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魔眼の名門家の俺は、常時発動するタイプの魔眼のせいで平穏な学園生活を送れません!  作者: はーにゃ
5 執行人の魔術科指南

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63 魔術科指南

「おいおい…。朝から雷雨かよ…。あのきかん坊、ブリッツシュラークみてぇじゃねえか。」


 俺はレグルス・アフ・グラオザーム。

 家の裏稼業ばっかりで、心を切り離して、魔銃のトリガーを指先が引けるようになっちまった。

 …おかげで殺しが当たり前になって、いつしか心がすり減り、荒んでいたぜ。


 だからここ王都にあるルミナス王立学園に入るなんざ、俺には似合わないってな。

 裏社会の屑共でも人間だ。

 殺しがいかに、人の心を壊していくのか…どうせ分からねえクソボンボンの甘っちょろい貴族共だろ?


 何でそんな場所に、学園に、今更行かなきゃならねえのか…最初は分かんなかったがよ。

 俺の状態を流石に見かねた両親が、世の中の常識を学んで行けと、無理やり入学だ。


 んで、俺の選抜されたクラスは…燦爛クラス:栄光【グロワール】だぁ?

 マジで何が栄光だと、こんな血で染まった俺が栄光とは、どんな皮肉だよ。

 来た奴らも、頭のおかしな奴ばかり。


 スピカとか言う侯爵の人間以外は全員知っている。

 王都の中にあるし、七公爵家。

 内1人は頭のネジが吹き飛んだエルナトだ。


 んで、この5人で終わりかと思えば、急遽もう1人来るという。

 侯爵の人間だから、スピカとか言う奴と同じく分からねえ。

 しかし、ウンシュルトと言えば、最近どうも調子がおかしいみてえじゃねえか。

 魔眼の名家でありながら、魔眼持ちが1人だけ。

 そいつがここに来るんだとか。


 ま、かなり正直もう心がすり減ってたから、紅眼の野郎がブリッツシュラークや、ヴァールハイト、んでエルナトの戦闘バカの王女の茶番劇を眺めてた。


 流石にうるせえから魔銃をぶっ放したが。


 にしても…どうにもこの紅眼の野郎、どうやって気配を一切探らせずに教室に入ってきたのか…。

 ブリッツシュラークの魔杖を吹き飛ばして、ようやくそいつがいる事に気づいた。

 気味が悪いが…どうにも憎めない良い奴だったな。

 荒ぶる俺の暴言を、臆せず謝りに来やがった。


 …こいつは少しは楽しく過ごせるかもしれねぇなと、入学式からそう思う事が出来たぜ。

 そしてこの3ヵ月は紅眼の…クラートを中心に動いていったんだ。












「では稽古日2日目だが、今日もクラート、エルナト、ノートは[カエルス演習場]に向かうように。それと本日より、六大魔術師団も来ている。共にレグルスとアトリア、スピカは魔術科の方に指南に行ってもらう。特にアトリア。悪戯は厳禁だぞ?」


 うあ?マジか?指南って何するんだよ。


「ヴぇ!?せんせ~。そんな事しませんよ~!?」


 …いやこいつは何度もやらかしてんだろ。

 何回クラートを困らしてんだか…。


「いや…ブリッツシュラーク。てめえ何度もクラートに向けて雷をぶっ放してるだろうが。言われても仕方なくねえか?」


「え~!?レグっちもそんな事言うの酷~い!!


 このおバカがぁ!!何度この教室やら、そこのサロンやらぶっ壊してると思ってやがる!!?


「今回てめえを見張らなきゃならねえ俺の気持ちを考えろ!!」


 スピカがいるにしても、こいつはマジで何をしでかすか分からねえんだぞ!?


「…先生。今日は魔術科ではなく、騎士科に私も同行しても構いませんか?」


 は?おいおい!待ってくれよ!?何で!?スピカ、てめえはどっちかと言えば、魔術師方面だろ!?

 流石にそんな了承されるとは思わねえが…。


「…ふむ?…ああ、なるほど。君がそう私にお願いするのは初めてだ。良いだろう。レグルス、済まないがアトリアの面倒を頼む。」


 はああああ!?俺がこのアホを1人で見張るのかよ!?つか、何で今日はあっさりと了承したんだよ!?


