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魔眼の名門家の俺は、常時発動するタイプの魔眼のせいで平穏な学園生活を送れません!  作者: はーにゃ
5 執行人の魔術科指南

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80/105

80 罪

アトリアと共に再び、ローズクォーツとレグンが待つ『蒼穹の隠れ家アズール・ハイドアウト』のある5階『星屑の回廊』へと降りる。


そうだ、ここの緩やかな階段付近で、今しがた6人を殺戮をしたんだ。

はっ…早いもんだな。

あのゴミ屑共の死体となった肉だるまを、撤去させているとはよ。

あの6人の奴らを殺した事への罪悪感は欠片もない。

貴族社会の掟を破り、何ならローズクォーツを連れ出す際に、(痛い目を見たくなければ余計な真似はするな)、そんな警告を一度、小粒揃いの最上位クラスの教室で言い放ってるからなぁ?


にも関わらず1日で警告を無視、俺を6人と言う人数で囲み、抗議などと言う名の攻撃をしたきた。

そう、攻撃と俺は捉えたんだ。

俺1人に対して奴らは6人と言う数の武器を持って来やがった。

多勢に無勢、こんな経験は執行人エクスキューショナーとして活動中、何度もあったからなぁ…。


取り分け俺が殺した6人の内2人、アルバスとシルヴァン。

こいつらは俺の中では小粒でしかなかったが、それでも脅威と断定した。

アルバスって名のゴミは、2ヵ月前の試合で『第5階梯』の炎魔術を使用していた。

スピカにあっさり吹っ飛ばされてたがなぁ。


そしてシルヴァンってゴミは、一度エルナトの剣技で徹底的に痛めつけられていた。

けっ!フローライトって言う王都から追放された、元公爵の虎の威を借りる狐として、愚かにも、のこのことノートとエルナトの2人の前に出てきて…そしてエルナトが多少の慈悲で大怪我を負ったはずだったんだ。

だって言うのに、喉元過ぎれば熱さを忘れるってか?

俺に歯向かい、人数を揃えやがって。


他の伯爵4人もシルヴァンのゴミと同じだ。

侯爵の威を借りてのこのこ俺の前に出て来やがって…。


…頭の足らないゴミ共が。

だから何かされる前に、俺の身体に沁みついた俺の執行人エクスキューショナーの性が働いて殺してやった。


…殺戮そのものへの罪の意識、良心の呵責なんてない。

そう思っている俺の実情が怖い。


あんだけ殺しに疲れ果て、業の念で押しつぶされていたのに…。


「(―屑共でも人間。人を殺せば心も壊れる。殺しが当たり前になって、無感情に魔術を行使するような人物なんだよ。俺に対して抱いている、てめえの憧れは単なる幻想でしかねえんだよ…。―)」


俺がローズクォーツに言った言葉だ。

本当に無感情に淡々と学生殺しをやってしまった。



「レグっち~!とにかく2人を迎えに行こう?…魔術科指南が~もう間もなく始まっちゃうからさ~?」


「あ、ああ…そうだな。ブリッツシュラーク…俺は2人に…特にローズクォーツに合わせる顔がねえ…。彼女の居場所を、学園内での居場所を俺が壊しちまった…。俺だけなら良い。だが…他の上流科共がローズクォーツを目にする度、俺と言う背後の脅威を恐れて、友人も何もかも逃げちまうだろう…。」


「レグっち~。そこも込みでさ~、ローズっちもレグっちを好きになったんでしょ~?大丈夫とは簡単に言えないけど~、ローズっちは多分受け入れてくれるよ~。居場所なんて~、レグっちがいるから平気じゃない~?それに~、ローズっちには2人、信頼できる友人がいるって、試合の際に言ってたしね~。」


「パール・リヒター侯爵と、エスメラルダ・ロルベーア侯爵か…。はっ…俺と最後まで諦めず戦ったのは、エスメラルダ侯爵だったな。」







廊下の隅っこにある、風景画のその壁の横にある、小さな校章のレリーフ(浮き彫り)に、俺の学生証を触れさせて、黒曜石の隠し扉が出てくる。

扉を開けてアトリアと共に、中に入り、暫く待たせてしまっていたローズクォーツとレグンを迎えに行く。


中では2人して仲良く、機械仕掛けの人形の前の『夜光石』カウンター席で、飲み物を飲みながら談笑している風だった。


は…ローズクォーツは以前と同じ、『妖精の涙』って名前の、グラスの中で七色に光が変わるハーブティーを。

レグンは…まだガキンチョだな、『星屑のソーダ』、飲むと口の中で、小さな光の粒がぱちぱちと弾ける炭酸飲料を飲んでる。



「あ~!!おっそ~い!どれだけ待ってたと思ってるんですか~?流石は『無慈悲な閃光』さんです。ああ!な~るほど!待たせて私を焦らしてんですね~?や~らしい!!ごヴぇ!?」


