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回帰○(リターン・ゼロ)~平凡な俺の前世が『神』だった~  作者: トランス☆ミル
第三章 反神者の陰謀編

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第15話 不審火

「印が正五角形になってるな。」


地図を見ながら4人で考察をする。


「そうなんだよ。偶然か意図的か知らないけど、見つけた時は誰かに知らせないとと思っていたんだ。でも誰も話を聞いてくれなかった。おかしなことに関わりたくないんだと。」


「ははーん。だからみんな火事のことを話したがらなかったのかぁ。」


レイは少し納得したようにそう言った。


「良かったらその魔除の札を見せて貰えませんか?ちゃんとした代物であるかどうかを判断すれば、手がかりが増えるかもしれませんから。」


「わかった。ついておいで。」


フラクタの提案で4人は魔除の札が貼ってある家の裏に行った。


「魔除の札は全部で4枚貼ってるんだけど、ここのが1番新しいやつだね。」


3人はその札に手をかざしてみる。すると、微弱ながら神力しんりょくが溢れているのを感じた。どうやら本当にバグ対策効果があるようだ。


「どうやらこの札が貼ってある建物を薄い結界で守ってるみたいだな。でもこれならα(アルファ)級のバグは干渉できないが、それ以上になってくると破られる可能性も十分あり得る。」


「そうだね。てことはやっぱりバグの仕業なのかな?規模からしてβ(ベータ)級くらいか。」


「でも、それなら燃やし方に違和感があるわねぇ。知性が芽生え始めるのがだいたい中位三階級くらいからだから。」


3人はうーんと頭を悩ませる。


そんなことをしていると、おーいと向こうからナリシアが歩いてきた。


「今日のところは一旦これで引き上げるぞ。帰ったら報告会と今後の方針を考えよう。」


「了解です。」


「それじゃあ、おにいさんもご協力ありがとうございました。」


「「「ありがとうございました。」」」


「いえいえ、こちらこそ。これからも調査頑張ってください。」


一旦今日の調査は終了ということで、4人は男にお礼を言いその村を後にした。




ダクラ部隊の支部に戻ると、さっそく調査の報告会を始めた。


「ワタシは家の発火原因を調べていたんだが、能力での発火とみて間違いないだろう。ワタシの能力で解析した結果、家全体が突然燃え上がる感じで燃えていたようだ。そして、不可解なことにどの火事にも死者が出ていないと。」


ナリシアによると家の外側全体が燃え出して、中は一切燃えていなかったようだ。家も原型を保っており、住人は騒ぎで起きるまで気がつかなかったらしい。


「私たちからも報告いいですか?」


と、3人も調査の成果を報告し始めた。


「私たちは不審な人影を見たという人に話を伺ったのですが、その時渡された火事の場所を記した地図に違和感を覚えまして...」


フラクタは男からもらった地図をテーブルの上に広げる。


「このように、燃えた箇所が綺麗な正五角形を描くように記されているんですよ。しかも村全体を囲むように全て村の端の方にあります。」


「魔除の札についても調べたところ、β以上のバグだと効果が無いような代物でした。」


「しかし規模からすれば大したことありませんけど、明らかに意志を持って家を燃やしてるとなればただのバグではなさそうですね。」


「そうだなぁ。警察が配ったバグ探知機はバグが放つグリッチに反応する。グリッチは力によって場が不安定になり発生する。


ではここで問題です。」


話し合いをしていると、ナリシアが唐突にクイズ風に質問をしてきた。


「ででん。主に3つの天賦力てんぷりょく、『神力』、『魔力』、『霊力(念)』の中で1番場の基底プログラムに影響を与えるのはどれでしょう?」


「はい!」


「はい、レイくん。」


「霊力ですね。」


「その通り。霊力、一般的に念と言われるものは他の2つの力と違い、『意志や思考』を持っている者であれば誰でも持っているものだ。神力や魔力はプログラムコードの『純度』の違いだが、念は根本的に別ベクトルの力。バグの発生に直結しておりまだまだ謎が多いが、1番身近で扱いやすい力でもある。」


ヴィジとフラクタは2人のやり取りに多少困惑しつつ、メモをとっている。


「確かに、ヴィジのオーラもネリンの念動力もどっちも神力を念に変換して扱うところあるもんな。」


「そう、つまり何が言いたいのかと言うと――。」


ナリシアは不意に真面目になって話だした。


「これはバグではなく、念を使う能力者の仕業である可能性が高いということだ。」


それを聞いた3人はハッした。


「確かに...それならあの不可解な印の配置にも説明がつくわね。」


「そういう考えもあるのか。盲点だったな。」


「そうだとすれば、今日も被害に遭うはずです。」


「あぁ、だから今日はあの村で一晩中見張りと対策をするぞ。今はまだ昼過ぎだから、夕方あたりで出かけよう。火事が起こるのは決まって夜だしな。」


「「「了解です!」」」


4人はそれぞれ寮の自分達の部屋に戻り、話し合いでまとめた結果を持って犯人の狙いを探っていた。




空が赤く染まり始めた頃、4人は再び支部に集まり出かける準備を整えた。


「いいか、作戦はまず村に大きな結界を張る。村に潜んでいる可能性もあるため、全ての家にも結界を張っていく。そして、結界には動きを封じる効果を付与するため、かかったら即身柄を確保しに動く。しっかり気を引き締めていけよ。」


