかゴリランはいなくなっていました。

ソファではママが眠っています。


「あれれ?」


つーちゃんはキョロキョロ。

それからにっこりして小さな声で歌いました。

「もういらんっ」


もうすぐ、かっちゃんがおじいちゃんのおうちから帰ってきます。

秋のかみさまもやってきます。

だからつーちゃん、もう少しだけ待っててね。

そしたらきっと、楽しい毎日が待ってるよ。


だからその日まで!

一緒にゴリランランって歌おうね。

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