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四元士  作者: デイン
変化する日常
2/33

第二話

「そこまで」

その言葉と同時にクラス全員がペンをとめる。

「あぁ〜おわった〜」

テストの最終科目である英語が終わり、生徒の気が緩む。

「まだ喋らない!」

答案用紙を数えている担任が言う。

この学校では(他の学校もそうだろうが)入学式やオリエンテーリングの後に、実力テストを実施する。

今終えたのはその実力テストだ。

ちなみに言うと、亮介の学力はこの学校でかなり低い方だ。英語を除いては。

そして裕貴はと言うと、おそらくこの学校でも10位以内に入ることができるだろう。そのくらいの差が亮介と裕貴にはある。

「どうだった〜?」

「意味わからん、要は?」

「さっぱりだね、全然わからないや」

今話している相手、宇田要もできなかったようだ。

彼は席が前後だからというありきたりな理由で仲良くなった。

「部活なに入る〜」

「仮入部してから決めるよ、要は当然バスケだろ」

「そうだねー、それでこの高校来たし」

要はかなり中学から有名な選手らしい。

全中3位のレギュラーだったそうだ。

この高校から見れば期待の新人である。


部活の話をしているうちに学活も終わり、下校となった。

「裕貴はなんの部活はいるの?」

「え〜っとね、あたしはまだ決まってないよ、やらないかも?」

「意外だな、裕貴は動かないと生きれない人間だと思ってた」

「む〜失礼ね〜

まぁ実はこないだ行ったケーキ屋さんでバイトしようと思ってて〜」

このあいだ行ったケーキ屋さんとは入学式の後に行ったところだろう。

「いいんじゃないか」

「やっぱり〜!

あそこ制服も可愛いし、亮介が勧めてくれるならそうしよ〜」

ということで俺は1人で部活の見学をすることになった…


久々に動いたから疲れた…

そんなことを考えながら亮介は下校していた。時刻は7時30分を回っている。

亮介たちの高校は部活に力を入れているため、活動は夜8時30分までできる。

一年生の仮入部のうちは7時までだ。

まだ4月なのであたりはだいぶ暗い。

(なんだあれ…)

涼介の目線の先には人影がある。しかし決定的に違うものがある。

それは大きさだ。"あれ" は4m以上ある。

亮介の気配に気づいたのか、ゆっくりとこちらに向かっている。

(やばい、逃げないと)

しかし足が思うように動かない。体が鉛のように重い。

少しずつ、確実に寄ってくる。

街頭に照らされてよく見るとその顔は醜い。

いつの間にか亮介の足は完全に止まっていた。

あと5m…4m…3m…2m…1m…

その顔がはっきりするにつれて、笑っていることが分かった。

ニタァァァッという表現が正しいだろう。

そして何か喋っている。しかし亮介は恐怖でうまく聞き取れない。

手を伸ばしてくる。あと数cm。

ピチャッ…

突然頬に水が当たる。

それとほぼ同時に、目の前にあった土の手が崩れ落ちる。

亮介があっけに取られている間に、目の前の土の巨人は消えた。

なにが起きたかわからず呆然としていると、1人の青年が屋根から飛び降りてきた。

「大丈夫かい?」

その言葉でハッと気づいた亮介は慌てて

「だっ、大丈夫です」

と答える。

「よし、じゃあ気をつけ…」

「あれはなんですか、あなたは何者ですか!」

「落ち着いて落ち着いて」となだめる。

「はい…」

「しょうがない、説明するよ。

とりあえず場所を変えようか」

そう言って亮介たちは、ファミレスに移動した。


「まず自己紹介しとくよ、僕は高月海斗、水の四元士だよ、まぁまだまだ未熟だけど」

「俺は及川亮介です、水の四元士ってなんですか?」

「まぁ当然の質問だね、四元士っていうのは、4に元素の元に博士の士って書くんだけど、簡単に言うと超能力者だね。

四元っていうのは四大元素の略で、つまり四大元素を扱えるってわけ。ただし全部使えるわけではなくて、僕なんかは水だけってこと。中には2つ使えるって人もいるよ。ボスは3つだったかな」

「ボスって、なんのボスですか?」

「僕が所属している組織、四元協会って言うんだけど、そのボスだよ。

まぁ四元協会は警察みたいなもので、ただ取り締まる対象を四元士としているだけ。

一般の警察じゃ歯が立たないからね」

「じゃあさっきのやつも…」

「頭の回転がいいね、そうだよ、彼も四元士。彼のような四元士を取り締まっているんだ。そしておそらく彼も組織に属している、四元協会とは別のね。四元士の犯罪者集団、黒い月、とか名乗ってたかな?」

「ニュースでやってる連続放火事件もそうですか?」

「そうだよ、そしてここからが本題。

なぜわざわざ君に説明したと思う?」

先ほどの優しい表情から一変して真剣な表情だ。

「えっ、いや、しつこいから?」

「実は君にもその能力(チカラ)があるんだ」

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