「え!?先生!本気で言ってるんですか!?ブリッツシュラークを俺一人で見張らないといけないんですか!?」


「面倒って~、せんせ~!?あたしを何だと思ってるんですか~!?」


 どうも何もてめえは暴走馬車馬だろうがぁ!!


「てめえ、自分の二つ名を忘れたのか!?『微笑む災厄』だぞ!?」


「ふっ。レグルスであれば一人でも問題なくアトリアの制御を出来ると思ってのことだ。では、各々の場に向かえ。ホームルームは以上だ。」


 おいおいおいおい!!マジで言ってるのか!?スピカが行ってしまうかよ!?






「それで先生。魔術科の指南との事ですが、俺とブリッツシュラークは戦闘特化。どこの魔術師団が来ているんですかね?やはり主力でもあり、最も人数の多い『赤曜せきようの魔術師団』ですか?」


 ていうか、そこの団長とは仕事柄たまに会うから、顔見知りなんだが…。

 それと、クソ…仕方ねえからブリッツシュラークの手綱をどうにか握るしかねえ。


「今回、来訪しているのはレグルスの言う通り、6位の『赤曜せきようの魔術師団』だ。魔術科は人数が50名と少ない。下位クラスと中位クラスの教室。そして、上位クラスと最上位クラスの教室の2つのみ。最初の3日は下位クラスと中位クラスから、残りの4日で上位と最上位クラスの指南となる。指南場所は、[カエルス演習場]が使えないため、やや狭いが一般校舎にある[アウグストゥス大広間]になる。

 そもそも何故君たち2名にも魔術科に行ってもらうかと言うと、明日に来る、第2位の『緋色の魔術師団』から君たち二人の実力も見たいとの事だ。スカウトでもしたいのかもしれないが…一先ずは向かってみてくれ。」









 説明になっちまうがな、ルミナス王国には、国直轄の6つの魔術組合が存在するわけだ。


 名を『ルミナス王国・六大魔術師団』


 第6位:『赤曜せきようの魔術師団』

 役割は王国主力の(メインフォース)だ。

 基本元素魔術(炎、水、風、雷)などの第1~第3階梯をメインに扱う連中だ。

 特徴としちゃ、『琥珀騎士団』と連携し、王国のパトロールに魔物討伐や防衛にあたる、最も一般的で人数の多い実力集団だな。

 仕事柄、団長とは顔見知りだ。


 第5位:『翠緑すいりょくの魔術師団』

 役割は後方支援・特殊戦と言う珍しい部隊だ。

 自然魔術(樹木、大地)と、治癒魔術のスペシャリスト集団ってところか?

 特徴は、戦場の地形を変えたり、味方を癒したりするんだとよ。

 直接的な火力は低いが、いないと戦線が崩壊する重要なポジション何だとさ。


 第4位:『紫電しでんの魔術師団』

 役割は対人・対魔術師戦を専門とする特殊かつ嫌な奴らだ。

 まぁ要はグラオザーム家のように強者を相手にする特殊魔術師部隊だ。

『結界障壁や強化(聖)』と『重力(闇)』『遠距離(光)』が必要とされるんだわなぁ。

 相手の動きを封じたり、戦技や魔術を防いだりする防御・妨害のプロ。

 そんで、一人一人確実に始末していく…。

 一見地味に見えるだろうがな、まぁ戦いでは最強と言われるイヤな奴らだよ。

 けっ!ヴァールハイトにはお似合いだろうな。


 第3位:『蒼竜そうりゅうの魔術師団』

 役割は敢えて言うなら『赤曜の魔術師団』の上位、と言ったところか。

 この魔術師団から人数がかなり減る。

 何しろ「魔術師」事態はそこそこいるにしても、『宝玉階梯:サファイア』まで登り上がれる「魔術師」は限られていやがるからなぁ。

 ヴァールハイトの奴もクラス混同試合で言っていたように、『エメラルド』と『サファイア』には歴然とした差があるからだ。

 確かに『宝玉階梯:エメラルド』でも、貴族の優れた血筋があるならば、最上位クラス:リュミエール共のように『第5階梯』の大魔術を「形」だけは扱えるだろうよ。

 余分に魔力を使っちまうし、そんでもって魔力制御も出来ていねえ、威力の足りねえお粗末な「形」だけの『第5階梯』の大魔術をな?

