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回帰○(リターン・ゼロ)~平凡な俺の前世が『神』だった~  作者: トランス☆ミル
第四章 親善大会編

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第28話 大君主親善大会

一騎討ちの日の夜。ヴィジはホテルのベッドの上で目を覚ました。ミルの部屋だ。


「う...うん...?ここは...?」


「起きたか。」


横を見ると、ミルが座っていた。


「今のところ異常はないみたいだな。みんなはもう寝てしまったが、心配してたぞ。」


「そうですか...ところで、あれは一体何なのでしょうか?僕は...」


「正直に俺にもよくわからん。お前の身体からだのことだからな。でもそうだな、あれは――いや、何でもない。そのうちわかるさ。」


ミルはそう言うと、窓の外に目をやる。


「明日からは大君主オーバーロード親善大会が始まる。お前が優勝したんだから、俺も頑張らないとな!」


「大君主...誰が出場するんですか?」


「明日のお楽しみさ。」


ミルはそう言うと、笑みを浮かべた。




そして翌日。


「さぁ、大変長らくお待たせしました!!いよいよ、あの神話の聖戦!第4回、大君主親善大会の開会でーす!!」


放送委員のアナウンスが流れる。闘技場中央には普段滅多に顔を出さない大君主達が10人程集まっていた。


「15人いないですね。」


「あぁ、大君主は基本的に自由だから、自分が出場しないのにわざわざ表に出てこないんだよ。」


ダクラと5人は抑えても抑えきれない、圧倒的な存在感を放つ大君主を見つめている。


「それでは試合準備に取りかかります!少々お待ちください!!」


開会式っぽいものも終わり、試合準備が始まった。


大君主達が退場すると、闘技場の中央いっぱいに広がる、半球の映像が現れた。


映像には宇宙空間の様な光景が広がっていた。どこまでも続く地平線。空に浮かぶ惑星のような無数の星。暗い空。


縦横高さそれぞれ10兆kmの超巨大フィールドだ。


「なんだこのフィールドは?」


「バトロワの時よりも特殊な能力で作った異空間だ。中に入ると大君主の力をドミニオンレベルまで下げることができる。」


みんなが不思議に思っていると、帰ってきたミルが説明を始めた。


「レベルを下げるのは規模が収まりきらないって理由もあるけど、本来は底を見せないためだね。」


「今年は6人出場だと聞いたんですけど、少ないですね。」


「まぁ、そんなもんだろ。そもそも大君主は階層で絶対的な存在だ。その階層の顔と言ってもいい。そんな存在がもし負けてしまったら、例えそれが全力でなかったとしても、一度ついてしまったイメージはなかなか払拭できないもんだよ。


だから6人集まるだけでも十分多いんだ。」


「へぇ〜、そうなんですね。」


そして、ミル達が話していると、端末にトーナメント表が投稿された。


「...やっぱり1回戦目はインペルか...」


ミルはトーナメント表を見るなり、そう小さく呟いた。




「さぁ、1回戦。栄えある1試合目は...


