表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/36

三日目:探索



 一日くらい経ったと思う。

 とりあえず、地面肉で腹は下らなかった。

 開通というわけでもなかったけど、そこまで酷くはなかった。

 小用などの新しい処分方法について色々と考えて、微妙な結論を得たことについては思い出さないようにしたい……のだけれど、まあ人間だし、いやでも何度も思い出さなきゃいけないのだ。諦めるほかないか。

「とは言っても、味っ気が全くないことに変わりはないんだけどねぇ……」

 例の金色のやつで炙った地面肉をかじりつつ、ぼくは地下帝国を練り歩く。

 きのうも一日(くらい経ったかな?)中、この地下帝国を色々と探し回った。リビングデッドに追われたり、ディーゼルボアに激突されそうになったり、足を踏み外してマグマに頭から真っ逆さまになりそうになったり、その下にまた足場があって九死に一生得たりした。でも、ストーンワイズには出会わなかった。

「……別に寂しいわけじゃないけどねぇ」

 そう言ってる時点で、結構寂しいというのを肯定してるようなもんだけれど。

 いや、そりゃもちろん話し相手が欲しいとか、それだけが理由じゃないよ?

 彼らはここの地下帝国について、色々と熟知しているみたいだし。まだぼくの知らない何かを知っていておかしくないはずだ。だから彼らから情報収集したいと思うのは、何ら不思議ではないと思う。

 そんなことを考えながら歩いているぼく。

 陸地(肉?)の崖向こうで、洪水のようにマグマが流れているのとか、熱風がこちらに来るのとかはとりあえず無視しておくことにする。気にしだすと余計に暑いのだし、我慢、我慢。

 さて、一日練り歩いていくつか分かったことがある。

 一つは、まずこの大地? について。

 どうやらここは、マグマの上に乗っかっている島? であるらしい。ぼくが今いる島の隣に、また別の、もうちょっと高さの低い島を発見してわかったことだ。いや、それはまあ当たり前なんだけど、この島、そこまで広くはないらしい。現にディーゼルボアとかは、高々と飛び上がってこっちの陸地に着地したりしていたし。

 そして島というのは、大地と陸続きということだ。この肉がマグマに焼けない性質を持っているわけではないので(マグマの通った後と思われる地面は、かなり真っ黒こげだった)、たぶんこの肉の大地の下に、もっと普通の大地があるんじゃないだろうか。いや、普通の土がマグマに強いかはしらないけど、なんにしてもこの肉土地を支えるための何かがあるのは確かだろう。

 二つ目は、もう既に考えていたけど、こことは別の島があるってこと。

 とりあえず今の島全体を見回しきってるわけじゃないから断言は出来ないけど、高さの違う島が何箇所かに点在しているのは、間違いないらしい。少なくとも、ぼくは二つ発見した。なにもこの空間において、陸地たりえるのが三つだけというのも、まあおかしな話なんじゃないのかな?

 そして三つ目は――。

「……本当何だろ、あれ」

 ぼくは、それを見上げる。

 三つ目は、人工物と思われる建物を発見したことだった。

 その建物は、塔の形をしていた。

 塔は、この地下帝国(?)で初めて見る、白い光を放つものだった。

 ただしまあ、太陽とかほど目を焼く痛さはない。それでも薄暗く目や体を痛めつける光に満たされたこの世界で、その光はどこかやわらかな印象を抱かせてくれる。

 そんな塔の高さは、ちょっと正確にはわからない。

 細部も光が照っているためか、あまり細かく見ることは出来ていない。

「……はぁ」

 さて、そんな建物だけど、ぼくは入ることが出来ない。

 別に、建物そのものに罠とか仕掛けられてるんじゃと疑っていたり、建物が老朽化してるんじゃないかとか考えていたり、というわけじゃない。それよりもっと、物理的な理由からだ。

「……というか、どうやって建てたんだよ」

 まあ簡潔に言うと……。

 その塔は、天地逆転していたのだ。

 地下帝国というだけあって、ここの空は暗闇、というよりたぶん、天井があるのだろう。

 この塔は、その天井から地面側に向けて建てられているものだった。

 細部が見えないというのも、まあ確かに光のせいでシルエットがぼやけてるってのもあるけど、それ以上に塔とぼくとの距離が離れすぎている、というのも理由だ。

 あと、塔との距離感がつかめないのも理由だ。

 天井がどれくらいの高さなのか分からないし、そのため塔の実際の高さとかも、結構曖昧になっている。

 ただ、そこにあるのが明らかな人工物だというのだけは、無理やりにでも理解させられた。

「……って言っても、何故あんなところに建ってるんだろ」

 それこそ、この世界の住人は、実はぼくが天井だと思っているほうに住んでいて、こっちの方があっちからすると天井、というか空になっている?

 ないな。

 流石にそれはないな。

 でもとにかく、この逆さまの塔があるだけで、地下帝国って呼び名に多少現実味が出てきたような気がする。光景自体が既に現実味薄い気もするけど、実際問題ぼくはこの場にいるわけだし、もうそこは仕方ない。

 でもまあ、地下「帝国」って言っていたくらいだし。もしかしたらストーンワイズたち以外にも、理知的な生き物がいるのかもしれない。

 ストーンワイズが生き物なのかは知らないけど。

「でもまあ、とりあえず……」

 再び地面を削りだし、ぼくはそれを火にかける。

 衛生面に気を使って、何度か地面を掘り返してから食べるようにしていた。

「いい加減、塩っ気が欲しいよなぁ」

 これからのことを思うと、やっぱりどこか絶望的な気がしてくるのだった。


逃げたり歩いたり足を踏み外して黒こげになりそうになりつつ、三日目突入

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