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魔眼の名門家の俺は、常時発動するタイプの魔眼のせいで平穏な学園生活を送れません!  作者: はーにゃ
5 執行人の魔術科指南

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79 執行人と貴族社会の禁忌

6階、『白銀の回廊』を俺は歩いてる。

ああ…『聖銀ミスリル』の白銀の耀きと…左窓と天窓の日の光を浴びながら。


例え貴族の者であっても、下位の者が上位の者…特に七公爵家に楯突こうものなら、それは万死に値する。

俺がローズクォーツを連れ出すと言う、非礼な真似をしていたとしても…。


数分前の殺戮は、執行人エクスキューショナーとしての俺の沁みついた通常行動だった。

掟を破った者を処理する、冷静さと手際の良さの殺戮…。

公爵家の者に意見するにしても、もし俺ではなく、ヴァールハイトやブリッツシュラークであれば、事を穏便に済ませていただろう。


だが…意見、いや、俺にとっては七公爵家に楯突いたと考えているが、よりにもよって殺しの達人の、グラオザーム家の俺だったのが、奴らの不運。

貴族の者としてのプライドと、王都ではない貴族街では、あのような場面は日常茶飯事だったのだろう。

しかし…残念ながらここは王都、ルミナス王国の心臓部。

その心臓部での、あの抗議は俺にとっては国を蝕む病魔と捉えてしまった。


だから執行人エクスキューショナーとして、病魔を取り除く作業…殺戮を行った。

躊躇いはまるでなかった。

あれだけ人殺しに嫌気がさし、心が摩耗していて尚、簡単に殺しと言う行動を起こせてしまった。


…ローズクォーツになんて説明するんだ?俺の行動によって、彼女の学園での居場所をなくさせてしまった。


はは…こんな大変な出来事を起こして尚、普通に魔銃を制服に取り付けたホルダーに収め、平然とした顔で歩いている。


…気づけば「聖銀ミスリル」製の教室扉の前。

どうすんだ?今しがた殺害を起こした奴が普通に教室に入ろうと言うのか。

燦爛クラスの皆にはなんて言えば良いんだ?リゲル先生には、どんな面下げて会おうと言うのか…。


「レグルス…。色々な考えで頭が回らなくなっているだろうが…先ずは一度教室に入りなさい。」


どれくらいぼさっと立っていたのか、いつの間にか後ろにリゲル先生がいた。


「……分かりました。」










…教室にはエルナトにブリッツシュラーク…後は今日はスピカも来ているか。

クラートとヴァールハイトが教室内にいないが…。


「先生。昨日はお休みしてすみません。今クラートとノートさんがホームルームに間に合わないと、伝言を預かっています。この後は騎士科の指南に向かうはずです。」


そうか…。

きっと、この6階のサロンで対話をしているのだろう。

仲直り…出来ると良いな、クラートとヴァールハイトは。

俺はあの2人の漫才コンビが気に入っている…。


はっ…今しがた殺しをした身で、何を他人の心配なんてしているんだろうか。


「そうか…。スピカ。伝言の件は承知した。特にお咎めをするつもりはない。一先ずはホームルームが先だ。」









クラートとヴァールハイトはやはり、教室に現れなかった。


「エルナト、スピカは先に騎士科の指南へと[カエルス演習場]に向かいなさい。後にクラートとノートも向かわせる。

…それと、レグルスとアトリアの両名は、魔術科指南に向かってもらいたかったが…一度待機だ。それではホームルームを終了とする。」


そのままエルナトとスピカが教室から出て行った。


「え~せんせ~?待機って~、どういう事ですか~?」


「…アトリア。君だけ先に魔術科の上位、最上位クラスまで向かわせたいのだが…君1人だと危ないからな。だからレグルスに面倒を見てもらっていたのだが。

しかし…今そのレグルスが不調なのだ。」


はは…学園で殺しを、学生が学生を殺すなんて考えられないだろうな…。

何やってんだ?俺、どうしたら…。


「レグっち…?ど~したの…?顔色が悪いよ…?」


「っ!!ブ、ブリッツシュラーク!お、俺は…っ。」


学生殺しを平然と、やってのけたとでも言うつもりか?

冷や汗が止まらない…。

クソ!もう稼業の性で身体が勝手に殺しに動いただなんて、言えるわけがない!


「…アトリア。七公爵家に強気に出てくる貴族たちが、最近多い事は耳にしているな?例えば、2年の燦爛クラスで生徒会書記のウェズン・ツー・ノルム公爵にも、反感を持っていたりなどな。」


リゲル先生が冷静に話を進めている…。

どうしよう…。


「…確かにそ~ですけど~、確かに不思議だな~って、思ってたんですよ~。でも~、それとレグっちに~、何の関係があるんですか~?」


「…貴族社会で、下位の者が上位の者に歯向かおうものなら、万死に値する禁忌である事は知っているな?特に七公爵家に楯突こうものなら、侯爵以下は簡単に鎮められる。だが…何故かここどうも先ほどの、ノルム公爵の例に洩れず、強気に出てくる下位の者が多いのだ。どうも裏で『紫苑騎士団』が関係があるのではないか、と。

昨日、レグルスが最上位クラスで、ローズクォーツ侯爵を連れ出した件についても知っているな?」


やめてくれ…。

もう、追い込まないでくれ!


「レグルス…。別に君を責める気はない。もう近いうちに、あるべくして起こってしまった事だろう。アトリア。君にも関係のある事だから良く聞くように。

本当についさっきの出来事だ。昨日のローズクォーツ侯爵を連れ出した事に反感を持った、6名の最上位クラスが、レグルスに抗議をしたらしい。言わばグラオザーム公爵家に歯向かったに等しい。

ミリアルデ侯爵、シュラハト侯爵…。それと伯爵の者が4名。この6名をレグルスが執行人エクスキューショナーとしてその場で魔術による銃殺刑を行った。」


「は、はは…。ブリッツシュラーク…。俺は殺戮をした…。魔術科指南なんて出来る立場じゃねえ…!」


もう俺は顔を伏せてしまって、先生もブリッツシュラークの顔もまともに見れない…。


「もう既にグラオザーム家には連絡が行っている。この6つの貴族家は七公爵家に歯向かった者として、近いうちに潰される事になる。改めて七公爵家、及びルミナス王族に歯向かう事の愚かさを知らしめるため、一家公開処刑になる可能性もある。

レグルス。顔を上げなさい。最近の治安の悪さは私も頭を悩ませていた所だ。レグルスには辛い思いをさせてしまったが…レグルス。君のあの行動に間違いは無かったと、私は確信している。これで下位の貴族達も少しは大人しくなる可能性がある。

教師である私が責任を果たせず、君に押し付ける形となってしまった。君だけが思い詰める必要はない。レグルス、君の担任教師は私だ。私もこの不始末の責任がある。どうか許してほしい。」


…何故?どうして俺を責めない…。


「レグっち…。多分、あたしも~、同じ立場ならやってると思うよ~?だからあんまり自分を追い込みすぎな~い!!魔術科指南、行くんでしょ~?待たせてる子もいたよね~?早く迎えに行こ~?あたしも一緒に行くからさ~。」


「レグルス。この件についての議論は、ここでは一度止めよう。頭を冷やすと言う意味で、アトリアの言う通りに指南に向かってみなさい。」


…レグンとローズクォーツを迎えに行かないと。


「…はい。指南に向かいます…。」

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