モグモグ電鉄株式会社
ある日りっくんが公園で遊んでいると、地面に扉がありました。
「何だろう?」
扉を引っ張ってみると、そこには長い長い階段がありました。
りっくんは早速おりてみることにしました。
階段をおりていくと、そこにはヘルメットをかぶったモグラがいました。
「りっくんこんにちは!オイラはモグモグ電鉄株式会社のモグラ工事長だよ。
今、モグモグ地下鉄を作ってるんだ!
あとはレールを敷いたら完成なんだ。手伝ってくれないかい?」
「うん!やってみる!」
こうしてりっくんは地下鉄トンネルを作ることになりました。
「いいかい、りっくん。
モグモグ地下鉄の駅は全部で5つだ!
気合い入れて行くぞ!」
「うん!僕頑張る!」
モグラ工事長たちは、線路をぱちんぱちんと止めていきます。
りっくんもお手伝い。
「えーと、ちょっと長い線路を下さい」
「次は曲がった線路だ!」
「ようし、一つ目の駅だ
一つ目の駅は、ミミズマーケット前!」
そこはミミズさんのお店の近くの駅でした。
「工事お疲れ様!枯れ葉ジュース、飲んでいって」
ミミズ店長さんが、みんなにジュースをくれました。
まだまだ線路をぱちんぱちんと止めていきます。
「ここは追い越し車線があるんだ」
さあ、二つ目の駅です。
「二つ目の駅は、かぶとむし保育園だ!」
そこではカブトムシの赤ちゃん達が、お昼寝中。
「お疲れ様。保育園のお友達が作ったプレゼントをどうぞ」
カブトムシの園長先生が、きれいな折り紙をくれました。
まだまだまだ線路をぱちんぱちんぱちんと止めていきます。
「ちょっと坂道だぞ。気をつけて!」
三つ目の駅は何でしょう。
「ここは木の根っこ通り駅!」
大きな木の根っこが、まるでトンネルみたい。
「お疲れ様。良ければ少し、座って休憩してね」
土の上から、優しい木の声が聞こえました。
まだまだまだまだ線路をぱちんぱちんぱちんぱちんと止めていきます。
「ここには踏切があるんだよ。踏切を渡るときは、電車が来ていないかよーく確かめて!」
四つ目の駅は…。
「ここは車両基地!ちょっと覗いていくかい?」
モグラ工場長が、りっくんを案内してくれました。
「うわあ~!」
そこには、沢山のかっこいい地下鉄がずらりと並んでいました。
赤・青・黄色・紫・茶色・緑…。
「すごーい!虹みたい!」
「モグモグ地下鉄が完成したら、どれでも好きなものに乗せてあげるぜ」
と、モグラ工場長がにっこり笑って言いました。
そして、いよいよ最後の駅です。
まだまだまだまだまだ線路をぱちんぱちんぱちんぱちんぱちんと止めていきます。
「最後はどんな駅だろう」
りっくんはワクワク。
「最後の駅は…ケラ空港!」
「えっ、空港?!」
「そう。ここから、地上に向かって飛んでいるんだよ」
よーく上を見ると、そこには、確かに穴が開いています。
そこに、ケラ機長さんがやってきました。
「やあ、良ければ乗って行くかい?」
「うん!乗ってみたい!」
「じゃあ、どうぞ」
ケラ機長さんが、りっくんを飛行機に乗せてくれることになりました。
座席はふかふか。窓もついていて、とっても立派な飛行機です。
「まもなく、飛行機が離陸致しまあす」
飛行機は勢いを付けて走って、飛んで、高く高く浮かんで、地面の中を、どんどんどんどん遠ざかって、そして…。
「あれっ?」
気がつけば、りっくんは元の公園にいました。
「りっくーん、ああ、こんなところに居たの?
急に居なくなったらびっくりするじゃない」
そう言って、お母さんが駆けてきました。
「あれれ?ねえお母さん、地下鉄はどこに行ったの?飛行機は?モグラ工場長は?」
「なあに?夢でも見ていたの?ここはいつもの公園よ」
お母さんに言われて、りっくんは首を傾げました。
「夢でも見ていたのかなあ…」
でもね、まだりっくんは気づいていませんが、
りっくんのポケットの中には、カブトムシ園長先生がくれた折り紙が入っているんですよ。