8 最後の1人
くっそ~!俺の唯一の味方だと思っていたのに!!裏切りましたね!?
しかし…流石にこれ以上の荒事となると、俺の魔眼の効力がより一層強くなって脳に負担が出るからさぁ、レグルス公爵様のお怒りを鎮める言葉をお紡ぎしてご覧にしてみましょう!
見てろよぉ!行くぜ!
「大変申し訳ございませんでした。レグルス・アフ・グラオザーム殿。言い訳は致しません。全ては私が招いてしまった責任です。どうかご容赦くださいませ。」
…決まった~!!見たかよ!この俺の素晴らしい謝罪!!許してくれるよね?ね?
ってか俺、本当に教室にただ入ってきただけで、何も悪い事してないからね~。
「…ちっ!別に本気でてめえだけに責任があるとは思ってねえよ。事の始まりはブリッツシュラークのアホからだ。だがエルナトやヴァールハイトの言葉をそのまま使うが、俺もてめえの存在を上手く認識が出来なかった。こんな事は一度足りとてない。裏社会のクソどもを片付ける事を生業としてる俺、並びにグラオザーム家にとっちゃ由々しき事態だ。
おいブリッツシュラーク!てめえはこの魔眼持ちを規格外の化け物と言ってたな?だいぶ親しい様子だが何か知ってんのか?」
…やりました!魔眼の解析でレグルス公爵は一旦は怒りを収めたようです!しかし…なんて事でしょうか!俺の魔眼の力に疑念の感情を持ち始めています。
ヤバいです。これ以上の荒事はもう御免です!
しかもやっちまった事に、アトリアと痴話話をしていたからさ~。
レグルス公爵が、この気の利かないアトリアに問い詰めてるじゃん!アトリア!お前変な事は言うなよ!?
「う~ん?まぁクラっちとはそこそこに付き合いがあるけど~。正直あたしもよくわかんな~い!!」
おい、見直したぞアトリア!!まさか気を利かして噓をついてくれるなんてさぁ!
大厄災から始まった関係だが、もうとっくに魔眼の事については語っているからね~。
だから何度かブリッツシュラークの稼業の合間合間に、俺の冒険者稼業を手伝ってもらっていたわけです。
俺にこれ以上の面倒ごとが起こらないように、誤魔化してくれてるなんて…成長したんだなぁ、アトリア!!
…そんな器用な事ができるなら、最初の大魔術をぶっ放すという馬鹿げたことをするな!
「はぁ…アホなてめえに聞いた俺がバカだった。そんで?こんな大惨事の中、てめえはよく本を読んでられるな?」
今の今までずっと沈黙をしていた、この燦爛クラス最後の一人にレグルス公爵がお声をかけになります。
ええ、はい、その通りです。
凄い胆力の持ち主だと感嘆していたものでございますよ!
「……あなたと同じで、面倒ごとには関わりたくなかっただけよ。誰かが事態を収拾してくれるか…或いはこれ以上の騒ぎになっても、もうじき来る先生が適当に何とかしてくれるのを待ってたの…。
それに騒ぎの中心にいる魔眼持ちさんと同じ、侯爵の身分でしかない私に介入しろと言いたいのかしら?
正直に言うなら、魔眼持ちさんが来るまで肩身が狭かったわ。
ただ…そうね。私も同じ魔眼持ちとして…ウンシュルトのあなたには興味が湧いたわ?」
…は?今なんて言った?同じ魔眼持ち…?
そう言うと、彼女はゆっくり本から顔をあげながら俺の方を見てきた。
…どこか神秘的な雰囲気を持つ、艶のある人形めいた美しさに、ふわりとした薄桃色の背中まである長い髪、そして…蒼色に強く輝く眼光…。
「っ!!?」
クソっ!!俺の魔眼が魔術発動を予測。
すぐにトンっと後ろに飛び、瞬間キイイイイインッ!と音と共に俺が先ほどまで立っていた地点に四方を囲むように氷の檻が立っていやがります。
解析によるとこれは『第4階梯:氷結:アイスゲフェングニス』という魔術であることがわかったが。
対象を檻の中に閉じ込める魔術か…。
は?何をまるで犯罪者扱いのような魔術を放ってきたんです?
しかしなるほど、あの蒼い魔眼自体がアトリアの魔杖や、レグルス公爵の魔銃といったように、魔術を発動させる媒介となっているわけか…。
魔眼自体にも色々な効果があるが…魔術媒介の役目を持つ魔眼なんて、初めての事だ。
「…流石ね?レグルス公爵やエルナト王女殿下ではないけれど、私もあなたの動きが読めなくて不可思議だったから…。少しだけ試させてもらったわ。」
ええ!?もしかしてさぁ!俺に皆興味津々で、悪戯を仕掛けたのかい!?そうなのかい!?
まぁ、それはともかく…彼女の眼光から光が薄まり、通常状態に戻ったか。
俺の『深紅の魔眼』と違い、あの魔眼は発動と解除を切り替えられるようだね~。
解析によればあの魔眼は『極冠の魔眼』『宝玉等級:ルビー』か。
実のところ魔眼も希少ではあるが魔導具扱いの『宝玉等級:○○(宝石名)』でランク分けがされているんだよ。
「ちっ!アトリアからはじまってあんたも中々に大概だな!」
とは言ったんですけどね?あなた…儚い雰囲気を醸し出して!とっても可愛いですね!!
とまぁ、口では俺が抗議したらですね?レグルス公爵も怒鳴ってしまいまして。
「おいごらぁ!!なにてめえまで厄介事を持ち込んでんだぁ!!俺の話を聞いてなかったのか!!?」
はい!その通りです!!やっぱり味方だったんですね?
「それについては悪かったわ。この世界では魔眼自体がすごく希少だもの。さらにはウンシュルトの唯一の魔眼持ちよ?どんな効力を持っているのか、ノート公爵と同じく知りたくなったのよ。」
「うふふっ。どうやら彼女もこちら側の人間みたいですね?」
ええ!?銀髪美少女のノート公爵様?貴方はさっきからたまに素が出ておりましたよ!?
何だか俺の魔眼を、じっくりと眺めていたし…。
「ヴァールハイトは黙ってろ!!俺がてめえに声をかけたのは、この惨状に思うところはねえのかってことだ!!察しろ!!これ以上てめえらの趣味でややこしくするな!!」
いえ!もっと喋って!銀髪美少女のノート公爵様!!
「だから悪かったと言ってるでしょ?もうこれ以上は何もしないわ。
ウンシュルトさん。ごめんなさい。
そしてまだ名乗っていなかったわね。私はスピカ。スピカ・アイスベルク。」
ん~?今なんと言いましたか?
アイスベルクとお名乗りしましたか?
「あぁ…なるほど。私が名乗った後に驚いてる顔をしているという事は、この燦爛クラスの担任の先生に会ってきて遅れてきたという事ね?
そう、私は担任の先生、リゲル・アイスベルクの腹違いの妹よ。」
あらあらまあまあ…なんて素敵な偶然!!お二方綺麗でしたからね!!
はぁ…ついに、全員が出そろいました!
本日もありがとうございました。




