62 庶務 兼 風紀委員3
床で寝ていた影響で若干身体が痛いが、2日間の休日は終了。
今日からまた登校しないといけない。
…だるいが、こんな時のためのポーションだ。
ある程度の脳疲労と精神回復も備えているからね~。
ちなみに汗で大変でございます!!しかし用意された個室にはシャワールームがあるのです!
なんと素晴らしい!!
ちゃっちゃと支度を済ませて制服に着替え、いつも通りポーションを仕込みます。
さっきまでの悪夢?でここまで精神疲労が治らないのは久方ぶりですね~。
「(―俺の魔眼の名は…『救済の魔眼』。君の孤独を救おう。―)」
「(―家から逃げるくらいであれば、私にその紅い魔眼を下さいよ!!―)」
…あ~いけません!考えていると鬱々としてきます!!
と言うわけで、朝食も済ませて馬車の中です。
中には俺とエルナトだけです!なんで!?愛するお2人は別の馬車に移されてしまいました!
「おいクラート。馬車の中になぜ私だけなのか…昨日の事を考えたら良くわかるよなぁ?」
あの~そんなギロリと睨まんでも…俺氏がスピカとノートをたぶらかしてしまって申し訳ないけどさぁ~。
「わ、分かってるよ?今日の朝もイチャついて風紀を乱してしまったからですね。ごめんなさい。」
「昨日私と共にヴァールハイト邸のクラートの自室に行ったがな、…頭を抱える程の異常事態の生々しい声が私の頭から離れないんだぞ?相当やらかしているではないか?あぁ!?」
カチャリと刀を鳴らしております!!怖いです!!
「ちょちょちょ!俺も相当やらかしてあれは冷や汗たっぷりだったんだ!!昨日談話室でお互い頭を抱えていたでしょ!?」
「分かっているならイチャつくなぁ!お前は庶務 兼 風紀委員だろうがぁ!!」
やややヤバいです!?刀を振り抜きそうな勢いですよ!
「わわわ悪かったから!!怒らないで!?」
はぁ、一年の上流科校舎までついたぁ…
「ああ…2日ぶりだけど、久しぶりに見た気がする…この1階の大広間。」
1階は『始まりの大広間』と言うんだとさ。
床?相変わらずのやたら広くて、ご丁寧に磨き上げられた黒曜石と大理石の幾何学模様だよ。
2階まで吹き抜けになったような、開放的な空間にとにかく天井まで届い、これまた巨大なアーチ状の白い大理石の天井。
その天井から吊るされた壮麗なシャンデリアが幾つも並んでおりまして、決して消えることのない『永久炬火』の刻印が刻まれた『魔法の炎』として辺り一面を照らしておるんです。
あれもまた魔道具で『永炎のシャンデリア』何だよ~。
『宝玉等級:サファイア』と高級だぞ!!
中央に常に清らかな水が流れる、大理石の噴水がありますわぁ。
そこら一帯に休憩できるちょっとしたスペースもあって、座り心地のよさげな長椅子も幾つか。
こんな貴族生徒で溢れかえる、活気…俺には騒音でしかねえけど、よくぞまぁ休憩なんて出来るものだねぇ~。
んでと、壁に2階から6階へと続く、深紅の絨毯が敷かれた、緩やかな曲線を描く大階段があって、6階が俺たちの燦爛クラスの教室と、その他サロンなどがあるわけですねぇ。
2~5階は下位クラスから最上位クラスがありますよ?
ちなみにこの大階段、地下にも繋がってましてね?
地下1階が大食堂と職員室、そして地下2階が大図書館、そして地下3階が[ヴィクトル演習場]となっておりますよ!
なんでそんな大事な事をまたまた早く説明しなかったのかって?
まさか3ヶ月でここまで大波乱になるとは思わなかったからだよ!!
「おいコラ!ボケっとしてないでさっさと歩け!この女たらし!」
「痛~い!?エルナト様!?ちと厳しくね!?」
エルナトに思いっきり背中を蹴られました。
とっても痛いです。
はい、6階は『白銀の回廊』と言うらしいです!
