表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノエルエデン~平和の代償~  作者: しーご
episode001 完全平和の世界
10/17

濁流

 騒ぎを聞きつけてか、うるさく警報を響かせる警察専用車両が、病院の周囲に集まりつつあった。別フロアの患者達も、院内の何処かで起きている騒ぎに気づき始めた。看護士たちは慌ただしく患者達の避難誘導している。


(まさかエミリオ…!?)

 

 定期検診とエミリオの様子を見に来ていたレイチェルは、別フロアの異常な騒ぎに、只ならぬ悪寒を感じていた。嵐の日、水嵩の増えた川の黒い濁流の様なものが、脳みその中で渦巻きすべて飲み込んでいく。今まで、事件すら起きなかった完全平和の世界で、立て続けに発生する異常事態。女の感、というよりもエミリオが巻き込まれているとしか考えれなかった。


「エミリオは!?エミリオは無事なんですか!?」


 悪寒を声で表す様に青白い顔色で避難誘導を行っていた年配の看護士に飛びかかった。


「私達にも状況がわからないの、でも安心して、落ち着きなさい。警察が今向かってるはずよ。エミリオ君は警察に任せて、あなたも避難なさい!」


 患者に不安を与えぬ様に冷静を装った看護士は、レイチェルを非常階段に誘導した。

 非常階段に向かって、溢れんばかりの人が押し寄せていく。平和な時間を過ごしてきた人々は、この様なイレギュラーに対応出来ない事が目に見えて理解できる。


「エミリオ…!」


 押し寄せる人の波に一気に呑まれた彼女には、もはや神に祈る事しか出来なかった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