天界ヘブン第五階層『慈愛』の大君主『ルナ様』vs天界第二階層『純潔』の大君主『クオン様』でーす!!」


しばらくして準備が整うと、アナウンスが流れ、中央の映像にお互いに向き合う2人の姿が映し出された。


美しい着物に身を包んだ、緑白色りょくはくしょくの髪をした上品な雰囲気の男がルナ。


薄桃色の王服に白いマントをまとっている男がクオンだ。


「いや〜、どっちが勝つかなぁ〜。」


「まぁ、流石にルナの圧勝だろ。」


ミル達がルナとクオンを見ていると、後ろからザイオンとロウがやってきた。


「ざ、ザイオン様!それにロウ様まで。」


「お、お前ら、自分が暇だからって...」


「いいじゃんか、ほら始まるぞ!」


ミルは仕方なく2人も混ぜて観戦することにした。


「それでは一試合目。Lady...Fight!!」


そしてついに、大君主同士の戦いが始まった。




「貴殿も彼奴あやつと戦いたくて参加したのだろう?」


「え、えぇまぁ、そうですけど。この大会に出た人は、みんなミルさんと戦いたいんじゃないでしょうか?」


戦いが始まる直前、ルナとクオンは互いに対話する。


「そうだな、特にインペルとジェストは因縁もあることだろうし。まぁ、奴ではミルには勝てん。第2回戦でミルと戦うのは麻呂だ。悪いが貴殿にはここで散ってもらう。」


「それはこちらのセリフですよ。」


そして、試合開始のサイレンが流れ、両者は戦いを始めた。


制限時間は10分だ。


まずは肩慣らしの軽い戦闘...のはずだが、その異次元の戦いに会場は唖然としている。


「は、速すぎる...」


「弱体化してこれですか...?」


「正直この間のダクラ様よりも...」


「そりゃそうだろ。規模を同程度にしたところで、能力や技術が段違いだからな。」


ヴィジ達5人は愚か、ダクラまでもが息を呑む戦いだ。


「この大会って弱体化以外に何かあんの?」


そんな中、ロウ達大君主3人は平然と話をしている。


「お前会議中なにしてたんだ。この大会は『天使形態アンゲロスフォーム』と『悪魔形態ディアボロスフォーム』は禁止だ。それ以外特にない。」


「アン...それって何ですか?」


「まぁ簡単に言えば、戦闘形態?本気モード?そんな感じだ。ちなみに能力者なら力をつければ誰でもなれる。上級隊士はみんな変身できるぞ。」


「そ、そうだったんですか。」


そんな話をしていると、会場に爆音が轟く。


「よし、ここからは少し本気を出しましょう。」〈神ノ武器(ウェポン):月光杖げっこうじょう


「望むところです。」〈神ノ武器:純潔の腕輪(ピュアブレスレット)


ルナは神々しい光を纏った錫杖の様なものを取り出し、クオンは白金に輝く『イェグディエル』の象徴の描かれた薄桃色の腕輪をつける。


「いくぞ!」〈ベクトル操作、スカラー操作〉


「まだまだだな。」〈位相移動フェーズシフト


その瞬間、2人の速度が今までと比べ物にならないほど上昇した。


「一撃で撃ち抜く...」〈神力量操作、因果量操作:『完全なる神加速ゴッドアクセレレーション』〉


「無駄だ。」〈位相固定、位相干渉〉〈逆位相オポジットフェーズ


クオンの目にも止まらぬ一撃を、直前で止め消し去った。


〈存在量操作〉


〈位相消去〉


空間が波打ち、光線や爆発が現れては消え、大地が割れ、星々が崩壊する。


異次元の攻防にみんなは何が起きているのかわからない。音すらも聞こえず、ただフィールドが崩壊していく様をみんなはポカーンと見つめている。


「あの人達は何をやってるんでしょう...」


「お、御二方の能力とは一体...」


レイとウェントが苦笑いをしながらミル達に質問をした。


「あ〜、アイツらの能力...エネルギー攻撃みたいなエフェクトを出してるやつがクオンで、神ノ加護(フォース)は『クオンティティ』。ベクトル量、スカラー量などの物理量や速度、熱量、電気量などの基本量などなど、あらゆる量を操る能力だ。


