94 夜中の整備3
魔術科指南最終日の初っ端から、ブリッツシュラークとの天変地異の争い、いや俺としては単なる喧嘩だが、[カエルス演習場]がまぁそれはそれは大荒れになっていた。
…[カエルス演習場]だけなら良かったんだが…とりわけブリッツシュラークの『第6階梯:雷:トール』の戦神召喚での『第5階梯:雷:ミョルニル』の大乱発で…一般校舎の1階の一部まで巻き添えになって滅茶苦茶になりやがっていた。
…一応、『耐えよ、守れ』の魔導具での防護障壁は張られていたはずなんだが、ブリッツシュラークの力に耐えきれず、障壁が突破されて大惨事。
所詮は『宝玉等級:エメラルド』かい。
校舎とその他魔道具修復で、演習場を修復するための大量に天井をふわふわ浮かんでた『紅玉石』が、大忙しで動きまわり、指南のための半分以上の時間が修復作業で潰されたわ。
まぁでも、そんな俺達の戦いを目撃出来る事が出来たと、なんか魔術科50名の奴らは全員感動してたなぁ。
俺はともかく、レグンやブリッツシュラークの異次元っぷりを誇る魔術師は、平民だとそう中々見れた物じゃねえからなぁ。
んでマルコスの野郎がその戦いっぷりに、まぁ主にレグンだが、感激しててよりやる気出してやがった。
『火炎の銀』…あのゴミ屑が持つには可哀想で、全く真価を発揮させれてなかった『宝玉等級:ルビー』の銀で煌くワンドを渡したからな。
それはそれは、より一層『緋色の魔術師団』を入団する意思が相当高まったらしいぜ?
あいつ…どんだけレグンが好きなんだよ…。
ブリッツシュラークと争う前に相当弄られてたじゃねえか…。
まあ、あの艶の良い端整な美少女だしなぁ?それなのにあの戦闘能力…。
俺ではブリッツシュラークの攻撃にまるで歯が立たないが、レグンは対抗できるからなぁ。
ま、何にせよあれくらいの気概があれば、『緋色の魔術師団』に出来んじゃねえの?
エマ?頼むからさぁ…俺がブリッツシュラークとの戦いで魔力が空になってるところに、泥やら砂で沈めたのマジでちょいとピンチだったわ。
ま、でもあいつも戦いを見て『翠緑の魔術師団』に入団する意思が固まったらしいぜ?
後方からの支援に徹して仲間を支えたいのと、後は団員に悪戯してえんだと。
リアは最後のレグンの決死の魔術による白兵戦に感激していたぜ。
もうさぁ…俺が魔力空になって弱ってるところにグングンと、グラオザーム邸に行きたい、そこで訓練に励みたいと、ずっとねだってきやがってたからな。
後はさぁ、魔術科共よ、何で俺に学生証のIDの交換を全員ねだるかね?
俺が七公爵家の一角だって分かってんのか?しかもまぁ~執行人のグラオザーム家にさぁ?
はぁ…うるせえから全員交換してやったわ。
感謝しろや!!
アストリッド師団長含め、『赤曜の魔術師団』には大分世話になっちまった。
なにせ、公開処刑したゴミ処理まで手伝ってもらってしまったからな。
ああ…ちなみに『赤曜の魔術師団』とはマジで仕事柄、一番関わりが多いから、指南に来ていた師団員ともある程度顔なじみなんだよ。
まあだから、俺がこういうやべえ奴って理解した上で、ゴミ処理をまぁ…多少仕方ねえなあ、って感じで手伝ってもらったんだよ。
ちなみにアストリッド師団長にはブリッツシュラークの争いの後、めっちゃ叱られた。
そりゃまぁ…[カエルス演習場]だけならまだしも、校舎まで破壊したからなぁ?
「(―レグルス君。これ…私の責任問題になっちゃうんだけど…?後で…たっぷりお話しましょうね…?―)」
理不尽だ。
それやったの全部ブリッツシュラーク何だが。
まぁ…だが俺に怒りの矛先が向いてしまうのも仕方なかったのは理解してるがな。
ゲンコツ入れた後、ブリッツシュラークの奴、ずっと蹲ってぐずってやがったからな。
はぁ…魔術科共とのやり取りの後、とりあえず演習場の観客席にブリッツシュラークを連れて、校舎と演習場が修復されるまでの間、取り敢えず傍にいてやった。
ブリッツシュラークには恩もまぁあるしな。
ま、これで恩は返し終わったぞ?ブリッツシュラーク。
修復が終わり、指南が再開されても、だがまだブリッツシュラークを観客席に1人で置いておくわけにはいかねえ。
だからまた指南に強制参加させた。
もう少し、魔術科共と触れ合わせて、規格外の力を持つが故、孤独だった心を埋めてやらねえとな。
ま、おかげで多少は最終日教室での異様さは消えて、少しはいつものおバカが戻ったかな。
…クラートめ、ブリッツシュラークを放っておいて女遊び…ではないにしろ、男女のもつれに発展させやがって。
クラート、2股で悩んでるところ悪いが、ブリッツシュラークを俺が放り込むからなぁ?
