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欠陥魔眼の逃亡者は、脳を焼き切る【常時発動】の呪いと、実力主義の王立学園で泥沼生活  作者: はーにゃ
6 執行人の激動

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97 『無慈悲な閃光』の見送り

ああ?嗚咽を見られていたわ!クソったれめ!

仕方ねえだろうがよぉ?ローズクォーツが今日帰っちまうんだからよ。

ずっと傍にいて欲しくてたまらねえんだわ。

殆どの時間をこの『蒼穹の隠れ家アズール・ハイドアウト』で時間を潰してたんだからなぁ。

ローズクォーツの好んでた『妖精の涙』って言うグラスの中で七色に光が変わるハーブティーを飲んでたり、後はレグンの良く飲んでた『星屑のソーダ』な。

まぁ…確かに程よい甘さの美味な炭酸飲料だった。


そして、20分の休憩時間にローズクォーツが毎回来てくれるがよぉ?ああ…心が癒されるぜ…。

ああ…レグンみてえに駄々こねてえ。

帰んないでくれねえかなぁ?ま、流石にそれは言わなかったがよ。


もうさぁ…俺にこれ以上苦痛与えねえでもらって良いかよ?なぁ?人生様よお?

俺よぉ…まだやるべき事が残ってんだぜ?


ぐずったブリッツシュラークを、1人にさせるわけにはいかねえからグラオザーム家に泊めてるが、先ずはこいつの心の穴を埋めてやんなきゃならねえんだ。

手っ取り早いのが、クラートに放り込む事だ。

んで、クラートとレグンとの話し合いの設け場を作らねえといけねえ。


ああ…そういや12時過ぎに一般校舎近くの城門から、『琥珀騎士団』の数多くの一団が出て行くってから、見に行きたかったが…離れているからな。

流石に『琥珀騎士団』の一団は見れなかった。


取り敢えず12時20分に1時間の昼休憩があるからよ、遅いかとは思ったが、ローズクォーツと共にちょいと6階の『ゲート』から一般校舎まで転移して、まだ何かあるかと思って遠目から覗いてみた。


したら、ああ…クラートの奴がいたわ。

んで、おいおい…あれがクラートの姉の『雷滅の鬼神』かい。

赤白く輝く『聖銀ミスリル』製の鎧と、漆黒の刀を携えてやがった。

なるほどなぁ…あれはレグン以上の強さだなぁ。

それから…はぁ、血筋かい。


レグンのまだ幼さを残すお人形のようで、そこに可憐で端整な外見をしているが、それを大人バージョンにした感じか?

腰まで届くふわりと風で揺れる亜麻色の髪を、赤白く輝く特殊なシルクで、髪を結びポニーテール状にしてた。

可憐ではあるが儚くはなく、大人の魅力と艶の良い端整さをこれでもかと、全面に押し出してたぜ。


ま、それはそうと、クラートが珍しくしんみりした感じではあったな。

ついでに何でかエルナトと…ヴァールハイトの兄がいたがな。


ヴァールハイトの兄もまた、ブリッツシュラークと同じく『宝玉階梯:ダイアモンド』だ。

『ダイアモンド』の称号持ちは大抵意味が分からねえからなぁ?

『天元の魔術師団』も称号が一応あるらしいが…『宝玉階梯:ダイアモンド』クラスはなんだ?

どいつもこいつも化け物揃いか?


にしても…遠目からだが、『雷滅の鬼神』もまた規格外だなぁ?『宝玉部会:ダイアモンド』だろ?あれはよ。


ま、そんな事を思っていたら、3人で『中央評議院セントラル・カウンシル』…まぁあのヴァールハイトの兄が祝辞を述べてた『アウレリウス中央講堂』に向かって行ったな。

ヴァールハイトの兄曰く、『アウレリウス中央講堂』の上のドーム状になってる場が生徒会室らしいじゃねえの。


…ま、それも今日のあのシリウス主席からの連絡で知った事だが。

どうやら、生徒会にクラートとエルナトを勧誘するらしいな。


その生徒会にローズクォーツの兄、2年燦爛クラスの、アルタイル・ムート会計がいる。


ローズクォーツは生徒会のメンバーのだと知っているのかと尋ねたら、まぁ当然知ってはいたが、『アウレリウス中央講堂』の上に生徒会室がある事は知らなかったらしい。


残りの休み時間は、一般校舎の[カエルス演習場]のある1階の談話室で、二人で肩を寄せ合って過ごしていた。

何せ、騎士科も魔術科も休日でいねえからな。

普通科はいつも通り学業だが、わざわざ演習場のある1階の談話室やテラスで、過ごす奴は少なかろうと思っての事だ。


ああ…いつまでもこうしてたいぜ…。




そして、休み時間も終わってまた俺は『蒼穹の隠れ家アズール・ハイドアウト』に引きこもる。

…今度は『ドライアドの果樹園から届いた糖蜜漬けの果実』、このメニューを食ってた。

酸味と甘さが程いい…。


もう…終わる。

学園の終業時間が間もなくだ…。

残る上流科の連中もいるかもしれねえ。

だが、もう一旦終業時間と共にローズクォーツの魔導馬車が迎えに、上流科校舎エリアに続く王都の城門、『正門(凱旋門)』の身車寄せに迎えが来る。


嫌だな、まだ終わって欲しくないな、もっと傍にいてくれねえか?