 6~4位の『魔術師団』は各々扱う魔術属性と、得意とする分野で分かれていたが、『蒼竜の魔術師団』からは王都のパトロールを除いて、6~4位全ての役割をこなす。

 だが治癒術師と聖属性を扱える者はもっと限られているから、結局は6~4位の『魔術師団』と連携は必須だ。


 第2位:『緋色ひいろの魔術師団』

 役割は超攻撃特化バトルメイジだ。

 純粋な『火力』を求められるのもそうだが、戦場に応じて臨機応変に動き、白兵戦もこなせる完全な戦闘の『プロ』だな。

 あらゆる魔術系統の第5階梯、第6階梯を扱うのは当然だが、第1階梯~第4階梯全て上手く扱う、王国の『戦略兵器』だ。

 属性に縛られねえ、魔術で敵を速やかに排除、殲滅していく戦闘集団。

 当然他国にも恐れられる恐ろしい奴らだよ。

 ああ…でここが事実上のトップで、魔術師団を纏め上げてんだ。


 第1位:『天元てんげんの魔術師団』

 役割か?聞きたいか?

 規格外のバケモノ共だ。 あいつらは『第7階梯』とか、あるかもわからねえ『第0階梯』とかを使う連中だ。

  ちっ!『金剛騎士団』が物理の最強なら、野郎共は魔術の最強だな。 何がヤベエかって?あいつらはもう『炎』だの『水』だの、そんなケチなもんは使わねえ。


 奴らが使うのは、『純粋な破壊そのもの』だ。例えば、第6階梯が『雷』の槍を落とすんだろ?奴らは違う。『空』そのものを引き裂いて、そこにある『何か』を叩きつけてくる。属性なんざねえ。ただ、そこにあったものが消し飛ぶだけだ。

 第6階梯が『炎』の嵐を起こす? 奴らは、『無』を放つ。 熱じゃねえ。冷気でもねえ。ただ、奴が指さした先が『消える』。魔術だろうが結界だろうが、関係ねえ。存在ごと抉り取られる。


 はぁ…言ってて意味わかんねえだろ? だから魔術じゃねえ。

 あれは『天災』だ。 『天元』ってのは『世界の始まり』かなんだか知らねえが、あいつらがやってんのは『世界の終わり』だ。 まさに、ぶっ飛んだ連中共だ。

 だが野郎共は顔すら見せもしねえ。

 何やってんだか。

 俺の稼業を手伝えってんだ。


 

 さて、六大騎士団とは違うのは、最低『宝玉階梯:エメラルド』の称号を持っていねえと、6位の『赤曜の魔術師団』でも入団資格がない。

 流石に魔術を使えようが『宝玉階梯:アメシスト』以下じゃ、騎士団とは違いまともな戦力にならず、足を引っ張るだけだからな。

 




 俺とブリッツシュラークはサロンから『ゲート』を潜り、魔術科のある校舎まで来ている。

 なんていうかなぁ…。

 ここは、日差しが殆ど入らない、大理石の床に、アーチ状の石造りの廊下。

 これまた石造りの円柱が幾つか立ち並んでいて、壁に青い炎の灯る魔術の燭台『永炎の燭台プィロルクス・カンデラ』『宝玉等級:サファイア』が並んでやがる。

 まぁ、イメージとしては洞窟に近いかもな。

 こんな鬱蒼とした場に魔術科はあるのかよ。

 んで、今は下位と中位クラスの教室に向かってんのさ。


「はぁ…マジか。ブリッツシュラークの面倒を見ながら、一般生徒の指南かい。気が重くて仕方がねえんだが?さらに言えば『赤曜せきようの魔術師団』団長とは見知ってる相手だしな。」


 大体クラートの役目だろ、こいつの面倒を見るのはよ。


「ね~レグっち~。最近クラっちと、ノートっち、何だか良い雰囲気だよねぇ~?昨日あたしが~扉にむけて~、魔術を放ったらさ~、クラっちがノートっちを抱えて、もうそれはそれは~甘い雰囲気になってた~!」


