86 『無慈悲な閃光』の指南
もう本当に波乱万丈過ぎた、魔術科指南4日目もそろそろおわりか…。
「あの~どうされたんですか…?レグルス様?何か考え事ですか~?」
こののんびりと、最後まで何考えてんだかイマイチ掴めなかった、リア・シリングス。
やたらと俺に絡んできやがって…。
「んあ?いや、今日は何かと波乱万丈だったんだよ。今朝からの登校からなぁ?」
まーじで色々あったな。
馬車内でレグンの「好き」と言う言葉がどの程度か考えてたり、その問題のレグンがそこで、やたらと魔術科共に囲まれていたりなぁ?
ってかおい!マルクス!てめえ俺に恫喝講義されておきながら、もう俺に適当な態度を取りやがった上に、もうレグンにメロメロじゃねえか!?
ありゃダメだな。
レグンはやめとけ?口がクソ生意気だぞぉ?
んでそのモテまくりのレグンを、ローズクォーツに任せて預けて後に、あのゴミ屑共よ。
ったく、掟破りの馬鹿共が。
俺ら七公爵家が余りにも、横暴な行為を毎日行い困らせているなら、あのゴミ共の意見は通るがよ、んなこたぁやってねえんだよ。
なーにが抗議だ、こちとら手順を踏んで筋を通したうえで、ローズクォーツを連れ出したんだ。
奴らめ、抗議が何の言っておきながら、一番ローズクォーツを困らせていたのは、あのゴミ共じゃねえか。
寄って集りやがって…。
んて、もう良いか。
どうせ俺がぶち殺して粛清…あーいや、処理だな、したわけでもうとっくに、マジもんのゴミと化したんだからな…。
はぁ…そんな風に人殺し、取り分け学生殺しをその程度の認識でしかない事が、俺がまぁ壊れちまってる部分なんだろうが…。
そういやシルヴァンって豪勢な名前のゴミに、俺が思った事があったな。
エルナトに痛めつけられたにも関わらず、[喉元過ぎれば熱さを忘れる、ってか?]という風に。
これ、俺にも当てはまるじゃねえかよ。
身体に沁みついた執行人として、淡々と殺しをしてしまった事に、あれだけ葛藤と恐怖があったにも関わらず、もう忘れてやがる。
まさに俺にも[喉元過ぎれば熱さを忘れる]って言葉が良くあてはまるな。
んで、魔術科指南4日目での恫喝講義から始まり、一斉攻撃されるとか言う謎の一連があったわけだが。
「本当にどうされたんですか…?今日の最初の一斉攻撃、そんなにつらかったんですか~?」
ったく、のんびり屋だな、このリアって奴はよ。
「違えよ。…てめえよ、何でまた魔術科に足を運んだんだ?あれだけの戦闘技術がありながら、てめえは上位クラス。最上位じゃねえ。魔術自体は使えても、魔術師としての才能はねえ。『宝玉階梯:アメシスト』がそれを物語ってるしな。実際、俺と何度か軽く模擬戦なり、てめえの事を見ていたがよ、やたらと白兵戦専用の魔術に拘っていただろ。はっきり言うなら、戦技の方がてめえには合ってるがな。」
事実、基本剣術のみしか使えていなかったが…と言うより、魔術に拘るあまり、戦技を鍛えられなかったんだろうが…。
だが、それでも基本剣術の戦技を使うリアの方が、強かったがなぁ…。
「それは~、う~ん…。魔術その物に強い憧れがあったからですかね…?でもレグルス様の言う通り、魔術が使えるだけで、才能はないんですね~。でも~、それでも魔術が使える者は~、ここルミナス王国だけじゃなくて、他の大陸でもそう多くはないじゃないですかぁ…?だから魔術が少しだけでも使えた私は~、とっても魅了されて、魔術科の道に。でも~、このレイピア、『閃光の花』『宝玉等級:ルビー』で無理やり戦えるレベルの魔術になっただけなんですね~。
まぁだから~、レグルス様の最低等級のトパーズの魔銃で、しかも『第2階梯』の攻撃魔術に~、私の『第4階梯』の接近魔術が跳ね返されたときは~、かなりショックでした~。」
…はぁ、こいつも茨の道を進みやがる。
戦技、騎士科の方が才能を開花出来るのに、魔術の道かよ。
「何を楽しそうに話してるの~!!リアちゃん!レグルス様!!」
「ちっ。エマかよ。面倒なのが来たなぁ。てめえはやたらと俺を砂やら土に、埋めてえみてえだからなぁ?」
こいつやたらと明るいし、悪戯大好き娘っつうのが判明したからなぁ?
「ええ!?面倒なんて酷い!?ぐすんですよ!?でもレグルス様はなんか見た目と違って、とっても面白いお人でしたあ!!アハハ!」
はぁ…なんでまた俺をそういう風に見るかねえ…?
「てめえらよ。俺が公爵だって忘れてね?つか、グラオザーム家がどういう家かてめえらは知ってんのか?」
「う~ん?知らないです!!」
エマが元気に覗き込むように、身を乗り出してきやがってよお!
「はっきり言うなぁ!!?おい!?まぁ…平民出身ならそうかもな。なら知らなくても良いことだ。エマは魔術の才能があるから最上位か…。『宝玉階梯:エメラルド』だったもんな。自然系、それも土系統に特化してやがる。いづれは『翠緑の魔術師団』には入れる…というよりは、そこがてめえの一番活躍できる場かもな。」
俺が悪戯されながらも、エマの様子を見ていたら、土系統、大地を操る事に長けてやがる。
こいつは、戦場の地形を変化させ、敵を翻弄させるだけの技量があるわ。
「おお!!まさか褒められるなんて!やっぱり優しくて愉快だ!!レグルス様!!アハハ!」
はぁ…。
んで肝心のリアなぁ…。
少しむくれやがって…。
「リア。何度の言うがな。てめえは魔術師としては余りにも才能がねえ。魔力が足らねえんだ。わかるか?」
「それは~、当然分かっている事です~。でも、諦めませんから~。」
全く…強情な奴だ。
素直に戦技で戦う騎士なり戦士であれば、才能があるってのによお。
「まぁ聞け。話はここからだ。リア、戦技にも魔力は多少なりとも使う。そうすると肝心のてめえの使いてえ魔術の魔力分が残らねえから威力不足となって、その『閃光の花』に頼らざるを得ねえ。だがそれでも、接近戦特化の一人前の魔術師になりてえか?」
「う~ん。それが出来るのであれば~。」
顔を上げたか。
ソワソワしているぞ?全く。
だが、結構きつい事を言うけどな。
「そうかよ…。だったらな。戦技は『基本剣術:応ノ壱:縮地』だけしか使うな。
そして、てめえの『第4階梯:雷:ブリッツシュトース』と、『第3階梯:雷:ドンナーシュナイデン』。てめえが使うのはこの3つだけだ。ブリッツシュトースの雷の刺突攻撃魔術、ドンナーシュナイデンの雷の切り裂き攻撃魔術…。この2つは俺が見ていた中では、最も強かった。これを極めるんだな。この2つの魔術と縮地…。こいつらで戦え。
縮地の瞬間移動で敵共を翻弄、雷の刺突と切り裂きで瞬時になぎ倒す…。これがてめえの魔術師としての戦い方だ。」