だがついぞ終わってしまった。

終業時間だ。

ローズクォーツが『蒼穹の隠れ家アズール・ハイドアウト』にやってきた。

…寂しそうな顔だ。

俺は…凄い悲しい。


「レグルス公爵様…。どうかお見送りをしていただけますか?」


「ああ…行こうか。ローズクォーツの兄さんに挨拶もしねえといけねえし…。」




2人でまた手を繋ぎ、『正門(凱旋門)』まで歩く。

ああ…見えたなぁ…あの『空間跳躍馬車ディスタンティア・サルトゥス』かぁ…。

んで、はっ…随分と幻想的な雰囲気で…麗しい端整な顔立ちをしてるじゃねえの。

ローズクォーツと全く同じ髪色で、耳元は完全に隠れて、うなじ付近まである。

あれがアルタイル・ムートかい。

おっと、近寄ってきたな。


「レグルス公爵殿。俺の妹が世話になったようですね。お礼を言いましょう。」


はっ、結構図太い感じか?見た目と違い中々肝が据わってるな?流石は2年燦爛クラスか。


「いや。俺の方こそローズクォーツには迷惑をかけちまった。礼には及ばない。それと普段の喋り方で良い。」


…ああ、俺の事を値踏み…してるわけではなさそうだな。

単純に無表情がデフォルトなんだろうよ。


「そうか。なら言葉に甘えさせてもらおうか。それで?何処まで本気なんだ?遊びとかではないな?」


まぁ…ローズクォーツの反応も見ていやがるし、一応の確認程度だろうな。

きちんと面倒を見てくれるのかと言う、単純な最終確認程度。

話が早くて助かる。


「ああ。当然だ。遊びな訳がない。正直に言えば、ローズクォーツには帰ってほしくねえと思っているくらいだ。」


…反応を見る限り、どうやら納得してくれたかな?


「なるほど。これは失礼をしたな。それでは俺の妹、ローズクォーツからも聞いてるが、嫁ぐと聞いている。こちらとしても七公爵家と縁を結べる事は光栄な事だ。準備に入らせてもらうが構わないな?」


これは、今朝どう挨拶しようか悩んでいたのが、馬鹿らしくなるくらい本当に話が早いな。


「分かった。全く構わない。よろしく頼む。」


俺がそう言い、納得して頷くアルタイル会計。

そうして…俺の手から離れるローズクォーツ…。

魔導馬車に何だか泣きそうな顔で…。


「ローズクォーツ…。また明日な。また会おう…。」


俺がそう言ってローズクォーツをそっと抱きしめた。


「はい…。レグルス公爵様…。また明日…。」


名残惜しいがお互い離れて…。

まだ…彼女の前で弱い顔を見せられねえ。

そうでないと、きちんと帰れねえだろうがよぉ?

そのままローズクォーツが馬車に乗り込む。


「…済まないな。レグルス公爵殿。また…直ぐに俺の妹を任せる。だから…一時的にムート領に預けるくらいの気持ちでいて欲しい。」


アルタイル会計に気を遣わせちまったかよ。

俺とした事がなぁ…。


「悪いな、アルタイル会計。見苦しい場面を見せちまった。…またな。ローズクォーツ!明日会おう!」


「…はい!レグルス公爵様!また…明日ぁ…ふう、ぐす…。うえ…。」


ああ、なんてこった。

俺が今朝泣いちまったように、今度はローズクォーツが泣いてしまったかぁ…。


「ローズクォーツ。泣かないでくれ。大丈夫だ。俺は…明日も待ってるから。」


「…今一度済まないな。レグルス公爵。また明日も妹を頼む。」


そう言ってアルタイル会計が馬車に乗り込んで、城門まで動き始めた。

ああ…嫌だ。

まだ行ってほしくないのに。

明日もまた会えると言うのに、何でこんなにも悲しいんだかねぇ。



そうしてローズクォーツを乗せた魔導馬車が城門から出て…行ってしまった。


「ロー…ズクォー…ツぅう…。ふぐ…。ぐす…。」


視界がぼやけていっぱいだ。

また嗚咽をこぼしちまってる…。


壊れるわけにはいかねえ。

稼業から逃げたら、これまでの殺戮は何だったのか。

業の重さで押しつぶされる。

精神を病んでまともに生きれなくなる。


俺は…執行人エクスキューショナー

七公爵家のグラオザーム家の次期当主。


「レグルスさ~ん!迎えに来ました~!あらあらまあまあ!!…泣いてる姿のレグルスさんも、私は好きです。帰りましょう?我が家へ!」


そんな無駄に明るい声と共にやって来る馬車。

はぁ…別にてめえの家じゃねえだろ?レグンよお?

にやりと笑いやがってよお?

相変わらずの『緋色の魔術師団』の戦闘着かい。


「全く…空気を読まず、ずけずけと入って来るレグンが、俺も好きだぜ?帰るか。レグン。」


ローズクォーツ!また明日会おう!




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