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魔眼の名門家の俺は、常時発動するタイプの魔眼のせいで平穏な学園生活を送れません!  作者: はーにゃ
1 厄介なクラスメイト

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7 執行人

「ありゃまぁ~!!クラっちやっちゃったね!!まさか王女様を蹴っ飛ばしちゃうなんてさ~!!アッハッハッハッハッハ!!!ごヴぇ!?」


 お黙り!!いつまでもゲラゲラと笑いの止まらない、アトリアの頭を軽く小突いてやったわ!

 え~っと…確かに蹴り飛ばした…ごめん、可愛いっすね?エルナト王女様の胸には、王族を示すダイアモンドの宝石が身に付けられていたよ…。

 やっべ…処刑されない?俺?


「…マジでやっちゃったじゃねえか!ていうかアトリア!俺より早く来てたなら知ってたはずでしょうが!早く教えなさいよ!?蹴っちゃったよ?ヤバいんですけど!?」


 馬鹿垂れアトリアが、頭を押さえて涙目に抗議してきました。


「痛ぁ~い!?でもさぁ~、あたしと遊んでたら急に斬りかかってきたわけでしょ~?教える余裕あったと思う~?それに知ってるでしょ~?第2王女様は~、生粋の戦闘狂だって事はさ~?」


 確かにな!?そうだよねぇ!教える余裕ないよね!ごめんね!?

 んで、そうしていたら…あの、ごめん、可愛いっすね?銀髪の美少女さんの、ノート公爵様から、お声がかかります。


「お二人は本当に仲がよろしいのですね?羨ましいです。ですけどご心配には及びませんよ。私とエルナト殿下との付き合いは長いですからね。エルナト殿下の顔を見ればわかります。クラート様に蹴飛ばされたことは特に何も思ってはいないはずです。それよりも殿下が攻撃をしてくるという事はクラートさん、あなた様に興味が湧いたのでしょう。

 最初のアトリアさんの第5階梯の魔術の攻防で、あなた様が杖を弾いてからようやくあなたという存在をしっかりと認識できたのです。駆け抜けてるはずなのに、なぜか走っているあなたを上手く認識ができない…その不思議な現象にエルナト殿下が興味を持ったという事ですよ。

 そして私も…アトリアさんとのお戯れが面白かったという事もありますが、あの違和感であなた様に興味が惹かれてしまいまして。なのでつい…試してみたくなってしまいました。」


 ぅえ?何を言っておられるのでしょうか!?興味を俺に持っていただいていたんですか!?

 ちょっと飛び跳ねたい気分です!何てったって公爵様かつ、超美少女から興味を持ってもらっているとなればさぁ…。

 ねぇ?そうでしょう!?


「…あ~えっと、ヴァールハイトのご令嬢に興味を持っていただけるのは光栄です。先ほどの無礼な言葉遣いをお許しください。しかしノート公爵も中々に大概ですよね!?このおバカなアトリアはまだしも、ノートちゃん…ごほん、ノート公爵様まで、不意打ちで魔術を行使するとは…。しかも、アトリアまで巻き込みましたよね!?こんなしょうもない、会話をする間柄ではありますけど…アトリアには恩もたくさんあるんですねぇ。私だけならまだしも、彼女まで巻き込むのは見過ごせませんよ!?

 ダメですよ!?暴力反対!…ごほん。すいません。」


「おぉ~!?ク、クラっちぃ!?ど、ど、どうしたの~!?あたしを庇うなんてさぁ~!?あ、あ、頭、ついに壊れちゃったの~!?ごヴぇ!?」


 動揺してんじゃねえよ!?恥ずかしいでしょ!?

 両手わさわさしてるバカ垂れのアトリアの頭を、もう一度軽くゴツンと小突いてやります。

 恥ずかしいからねえ!色々と!


「壊れてないわ!このおバカ!まぁ、『微笑む災厄』と呼ばれるアトリアがあの程度でやられるわけもないとは思うが、ついぞ身体が動いてしまっただけだわ!」


「痛ぁ~い!?また小突くなんてひど~い!!」


 確かにな!ごめんね!何度も小突いてさ!?

 その時魔眼での解析で…あ~、アトリアの感情が酷く動揺しているのを確認してしまった…。

 しかも少し顔が赤くなっている。

 流石に気まずいなぁ。


「の、ノートちゃん!?ご、ごほん!うふふっ。本当に羨ましいご関係です。そして確かにアトリアさんも一緒に魔術の範囲内でした。申し訳ございません。ですが、アトリアさんもこのグロワール【栄光】のクラスに配属されるほどの実力者。仮にあなたが先ほど述べたようにアトリアさんを庇わなくても、彼女であれば対処はできるはずですから。

 それに一番最初に見せていただいた『第5階梯:雷:ミョルニル』。とても美しかったですよ?私は魔杖を持たない状態で同じ『第3階梯』の魔術のぶつかり合いで相殺はできましたが…実のところ私が魔術を行使できる階梯は『第4階梯』まで。『第6階梯』まで完全に使えるアトリアさんに軽く嫉妬をしてしまったのです。うふふっ。本当に羨ましい限りですよ?アトリアさん?」


 おい、今一瞬だけ素みたいのが出なかったかな!?

