one day
君の音が一人、僕の中を歩きだした。
――失くさないで、僕を。
その目に見えるものを僕にも見せて
その耳に聞こえるものを僕にも聞かせて
遠い海のさざ波の音が僕の耳に届いた気がした
綺麗だよ、此処は。
「あっちの水より甘いかもね」
僕は一口、自分を舐めてみた
それはとても空虚で、甘美な味だった
君に触れて、混ざる。
――味が、僕が。
甘い潮風が喘ぎだして、僕の中で鼓動が止まる。
君の時間の壊し方を僕に教えて
明日が来るはずの夜が来ない。
空と君が曇って、僕は雨を降らした
その口から出る言葉を僕にも触れさせて
その手に僕を触れさせて
夕景に染まる君の顔は素敵に見えた
僕はどこに居るの?
此処に居るなんて、僕にもわからない
静寂が僕に自分を突きつけてくる
臆病なのは僕自身だ
手を切って、取って、壊して、問うて。
僕の一瞬を壊して。
――僕も君を壊すから。
夜になれば、いくつかの願いを祈って僕は眠る。
もしかしたら涙なんかが出るのかな、なんて。
小さな、光を抱いて目を瞑る。
僕は我儘だね、笑って。
見えた夜が少し隠れだした。
星を消して、夜を残して。
僕を殺して、君を生きて。
世界を閉じて、記憶を生きる。
まだ少し香る、昨日の世界を壊して別の記憶を生きる。
時計を壊す、有限を得るために。
透明な僕を失くす、見えるように。
僕は今から朝になる、そう思うように。
世界を僕が回す、君の手を取るために。
無重力の世界を写真に収めて、燃やした。
夕景に僕を放り込んで、掻き乱す。
1秒に満たないくらい生きて、僕は君を壊す。
夜を迎えるために。
その夜はきっと、月なんかが綺麗に輝いているんだろう
Twitter:@dakusanno




