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秋の放課後
〈自分から好きになる奴なんか、今までロクなのがいなかった。〉
秋深まる夕暮れ。
足元の枯れ葉をさらう冷たい風。寂しげな街を私は歩いた。
涙をいっぱいにため、こぼれ出すソレを拭おうとはしなかった。ひたすら失恋ソングを口ずさんだ。できるだけアイツのことを考えないようにしながら。
一緒に歩いた道。一緒に話した会話の内容。あの季節。あのトキメキも。全部嘘っぱちで、氷みたいに溶けて消えていったあの時間。泡のようでもあった。
ふられたのは初夏だったのに、いなくなったアイツは消えない傷を私に与えた。
そのくせアイツは今頃彼女と仲良くやってるんだ…、そう思うと激しい憎悪と愛情が溢れてきて泣かずにはいられなかった。
それからはずっと泣いていた。授業中、部活中、家にいても。
世界中の誰もが憎かった。
自分が情けない恥ずかしさもあったけれど、それよりも他人を傷付けたかった。
幸せそうにしているのが、憎たらしくて仕方なかった。