9 『宝玉部会』
「おい、このクラスの荒くれどもをまとめ上げるのがてめえの姉だと?侯爵の人間にそんな事できんのか?」
レグルス公爵様…あなたも荒くれどもの1人でしたよ?
正直に言ってめっちゃ怖かったですからねぇ!?
あ、でも少しは味方でしたわ!
「それは杞憂よ。先生…姉は私とは違うから…。」
そうスピカが呟き、どこか儚げな陰鬱とした表情を浮かべているんですけれど…。
…ごめん、よくよく見るとやっぱり凄いこの子、可愛くね!?
ぅえ?何でしょうね?面倒くさい人たちばかりでございますけど…可愛い子のクラス揃いの教室だったんでしょうか!?
あ!でもレグルス公爵様がおりました!やっぱり面倒くさいクラスです。
「先生、そろそろ来る頃ね。今日は授業や模擬戦は無いそうだけれど、先生はこの辺、かなり厳しいわよ?覚悟をしていた方が良いかもしれないわね。」
お可愛いスピカさんがそう言いますと、本当に丁度いい頃合いで担任のリゲル・アイスベルクが入ってきましたわ~。
ぅえ?スピカさん!もしかしてお姉さんの行動は、未来予知ができるんですか!?
「全く…。燦爛クラスは毎年必ずと言って良いほど最初は問題を起こすが、今年は中々に粒ぞろいだな。
私がこのクラスの担任のリゲル・アイスベルクだ。
しかし、これ程見事なまでに教室設備が8割近くガラクタと化してるとは、君たち、一体どれほど暴れてこんな惨状になったのか説明でもしてもらおうか?君たちはルミナス王国一番の学園、尚且つ最高位のグロワール【栄光】に選ばれた。この国を背負う義務があるからだ。その意味を理解できているのか?他のクラスならまだしも、ここでは10代の子供でもこのような児戯は許されない!!!」
だよね~!!その通りです!!流石は先生でございますわ!
冷静かつしかし静かな怒気を滲じませた後、教室全体を支配するだけの迫力を出してきいるんですけど~、それもまた良いですね!
でもさ、マ~ジ?職員室で俺が詰め寄ってた時の比じゃないんです!俺の魔眼を最大限使って対処できる次元のレベルですけれど!?
あ~、魔眼の解析でも先と今の危険度は、桁違いとなっていますか~。
その強烈な威圧感をクラス全員が感じて…あいや、エルナト様とスピカは普通にしておられますわ、固唾を飲んでいますね。
「君たちがこれまでにいかに優れた武勇を持っていようと、私以上の身分であろうと、この教室では私の言う事が絶対だ。本日は学園の初日という事で今回だけは水に流すが、次に面倒事を起こすなら容赦はしない。各々に罰則を与える。
さて、今回の私の言葉を持って、始業式及びHRは以上となる。今回は入学式と各々の顔合わせが目的だ。最後に私が担任教師である事を伝えに来た事でそれは達成された。これ程の惨状を引き起こしたくらいだ。もう十分に互いを知れた事だろう。
本日はこれにて終了。明日から授業が始まる。何か質問はあるか?」
リゲル先生のお美しい威圧感が薄れると共に、刃向かう者がお一人いらっしゃいます!!
「なぜお前如きに私が従わなければならない?強い言葉を使うからにはそれ相応の実力はあるのだろうな?」
「…エルナト。先も言った通りだ。どのような身分あろうと、このグロワール【栄光】では私の言葉が絶対だ。王女である君もそれは例外ではない。」
ああ…やっぱりリゲル先生の言葉に、真っ先に嚙みついてきたのはお可愛らしいエルナト様だ!
それに対して~今度はスピカさんがエルナト様にお声をかけます!
「…これ以上は止めておいた方が身のためですよ。エルナト殿下。先生に刃向かう人は悉く返り討ちにあっていますから。ああ見えても『宝玉武階:ダイアモンド』ですよ。」
説明しよう!!
『宝玉武階』とは、魔術師のランクが『宝玉階梯』に対して、俺やお可愛いエルナト様のような戦士、騎士に対して与えられる称号で~す。
これも同じくトパーズが低く、ダイアモンドが最もランクが高いですよ。
ん?専門用語が多い?頑張って!!
「いいや。私の実力が知りたいのであれば向かってくるがいい。ただし向かってくるからには覚悟してもらうぞ?」
リゲル先生!ダメですよ!エルナト様に挑発なんてしては!
ほら~言わんこっちゃないです~。
エルナト様が瞬時にズダンと突進、斬りかかります!!
ああ!ですけど既に、俺の時に刺突の際にも使っていた短剣『一瞬凍結』『宝玉等級:ルビー』で、カキーンッと、一切動くことなく刀『桜花葉刃』『宝玉等級:ルビー』を受け止めおられています!!なんとお見事何でしょうか!!
「中々の動きだ。流石は噂に違わぬ戦闘狂と言ったところか。だがまだまだ甘い。」
そう言葉を紡いでるうちに…ああ!気付けばエルナト様が!!教室の遥か最後部まで吹っ飛んでいるではありませんか!?
ズガン!という壁に叩きつけられた音と共に、エルナト様はだらりと顔が落ちるように俯いている…。
「…。」
ああ!なんて事だ!!お可愛らしいエルナト様の意識が飛んでしまっています!
しかし!スピカの言った通りかい。『宝玉武階:ダイアモンド』に似合うだけの実力でございますわあ!!
リゲルは刀を受け止めたとほぼ同時にですね~、冷気でまとった上段のつま先蹴りで、エルナト様の顎を打ち抜き、吹っ飛ばしたんですよ~。
魔眼であの冷気のつま先蹴りは、魔術名『第2階梯:氷結:ライフ・ディ・ピッケ』と判明です~。
「他に文句のある生徒は…いなさそうだな。ノート・フォン・ヴァールハイト。君はエルナトと長い付き合いだそうだな。転がっているエルナトに付き添ってあげなさい。治療室まで行けば、学園専門の回復術師がなんとでもしてくれるだろう。」
「はい。そうさせていただきます。リゲル先生。」
リゲル先生いの最初の、お美しい威圧で若干気圧されていたようでございますけど、既に持ち直していたようで素直に従っておりますね!
その辺りの神経の図太さは…いやぁなんか変な素も出ておいででしたが、流石あのシリウス主席の妹と言ったところですね!
仲良くしたいですわ!!
「よろしい。それでは本日は解散。各々明日に備えておくように。」
そう言って締めくくると、今度はスピカが口を開いたんです。
何でしょう?姉妹での美しい会話劇でもあるのでしょうか?
「…先生。この教室の設備は一体どうするんです?この教室自体、全体的に『聖銀』製で、白一色で何も無い不思議な空間をしていますが。どんな魔術でも一切傷も付かないですし、ガラクタとなった設備自体にも何かあるのでしょう?」
そうじゃな~い!!俺が期待したのはそう言う事ではないです~!!まぁしかしスピカの言う通り、俺の魔眼でも、壊れた全て設備の等級が『宝玉等級:ルビー』と解析されているんですねえ…。
「その通りだ。君たちが壊した設備は皆『宝玉等級:ルビー』だ。演習場でも使われる『紅玉石』と呼ばれる素材で出来ている。まさに君たちの机が、鮮やかな赤色で輝く魔法石で作られているだろう?『紅玉石』自体が、強い『永久修復』の魔術効果のある物だ。だから安心したまえ。明日までには何事もなかったかのように自動修復されている。そこの演台も含めてな。」
そう言ってリゲル先生は立ち去って行った。
…いや!もっとお話をおお!!