 んでも…相変わらずすぐに目を細めて、ノートがアトリアを見据えて毒舌を吐きますなぁ…。

 勿体ねえ!こんなに可愛いのに!


「ノート公爵。第4階梯までしか使えずアトリアに嫉妬した…との事ですが、魔杖やその他の魔導具を使わず素手のみで魔術を行使できるなんて聞いたことがありませんが?その時点で嫉妬して攻撃してくる必要はないのでは?」


「あら?お褒めいただき光栄でございます。そしてなにより、あなた様にこうして私の名前を覚えてもらえる日がくるとは…。本当に待ち望んでいたのですよ?あなた様に出会える事を。あの名高きウンシュルトの唯一の魔眼持ち、とても興味深い…。禍々しくも紅く輝く綺麗なその瞳…ぐへへ…あ!ごほん!美しいですねぇ?」


 …おい、今変な声洩れなかったかな?

 何かやっぱり可愛いぞ?この銀髪美少女!


 …魔眼の解析によれば、この銀髪少女は俺に…まぁ良いか。それよりも、教室扉の前で感じた、何処か試すような感覚を発していたのは、この子かぁ…。

 それよりも抗議しているのであって褒めてはないんだがな!

 …あれ?公爵に抗議とか、俺、処刑されませんか?大丈夫でしょうか!?


「私も数多くの強豪と切り結んできたが、お前は一つ群を抜いているな。私がお前の気配に気づけんどころか、ノートの魔術という不意打ちの後、さらに私が不意打ちしたにも関わらず、一合と斬ることさえ適わんどころか、逆に手痛い反撃を食らうとはな。俄然お前に興味が湧いた…。もう一度斬りあってみるとしようか…?」


 噂に違わない戦闘狂らしいお言葉だぁ!?

 どうしてそんなにも、艶のあるお可愛らしいお顔をなさっているのに、居合の構えを取っておられるのでしょうか!?思っていたのと違うよ!?


 あぁ…!王女様、ガチの戦闘狂ですわ!?再び攻撃の意志を読み取れます!!厄介な人に目をつけられたなぁ…!!

 ってやっべ!?この王女から、あれが来るじゃん!?



「…『基本剣術(きほんけんじゅつ)応ノ壱(おうのいち):しゅ…っ!!」



 っ!!『聖銀ミスリル』階段の上から魔術発動を俺も感じ取ったよ!!



「うるせえ!!『第4階梯:光:グランツシュペーア』!!」


 俺とエルナト王女の間に割り込むようにギュイーンっ!と光線の槍が飛来して来た…。

 こっわ!?こんなのに当たったら、見事に身体に風穴が空いて空いてしまいますね!


「おい、てめえらそこまでにしておけよ。ブリッツシュラークから始まりヴァールハイト、そしてなによりもエルナト…何やってんだ?黙っていりゃ止まる気配もねぇ。おいヴァールハイト。エルナトを止めんのはてめえの配分だろうが。」



 あの~このお方怖いんですが?

 拳銃型の魔術媒介、『灯火の星(ルチェルナ・ステラ)』『宝玉等級:エメラルド』を持ち、銃口を俺とエルナト王女に向けて、耳元とうなじ付近までかかり、少し毛先がぼさっとくせ毛のある感じの金髪。そして目元まで少しかかる金髪の間からギロリと睨むように覗き込む碧眼かつ、かなりキツい印象の三白眼の男子生徒…。

 胸に付いている宝石はルビー。

 つまりはこの光弾を放ったこのお顔が怖えお人も、公爵だということですかい。


 そしてあの魔銃、全体的に鮮やかな黄赤で…グリップ部分に翠玉石がはめ込まれているか。 

 …綺麗なのと同時に殺意マシマシな魔術媒介だねぇ!?



 まあそれはともかくさ…ねぇ、今のところ侯爵が俺だけなんだが?



「…おい、どういうつもりだ?レグルス。今まさに私が攻撃をしようとしたと言うのに…。まずはお前からか?なぁ?七公爵家で最も王族に忠誠心が高いお前の家が、何故私に牽制などをする?」


 ほぇ?何か…俺置いてけぼり何ですけど?