もう一方の神ノ加護が『位相フェーズ』。その名の通り位相を操る能力だ。」


その質問にロウが答える。


クオンがルナの神力量を0にし、因果量操作で確実に当たるようにしてから放つ『完全なる神加速』は、様々な量を組み合わせた強力な一撃。


それをルナは位相を固定し静止させた上で位相干渉で様々な位相をぶつけ、基本量を削ぎつつ逆位相をぶつけることで攻撃を完全に打ち消していた。


「す、すごすぎて、どのくらいすごいのかもわかりませんね。」


「やっぱり八仙はっせんの5柱目...『破壊』のルナ様の方が強いんですか?」


「まぁ、そうだろうな。絶対的な指標で無いとはいえ、大君主序列5位のルナと序列11位のクオンでは流石に分が悪いな。ちなみにこの序列に俺は入ってない。」


「まぁ、見てればわかるさ。」


ミルとザイオンも興味津々に試合を眺めている。


2人の戦いは凄まじく、空に浮かぶ星から数十億kmも離れた星まで投げ飛ばしたり、星を砕き、空間を砕き、概念すら砕いて見せた。


もちろん大君主親善大会に実況や解説はいない。なぜならそれを理解できる者がいないからだ。


「なぜ、ミルと戦いたいのだ?磨呂は仲が良い訳では無いが、彼奴を一目置いている。序列でいえば7、8位に入るくらいの実力だろう。だから戦ってみたい。好奇心だ。」


「僕はこの状態(・・・・)での自分の実力を試したいだけさ。それ以外特に理由は無い。」


「なるほどな。」


互いに一歩も引かず激しい戦いを繰り広げる2人。


「だが貴殿は十分に強いぞ。」〈位相反転〉


「それはありがたい言葉です。」〈ベクトル反転〉


ルナが攻撃を放とうとすると、なぜか自分に向けて放つ。


「ほう?」


「フッ、僕のベクトル操作は『意思の向き』すら操れるのさ。」


「ダメージ量や生命力、運も操れる見たいだな...引き分けだけは御免だぞ。」


「それはこちらもです。」


2人の戦いはますます激しくなる。


〈位相干渉、逆位相、光波位相操作〉


〈ベクトル変換、スカラー操作、無量化〉


「すごい戦いですけど、このままだと引き分けになりそうですね。」


観戦中のフラクタが口を開く。


「うーん確かに、もう7分は過ぎてるし...」


「そうだね...」


レイ達も引き分けになるかと思っていると、


「いや、ここからが見どころだ。」


と、ミルが言い出した。


その言葉通り、2人の戦いに終焉が訪れようとしていた――。


「意味の無い小競り合いはこのくらいにしましょうか。この一撃で決めます。」


フィールド内。クオンはそう言うと、構えに入った。


身体からだの周りを光の渦巻き始める。


「存在が成り立つための全ての根源となる量を消滅させる...」〈全量消失オムニゼロ


その瞬間、クオンを中心に空間そのものが崩壊するかのように、辺りが無に帰っていった。


ルナの能力を飲み込み、情報、因果、運命、存在すら消滅していく――はずだった。


突如フィールドが光に包まれた。消えたはずの大地やオブジェクトが復活している。


「磨呂がなぜ『破壊』なんて呼ばれているか知っているだろう。破壊のオブジェ『ルナ』。その位相も操ることが出来るからだ。」


そんな中、ルナはそっと話始めた。


「あぁ、知ってるさ。だって月は()なんだから...」


「フッ、そうだな。」〈形態変化トランスフォーメーション:『第二形態フェーズツー弦月げんげつ


光が晴れると、そこには半月の後光が輝き着物も黄色に輝いたルナの姿があった。


「す、姿が変わった!?」


「あれは何ですか!?」


観戦しているみんなも目を丸くしている。それに対し、ミルが答える。


「あれは『形態変化』だ。能力を一定以上に極めると神ノ武器が手に入るように、そこから更に極めるとできるパワーアップ。形態変化ができるのは大君主でも一部だけだ。」


形態変化をすると、強さが桁違いにアップするようだ。


「まさか形態変化させるとは。」


「あぁ、ノーマルの君には勝てたってことですね。」


「素晴らしかったぞ。さらばだ。」〈弦月の閃光(ルナアロー)


ルナが黄色い月の光の矢を放つと、バァン!!と、一瞬でフィールドの3割が消し飛んだ。


そこにクオンの姿はない。


「終了ー!!1試合目、勝者はルナ様でーす!!」


試合が終わると、会場からは歓声が上がるも、一部から悲鳴が聞こえてくるようだ。


「こ、こんなあっさりと...」


「クオン軍の隊士で無いとはいえ、大君主が負けてるのを見るのはなんだか...少し、いやですね。」


「だろ?」


次の試合はミルの番だ。


中央の半球が消え、そこに横たわるクオンの姿を見て、ヴィジ達は不安な気持ちになった。


その横でミルは不敵な笑みを浮かべていた。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


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〈主な登場人物〉


ルナ〈神ノ加護:位相〉:天界第五階層、通称『慈愛の階層』の大君主。大君主八仙の5柱目で、『破壊』を冠する存在。大君主内の序列は5位で『位相』を操る能力と、形態変化で『月の位相』を介して『破壊』する能力を持っている。神ノ武器の能力は触れた存在、概念を異位相空間に飛ばし、消すというものだがあまり使わない。ちなみに通常時が形態変化の第一形態『三日月』。とても美しく高貴な顔立ちで、物静か。人間で言う20歳くらいの見た目。


クオン〈神ノ加護:量〉:天界第二階層、通称『純潔の階層』の大君主。大君主内の序列は11位。『量』を操る能力を持っており、ほぼなんでも量に変換して操ることができる。神ノ武器の能力はオートで自分に向けられた攻撃を反射、反転させる。直接触れると存在ごと消し飛ぶ。普段は大人しく、誠実。礼儀正しい。ハンサム。人間で言う17歳くらいの見た目。

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