はっ、俺が言えた事でもねえか。
結局、俺も2股やっちまってるしな。
…俺の殺戮、処刑劇はローズクォーツをもらい受けた事から始まっちまった。
ローズクォーツは、その事に負い目を感じてる。
グラオザーム邸での一時的に泊まりに来てもらっていたが、今日で終わって、またムート領に帰っちまう。
まぁ…グラオザーム家に嫁いでもらう約束したから、すぐにまた会える。
けど…帰っちまうのは寂しいな…。
レグンか?あの戦闘能力とあの美貌で大人気だったぞ?曲がりなりにも『緋色の魔術師団』の一員、クソ生意気で毒舌を吐きながら、指南してやがった。
ちなみに『緋色の魔術師団』の仕事の方は良いのかと聞いたところ、グラオザーム邸で預かっているとレグンが言ったら、じゃあそこで厄介になれと、師団長から指令が来たらしいぞ。
はぁ…ただ、『天元の魔術師団』は何もしねえから、『緋色の魔術師団』師団長が魔術師組合のトップだからなぁ。
『戦略級門』『宝玉等級:ダイアモンド』の事を知ってやがった。
ま、大方レグンを呼び出す際は、それを貸してもらえとの事だろうな。
俺よりも戦闘能力が格上のレグンでも倒せないって、話だからな。
…ああ、やっと魔術科指南が終わった。
たかだか指南でなんでこんなに疲れる1週間だったんだろうか。
まさかの恋をして、その後に久しい殺しをして、残ったゴミを処刑して、そのすぐに二股状態になって…。
これで最終日で終わりかと思いきや、ブリッツシュラークの孤独からの暴走が始まり、それを半分命がけで丸め込んだ。
だがまだやる事が残ってる。
明日から2日、俺達も学園の休日だが、先ずはローズクォーツを学園近くの城門まで送らないといけねえ。
実は6日目と今日、ブリッツシュラークとのやんちゃに振り回されたこの日が上流科の休日だった。
明日はローズクォーツも一応学業に戻る。
ただ、1人にさせるわけにはいかねえ。
まぁ…リヒター侯爵とロルベーア侯爵の2人がいるから、恐らくは平気だろうけど…心配だ。
その後は『空間跳躍馬車』で迎えに来る、ローズクォーツの兄と一緒に帰るらしいからな。
ただ、その兄が燦爛クラスとは恐れ入った。
しっかり挨拶をしねえと…。
はぁ…まさか格上の公爵の俺が緊張するとはな。
結構やらかしたし…許さねえとか言われても文句言えねえ。
はぁ…後はブリッツシュラークな。
2日目からクラート達は学業の開始だってな。
ちょいと1人させるわけにはいかなかったから、わざわざブリッツシュラーク家に連絡、2~3日グラオザーム家に泊める事にした。
まぁ…ちょくちょくブリッツシュラークの奴、家に来るからな。
チタニアとも仲いいぞ。
ま、悪いがクラート…学業開始と共にブリッツシュラークを放り込むからな?
それとレグン…。
ここが話し合いができやすいタイミングかもしれねえ。
そして…現在夜中の0時を回り、俺はいつものように黒アンダーアーマーシャツに、カーゴパンツで、魔銃の手入れだ。
魔術刻印を調整するための、『調整の水晶』の道具で弄って、グリップにはめ込まれている、『浄化の布』で魔石を磨いてる。
…大分魔銃を酷使したからなぁ?しかし…『宝玉等級:ダイアモンド』2丁拳銃でブリッツシュラークの攻撃を防げもしなければ、レグンにも劣るとは…ちょっと自信を失いそうだぜ。
…明日はまた早い、さっさと眠ろうか?なぁ?
「もう終わりましたか?レグルスさ~ん!早く一緒に眠りましょ~!」
…はぁ、また勝手に入ってきやがって、俺のベッドでくるまってんだよ。
この小生意気で愛しいレグンがよお?もうこれが日常になりそうだぞ?
「ったく、また勝手に突撃しやがって。ああ、終わったぜ。一緒に寝ようか。」
レグンのが横になってるベッドに俺もつん潜る。
またお互い抱き合って口付けをする。
「んっ…んっ…。はぁ…好き。」
レグンがそう言ってきやがる。
だから…
「ああ…俺もな。愛してるぜ?レグン。」
は…随分と俺も手慣れちまったな。
顔がほんのりと赤く染まっているレグンの顔を良く眺めて…
「「うへへ。」」