「うるせえ!!ちとトラブルが続いてたんだよ!ったく、相変わらずレグン、てめえはまだガキンチョだな。炭酸飲料とはよ。甘くて美味かったか?」


…畜生、レグンの小生意気な態度で少しだけ、心が安らいじまうなんてよ…。

本当にさっき殺戮を起こした奴の行動とは思えねえ。

多分、普通なら殺しと言う行動をやっちまった奴は、良心の呵責に耐えかねて、泣き崩れたり、呆然と立ち尽くして何も言えなくなってるんだろうになぁ…。


「レグルス公爵様…?お顔が強張っておられます…。トラブルと仰っておられましたが…何かあったのですか?」


…は、流石はローズクォーツだな。

俺の些細な変化に気付くか…。


「うええ!?ブリッツシュラーク様!?『無慈悲な閃光』さんと来ていたんですかぁ!?ああ!な~るほど!3人も可愛い女の子を侍らして~、魔術科の生徒さんに見せつけたいんですね~?や~らしい!!ごヴぇ!?」


「だぁ!!今ローズクォーツが重要な事、トラブルについて何があったのか聞いてきたのに、てめえは毎回空気をぶち壊すなぁ!?」


まぁ、こういうところが俺は気に入っているんだがな…。


「う~ん、レグっち~。レグっちが中々言い出せないなら~、あたしが詳細を話しちゃうけど~、大丈夫…?」


…本当は俺が話すべきだ。

俺の殺戮で、ローズクォーツの居場所を奪い去ってしまったのだから。

でも…殺しが淡々と出来る癖に、何でこうも重要な場面では弱っちくなってしまうんだ?

訳が分からねえ…。

本当に心が壊れているのかもしれねえ…。


「うん!かなり辛そ~だね~。だからあたしが代わりに話すよ~!2人共~、特にローズっちは良く聞いてね~?

あのね~…。2人がここの隠れ場にいるまでの間に~、レグっちがローズっちを連れ出した事の~、反感を持った最上位クラス6人が…レグっちを取り囲んで抗議をしようとしたんだって~。多分上から目線から~、ローズっちと仲良くなったレグっちに~、嫉妬とか憎悪とかあって~、上から目線での正論風な事でも言おうとしたんだろうね~。

でもさ?例え仮にレグっちが最上位クラスに多少の無礼…う~んでもただローズっちを1人連れて行っただけだからな~…。まあいいや~!多少の無礼を働いたとしても~、貴族社会で、下位の者が上位の者に…特に七公爵家に楯突くのはご法度でしょ~?

…だからね、楯突いた愚かな間抜け6人を…レグっちがその場で魔術による銃殺をしたんだよ…。掟破りの愚か者に、レグっちが執行人エクスキューショナーとして制裁した。

ローズっち。どうかレグっちを許してあげて?ローズっちの居場所を壊しちゃった事に、レグっちはとても罪悪感で悔やんでる。レグンっちも怖がらないであげて~?レグっちは本当は優しいからね~!!」


ブリッツシュラーク…ここまで気の利く奴だったか…。

済まねえな、本当に。

顔が上がんねえわ。


「な~んだ!そ~んな事ですか!!私もウンシュルトでは良いように遣わされて、家の専属の暗殺者とかあてがわれて結構な人数を殺したりもしてますよ~?嫌気がさして『緋色の魔術師団』に入団した後も、『隠蔽の兜(ケラレ・ガレア)』を被りながら、盗賊団やら賞金首のかけられた犯罪者とかも、殲滅していたりしますよ~?や~るぅ!!流石は『無慈悲な閃光』さんです。ああ!な~るほど!私にも実は食客じゃなくて~…凌辱したくて公爵邸に連れていってるんですか~?や~らしい!!ごヴぇ!?」


「だぁ!!てめえも中々大変だなぁ!?その年で本当に苦労してたんだな!だがその前に減らねえ口を閉じやがれ!!アホたれがぁ!!」


ああ…学園での殺害なんて絶対にあってはならねえ、ってのに…。

こうして小突いて普通に会話が出来ちまう。


「レグルス公爵様…。昨日、この場所でお話した通りです。あなた様がどんなに血にまみれたお方でも、私はレグルス公爵様が好きでございます。私はあなたの婚約者。うふふ。私の居場所が壊してしまった事をお気になされているなら、それは杞憂と言うものです。私は殿方に囲まれてしまい、息が詰まりそうだったため、この隠し場でいつも過ごしていたのですから。むしろこの1件で楽になれます。

さぁ…魔術科の皆様の教室に行きましょう?レグルス公爵様…。」


「ローズクォーツ…。本当に済まねえ…。俺が殺戮なんて馬鹿な真似をしても、好きでいてくれて…。」


「は?ちょっと婚約者さんと私への態度が違い過ぎません?流石は『無慈悲な閃光』さんです。本当に私にはとことん無慈悲ですね~?ああ!な~るほど!私があまりの美貌ぶりにツンしか出せないんですね~?か~わいい!ごヴぇ!?」


「レグーン!もう一回言ってやるわ!!自分の態度を鏡見て出直してこいや!!」


そしてこんな俺達の様子を見ていたブリッツシュラークが言う。


「はいは~い!どうやら何も問題なくて何より~!!じゃあ魔術科指南に行くよ~!!」


蒼穹の隠れ家アズール・ハイドアウト』を出て…壁側にある大階段を昇り6階『白銀の回廊』へと。

大階段までに向かうための…俺が淡々と殺戮をした、もう死体の片付いた、星屑を練りこんだ濃紺の大理石を通り抜けて…。

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