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妹を庇って死んだ俺、辺境伯令嬢に転生する ~第四王子になった妹を迎えに行きますわ!~  作者: ふぃる汰


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9話 前世仕込みのワイルド仕草


「ヨル、あなたの友人から一生のお願いですの! わたくしのミカン栽培計画に協力してくださいまし!」



「友人を脅すようなヤツの協力なんかできるか!」



 ううむ、むしろさっきよりも強固に断られてしまった……どうやらヨルが胸の小ささを気にしている事に触れたのが良くなかったらしい。

ちなみに今のオレ、シィナ・ゼテールはこの世界の女子としてはかなり背が高くてスタイルも良い優良健康児だ。

やっぱウチの領地で採れた栄養満点の食材をモリモリ食べてきたからかな。



「鉱山は食べられませんものね」



「あ? なんか言ったか?」



「何でもありませんの」



 しかし、余計にヨルを怒らせてしまったな……このままではタオ第四王子に会うための計画が頓挫してしまう。

どうにかして彼女の首を縦に振らせねば……



「あ、そうですわ」



「な、なんだよ……」



 ヨルはこんな感じで荒っぽい性格をしているが、こと恋愛においては夢見る乙女のような一面も持っている。

そのうえで若干逆張りというか、女子に人気そうなシュッとした王子様や騎士様よりも、どちらかというと今のヨルみたいな荒っぽい雰囲気の傭兵や職人のような男性に強気でこられるのが好き……みたいなことを打ち明けてくれた記憶がある。



 というわけで、前世の記憶と意識を取り戻したことをフル活用し、夏山彪牙としてヨルを丸め込み……じゃなくて、真摯にお願いしてみよう。

あまりはしたない言葉を言うのはシィナとしては恥ずかしいのだが、物は試しだ。



 ドンッ!



「な、なんだ!? どうしたシィナ……!?」



 壁際に追い詰めたヨルに覆いかぶさるように手を伸ばし、驚いて赤面する彼女に顔を近づける。



「なあ、頼むよヨル……オレが頼れるのはお前しかいねえんだ」



「オ、オレッ!? ちょっ、その口調どうしたシィナッ///」



「うるせえ口だな。オレの口で塞いでやろうか?」



「ふえぇっ……///!?」



 アカン、流石にこれはキモすぎたか。



「シ、シィナ……ボク、あのっ、そのぉ……っ///」



「いいから黙ってオレの力になれ、ヨル」



「ひゃ、ひゃい……っ///」



 ―― ――



「分かった、分かったよ……そこまで言われたらしょうがねえ。シィナに力を貸してやるよ」



「感謝いたします、親愛なる我が友よ」



「親愛なる友に脅迫まがいなことするんじゃねえよ……」



 ミカンの栽培促進計画をお願いした友人のヨルクライム・ギストレンジ。

最初は協力を渋っていた彼女だったが、ひたすらに頼み込んだオレの熱い想いが伝わったのか、遂に首を縦に振ってくれた。

脅迫とかは別に、してないぜ……シィナ・ゼテールの名に誓って。

いや、名に誓うのはちょっとやめておくか。



「それにしたって、なんでそんな早く収穫したいんだよ。そのミカンって果物はそんなに美味いのか?」



「美味しいですわよ。ちょっとお待ちくださいませ」



 ここで本当の理由をヨルに話すわけにはいかないので、彼女の話に乗っかって『新たに発見したミカンという果物がとても美味しいから早く栽培を進めたい』ということにする。

とりあえずオレのギフトを使ってミカンをひとつ出してヨルにも食べてもらおう。



「出てきて、ミカン!」



 ポンッ!



「ふぅ……はい、どうぞ。これがミカンですの」



「ほう、これが……まるで天界の果樹園で天使が育てている小さな太陽だな」



「あらヨルったら。ガサツな割りに随分とポエミーですわね」



「う、うるせえ!」



 鉱山地帯を管理するギストレンジ公爵家の一人娘であるヨルは、環境のせいもあってかなり男勝りな性格をしているのだが、意外と乙女なところもある可愛い友人なのだ。

あと前世の記憶を取り戻したオレにとっても男友達と一緒にいるみたいで話しているとかなり落ち着く。



「はむ……ん! 甘酸っぱくて美味いなこれ!」



「そうでしょうそうでしょう。今はわたくしのギフトを使ってひとつだけ出しましたが、ヨルのギフトでミカンの木を育ててくれればもっとたくさん収穫できますわ」



「ったく、しょうがねえなあ! 収穫したらボクの家にも贈ってくれよな!」



 

————  ――――


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