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逆さまのコーヒー
なにもかもが終わればいいのに。なんて願いながら、僕は飲みかけのコーヒーに砂糖を足した。
音楽を耳から外して心地の良い浮遊感の中で溺れていると、僕が僕でいれる気がした。
僕はきっと今笑っているんだろう、夢を見れるから。
『僕はどこまで転がるのだろう』
何処かに置き忘れた感情を自分で見つけて、香りを広げる。
思い出してしまった、君みたいな残像を。
甘みが舌を刺して、僕の中になにかを足していったーー埋めるように。
もう一度掘り起こすとしても、同じものは手に入らない。
数字で曖昧にした感情のメッセージが誰かに語る。
わからないよなにも。
君の全てを認めたくなくて、僕は飲み残したコーヒーの入ったカップを逆さまにした。
僕の嘘は曖昧で、へたくそみたいだ。




