プロローグ
「俺も一緒に連れてって下さい!お願いします!」
土下座をする白髪の青年とそれを見て溜息をつく黒髪の美少女と茶髪の青年。街のど真ん中で土下座などされては民衆の注目を嫌でも集めてしまう。
二人は呆れ顏で白髪の男の説得を始めた。
「お前の近接格闘能力、運動能力は確かに他と比べればズバ抜けて優秀だ。だが、お前は異能が使えない。お前が来ても足手まといなんだ」
「セシルは両親共に異能者で既に19歳。普通なら異能が使えるのが当たり前な年齢なんだけどなぁ…」
このままでは2人は青年を土下座させているちょっと怖いお兄さんお姉さんという目で見られてしまう。
「今回の任務は街の奪還。本物の戦いを見てみたいっていうお前の気持ちもわからなくもないが…死なれちゃ困るんだ」
「…わかりました」
白髪の青年はついに心が折れた様で、トボトボと帰って行った。
「ちょっと厳しく言い過ぎた気がするが…セシルはこれくらい言わないと折れてくれないからな。さてー…ステラ、そろそろ本部に行かないと、俺たちが遅れちゃ話にならないからな」
「そうだなぁー…」
「おい…あの二人って[セラフィムとステラ]だぞ…異能者の中でも最強の二人だ!」
「スゲぇ!こんなとこで見れるなんて!」
民衆が二人を見て話をしているが、二人は気にせず歩を進める。
「人気者は辛いねぇ…歩いてるだけで話題になっちゃうんだから」
「流石最強のセラフィムさんだ、自分で自分を人気者なんて…私はお前のそういう所が嫌いだな」
二人の話はこれから戦いに行くとは思えないほど気楽なものだった。
◇
「作戦内容を説明するぞ!」
セラフィムの声が部屋中に響き渡る
「今回の作戦はルーニの街の奪還。海に面する街ということもあって今回の任務が提案された。各員いつも通りの移動手段で移動。作戦概要は…とにかく吸血鬼をブッ殺す。以上だ。移動開始!」
「「了解!」」
◇
独特の駆動音を鳴らしながら進むホバーボード。他を寄せ付けない速さで進むそれを襲う事は吸血鬼にも不可能だろう。
その甲斐もあり、ルーニの街へ向かう道中、吸血鬼には見つかる事は無かった。
全員がホバーボードを降り、警戒を強めつつ、セラフィムの話を聞く。
「簡潔に話す。ユーキ隊はこの西側扉に結界を張るついでにホバーボードを守ってくれ。俺達セラフィム隊は街の外から回って東側扉へ、そこで結界を張る、残りは駆除部隊、OK?」
「「「了解!」」」
「各自死なない程度に頑張れ!作戦開始!」
50人の人間が一斉に行動を始めた。
気配を察知した吸血鬼も一斉に動き出す。
『あの日』以来吸血鬼と人類が戦ったのは数える程の回数のみ。だが、このルーニでの戦いの日から少しづつ、少しづつ、戦いは加速していくーーー。
To be continued…