 …ほーん。

 クラートの奴がか…。

 あいつも色々と大変そうだったが、まさか最初は掴みどころのないヴァールハイトと良い関係にねぇ…。

 以外な組み合わせだが。


「ブリッツシュラークはそれで良いのか?クラートと腐れ縁なんだろう?最初こそ、かなり良い関係だと思っていたがな。」


 ブリッツシュラークの方を軽く見てみると…まあ、悲しそうではあるか。


「スピカっちもさぁ~。十中八九~、クラっちの事が好きだよ?だから騎士科の方に行ったんだよ~。」


 奴も大変だな。

 こうも燦爛クラスがめちゃくちゃになり始めるかよ…。


「でも~その分!レグっちがいるから平気~!!きちんと周りを~見てくれるからね~!!」


「…かなり殺しをしている身だがな。『無慈悲な閃光』たぁね。ま、そんな事は後だ。さて、着いたぞ。さっさと開けて、挨拶をさっさと終わらせるぞ。」




 そんでもって俺とブリッツシュラークは、下位クラスと中位クラスの教室に入る。

 教室の見た目としちゃあ、あの石造りの洞窟みたいな教室って感じだ。

 スクール形式で、すべての机と椅子が前方(演台)に向かって並べられたレイアウトだ。

 まぁ、一応事前に俺たちが来る事は聞いてるはずだが…。

 ちっ!どいつもこいつも自分たちは下で、上昇志向が感じられねえな。

 だが、挨拶はしておくか。


「急に入って悪いがな、もう既に聞いているはずだとは思うが、とりあえず3日間てめえらを見る事になった。

 1年燦爛クラス、レグルス・アフ・グラオザームだ。」


 シーンと静まりかえるかい。

 はぁ…俺の顔のせいだけでもなさそうだが…。

 ぽかんと間抜け面を晒しやがって。


「は~い!!あたしが~!!1年燦爛クラスのアトリア・ディ・ブリッツシュラークだよ~!!ほら~拍手~!!」


 …何を周りを伺って、うじうじとしやがってよ。

 全く、仕方ねえ。

 一応、魔導具の『志を持て(プロポシト・テネレ)』による防護障壁が教室内に張られてるみてえだが、


「『第5階梯:光:ゾンネルシュトラール』!」


 腰ベルトに吊り下げられたヒップホルスターから『灯火の星(ルチェルナ・ステラ)』『宝玉等級:エメラルド』を抜き放ち、後方に向かって大魔術、しかし派手ではないただただ、超遠方にいる奴を確殺するための、超灼熱の光線をギュイーン!!と、ぶっ放してやった。

 ただの一本の光の光線じゃねえ。

 かなりのドカン!とした余波が伝わるはずだ。

 はっ!急な魔術だからな!どいつも身震い起こしてやがる!


「お~!!レグっち!!いきなり派手な挨拶~!!ほら~皆こっちこっち~!!」


 …なんでこいつはにっこにこずっと笑ってられるのか、不思議なんだがな!


「おいゴラぁ!!陰鬱な表情してねえでさっさと、なんか反応しろや!!てめえらの上昇志向の無さには呆れてんだよ!何を呑気に学園生活をこのまま、過ごしていればいいなんて思ってやがる。顔に出てんだよ。てめえら、俺が放った魔術に限らず、強者に運悪く会っちまったらどうするんだ?殺されて終いだ。

 俺は家系の都合で何人もの人間を葬ってんだよ。おら、人殺しの達人がてめえらの目の前にいるぞ?」


 おっと、平民だからか、グラオザーム家が裏の住人共を殺している事は、あまり知らなかったか?

 けっ!畏怖の目で見てねえでなんか言えってんだ。

 んでそもそも、このクラスの生徒と同じく教室に入ってから何も言わず、固まっている隣のやつに、


「おい、ここの担任よぉ?一体何を教えていたんだ?ああ?」


 睨みを利かせて銃口を向けてみたぜ。


「ひっ!あ、挨拶が遅れました!も、申し訳ございませ…っ!!!」


「『第4階梯:光:グランツプファイル』!」


 教師を避けるように、神聖属性もある光の矢を銃口から放つ…。


 けっ!見事に教室の背後に矢が貫通しちまったわ。


「おお~レグっち~!!教師にも容赦な~い!!あっはっはっは~!!」


「教師がそう簡単に生徒に謝ってどうすんだよ。ブリッツシュラーク。とりあえずもう間もなく魔術師団が来る頃合いだろう。ここの後方で眺めてみるとしよう。」


「ほ~い!!そ~する~!!」


 真ん中を歩く俺たち。

 どいつもこいつも顔を伏せやがって。

 みっともねえ。


 …ああやべ、さっきの灼熱光線で壁に思いっきり穴が空いちまったわ。

 所詮は『宝玉等級:アメシスト』の防護障壁かい。 

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