 それと王女様!可愛いのにこれ以上の暴力はやめましょうよ!?


「あぁ?どうもこうもねえよ。こうでもしねぇとてめえは止まらねえだろうが。俺はそこの魔眼持ちがどうなろうと知ったこっちゃねぇんだよ。だがこれ以上暴れられると収拾がつかねえんだよ!この教室の惨状、一体どうするんだ?

 エルナト、てめえに責任を押し付けてどうにかなるならそれでいいけどな、もうそういう次元じゃねぇだろ。見ろ!周りを!教室の部屋自体は何かしらの魔術結界で覆われているみてぇだから無事だがな、その他の設備が滅茶苦茶じゃねえか!」


 はい!その通りです!怖いのにめっちゃまともな事を仰いますじゃないですか!!

 俺の唯一の味方がここに!!

 そしてその魔術結界も『至高に栄光あれグロリア・イン・エクセルシス』という魔導具による物ですわぁ~。


「何だ?そんな程度の理由で、私の邪魔をしたというのか?どうでもいいな。そんな事。私は強い奴と斬り合えればなんだって構わん。そこの魔眼持ち、私以上かもしれん。まさにやり合えそうだったにも関わらず…。レグルス。お前のしたことは王族に反発するも同然だぞ?お前から切り刻んでやろうか?」


 …やめましょうよ!そろそろさぁ!!いい加減俺を席に着かせてください!

 あなたずっと居合状態を解かないじゃないですか~!!


「だぁ!!クソったれが!これだから面倒くせえ!おいヴァールハイト!さっさとこの頭のネジが飛んだクソを止めろ!」


「え?あ!これは確かに。アトリアさんの最初の一件で、つい私も昂ってしまっていました。エルナト王女殿下?今回はここまでにしましょう。」


「ちっ!レグルス。命拾いをしたなぁ…?ノートに免じて刀を収めてやる。」



 …ノート公爵様?さっきから、ずっと俺の方を見て、ぼんやりしてましたが?大丈夫?

 ようやくエルナト様が構えを解きますか…。

 な~んでこんなにも可愛いのに、戦闘狂何でしょう?

 にしても…はぁ、ようやくこの意味不明な状況が終わる…。

 っ!流石に魔眼を酷使しすぎたかねぇ…。脳が割れそうです~。


「助かりました。本当に一触即発でしたので。」


 お礼は大事です!なので、案外まともなレグルス公爵に声をかけると…あ、あれ?めっちゃギロリと睨みつけられてるんですが?何でよ!!今度こそ俺に対して、殺意の意志を魔眼が読み取れるんですけど!?


 ああ!!お待ちになって!俺に銃口を突き付けないでください!?


「あぁ?誰のせいでこんな事になったと思ってやがる?元はといえばてめえが来たせいでこんな事態になったんだろうが!!今度こそ光弾をぶっ放されてぇか!!」


 いや!不可抗力!!そして答えますね!心の中で!

 光弾をぶっ放されたくねえです!!


「あちゃ~!!クラっちごめ~ん!!レグルス公爵の短気な部分すっかり頭から抜け落ちちゃってた~!!アッハッハッハッハ!!!ごヴぇ!?」


「アトリア!!笑い事じゃねーよ!またヤバい奴を怒らせちゃっただろうがあ!!」


 またもやゲラゲラと笑うアトリアの頭を小突きながら、レグルスを見る。



 

 思い出した。レグルスという名前かつ、公爵の家系かつ光属性の魔術を行使するのは、あまり良くないイメージを持たれやすい事で有名な人物。


 レグルス・アフ・グラオザーム。

 魔術師階梯は『宝玉階梯ほうぎょくかいてい:ルビー』


 アトリアのように広範囲に渡る派手な魔術は持っていない。

 しかし先ほどの槍の光線のように、対個人に特化した光の魔術で確実に相手を貫く。

 媒介は魔銃で遥か後方から魔術で撃ち抜かれるため、そもそもレグルスの存在に気づく前にやられる。


 グラオザーム家は魔物討伐などには殆ど出向かず、王国やその他の国家に潜む盗賊団、裏の組織などの人間、強者討伐が主な仕事としている。


 エルナト王女が戦闘狂なら、レグルスは執行人エクスキューショナーと言ったところか。

 レグルス自身、あまり人に関心を持つことはなく、面倒くさがりな一面なでマイナス印象を持たれやすい。

 例としては先ほどまでのように事態が大きくなるまで全く行動を起こさないなど。


 二つ名は『無慈悲な閃光』


 面倒くさがりではあるが、仕事は真面目に確実に達成させる人物…。



 俺の唯一の味方と言う考え…撤回です!!

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