「「「はい!」」」


「それじゃあ、いくぞ。」


作戦の確認をし、4人は再び村へと向かった。




「確かに車で行くより、走って山越えた方が早いですけど、1日に片道50kmを往復半ってわりとキツくないっすか?」


村に向かう途中、レイが駄々をこね始めた。


「車じゃ片道70kmくらいだし、1時間半もかかるじゃん。走れば10分弱くらいで着くんだし、ジョギングくらいの運動は毎日しないとだぞ。最近鍛練サボってるだろ。」


「レイ『は』サボってますね。」


「うるさいぞヴィジ。ジョギングでもキツイもんはキツいんだ。」


「レイは昔からこんななんだよ。」


「フラクタもうるさい!」


わちゃわちゃと言い合いをする3人を見てナリシアは微笑ましく思っていた。そして、


「トリオ...か。あんな事がなければ、今もワタシは...」


と、そうボソッと呟いた。


「ん?今何か言いました?」


「いや、なんでもないよ。そんなことよりほら、もう村が見えてきたぞ。そろそろ切り替えろ。」


ナリシアに言われ、3人は気を引き締め直して村に足を踏み入れる。特に変わった様子はなく、村人達にもおかしなところはない。


最初に村長へあいさつに行き、結界を張る準備をする。


「村長によると村を出てる住人はいないそうだ。村内の放送で22時以降の外出も禁止にしてもらうから、まずは村全体に結果を張り、22時までパトロールをするぞ。」


そう言うとナリシアは村の中心部に行き簡易結界を張る。


「簡易結界は訓練で使えるようになる術式だ。神力を持っている者は石など依代よりしろとなるものに力を込め、それを特殊な道具で囲み発動する。魔力の場合は魔法陣とか特別な儀式とか色々あるらしいけど。


よしっ、今回は半径1kmってところかな。」


説明をしながらナリシアは石に神力を注いでいく。そして、石全体が依代となりうっすら光始めるとそれを地面に置き、その周りに棒を4つ立て、紐を括りつけて石を囲う。


「そして最後に鈴をこの中に投げ入れると...」


準備が整い、チリーンと鈴が囲いの中に投げ込まれると、依代の石を中心にブワーっと結界が広がっていった。


結界が広がり切ると徐々に見えなくなっていく。


「すごい...こんなの初めて見たよ。」


「俺も学校で講習は受けたけど実戦はしたことなかったから、初めて本物を見たぜ。」


「この結界は触れるだけならなんともないが、破ろうと攻撃すると体に神力が逆流して身を拘束するという仕組みになっているんだ。この位の術式は使えるようになっとかないとダメだぞ。」


「頑張ります。」


「よし、それじゃあパトロールにいくぞ。何かあったら端末で知らせろよ。」


「「「わかりました。」」」


結界を張り終えると、22時までパトロールを始めた。


辺りはすっかり暗くなり、外出してる人もいなくなると、怪しい人がいないか、不用意に外出してる人がいないかなど見て周り、いたら早く帰ることを促したりする。


そして22時になり、祓魔師エクソシストお手製の家用の小さな結界を張れる装置を家に取り付け、各家に結界を張っていく。




「ふぅ。ここで最後だな。」


「ご苦労さん。」


全ての家に結界を張り終えると、村の上の高いところに行き村全体を見張る。


「見張りは一晩中行う。眠くなったら仮眠をとっても構わんが、何かあったらすぐ出動できるよう心がけとけよ。」


「はぁ、俺たち天者てんじゃは普通の人と体の作りが違うはずなのに、どうして生活習慣は何も変わらないんだろう。不便だなぁ。」


「確かにな。でも大君主オーバーロードは睡眠や食事は不要で代謝も起きないらしいぞ。」


「へぇ〜。」


そんなほのぼの雑談をしていると、急にパァーンという音とが響いた。何事かと思い空を見ると結界が崩れていっている。時間を確認すると深夜0時だ。


「そんなまさか!?並の能力者じゃビクともしない程の防御結界だぞ!」


そう驚いているのも束の間、突如として一斉にあちこちで炎が上がり始めた。


「なんだこれ!?」


「何が...何が起こってるんだ...みんな上空から街の様子を確認するぞ!」


ナリシアがそういうと4人はナリシアの能力で空へと舞い上がった。


そして、そこで見た光景に4人は言葉を失う。


「こ、これは...」


「まさか...あれは正五角形じゃなくて...」


「魔術の儀式によく使われる...」



「「「「五芒星...」」」」


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


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〈主な登場人物〉


ヴィジ〈神ノ加護:霊力支配〉:今作の主人公


レイ〈神ノ加護:神線〉:陽気な性格。意外とまじめ。


フラクタ〈神ノ加護:波動〉:穏やかな性格をしている。


ナリシア〈神ノ加護:解析操作〉:ダクラ部隊の能天者。真面目で元気な性格。お姉さん気質で多少厳しいところもあるが優しい。

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