え?だって…『聖銀』製の眩しくて仕方ない、特殊な床の廊下が続いているからなんですねぇ!
窓は左に『聖銀』の間に点々とあって、天井も『聖銀』でギラギラと!
天窓もその『聖銀』の間にあって日の光が滅茶苦茶入って来るんです!!ああ、眩しいよお!!助けてぇ!!
右の壁には天候悪い日や、冬場のように日が落ちやすい暗くならなくならいように、『光石』と呼ばれますね?魔法石の明かりが取り付けられておるのです!
しかし驚くなかれ!こいつは消耗品の魔法石ではないのだよ~。
加工職人が魔法石にした後、『ルミナス王国六大魔術師団』と呼ばれる騎士団とはまた違う、魔術師によって更に改良!!延々と輝くのです~。
は?何でここで今更説明するのかって?…察しろ。
あ~で、右にサロン…ラウンジもあるけど4つほどマホガニー材の扉があるんだ。
…ノートの魔術を受けてぶっ倒れ、そしてノートと仲直りを出来た部屋も分かれてる…。
それぞれの部屋に『門』もありますぞい。
…あ、んで、廊下の途中にも『門』がありますからねぇ!
もうこんな凝った使用にしなくても良いじゃん!とは何度来ても思います!
そんでもって長い廊下の一番奥の突き当りに「聖銀」製の魔術刻印が幾つも刻まれた、教室の巨大な両扉があるわけです。
本当に何なのでしょう?この学園?
説明が遅すぎる?うるせぇ!
「おいクラート。お前一体何をさっきからボケっとしている。さっさと歩けぇ!!この女たらしが!」
「痛~い!?お願いだから蹴らないで!!?」
さっきからエルナト様がとても厳しいです…。
ちなみにスピカとノートですか?
俺がイチャ過ぎるのを見かねた、エルナトに強引に別行動させられまして、後ですぐに教室に着くと思いますよ?
俺とエルナトが教室に入り、その後スピカとノートもやってきて…何だか久しぶりな気持ちにもなるリゲル先生も入ってきた。
ちなみにここの教室、空間全てが白一色で、床から壁、天井に至るまで全てが『聖銀』で作られての階段形式状で、ところどころに魔術防壁の刻印が刻まれたいく幾何学模様が幾つか。
設備の外観?これは普通?でいいのか知らないが、宝石のルビーのように煌いている感じの…まぁ、俺の目を潰しに来るこの机に…背もたれが非常に高く、黒い革張りの、『紅玉石』製の装飾が施された椅子…。
しかも自動修復する魔道具ってんだから…。
教室の外観ではありませんね。
「久しく全員そろった…わけではないな。レグルスとアトリアは一昨日まで連続1週間、魔術科まで出向いていたからな。本日は4人。騎士科の稽古はご苦労だった。そして、本日よりクラートとエルナトが生徒会の一員と正式に決定された。授業後の昼休みに一度、生徒会室まで出向くように。ふむ。それでは授業を開始する。」
授業後のお昼休み、大よそ1時間ですが…地味に面倒くさいのと、後はウェズン書記以外に誰がいるのか…。2年生の燦爛クラス3人全てが生徒会のメンバーで、後は3年の燦爛クラス1名か。
残り3名…。
憂鬱な気持ちになりながら、『中央評議院』にある巨大な両扉を開ける。
「はぁ…ウェズン書記以外だと誰がいるんだろうな?何だか憂鬱。」
階段を昇ってますけども、回れ右して降りたい気分ですよ。
「さてな。とにかく会ってみなければ分かるまい。まぁ、シリウスがいるのだ。そこまで緊張はしなくても良いんじゃないか?今回は会議室でもある4階だ。」
3階は円形状に広がる廊下だが、円形状の真ん中にある螺旋階段を昇りきる。
たった2つしかない扉。
まぁ贅沢に使うものだわさ。
同じく円型の廊下だね!大理石で出来てる床がコツコツと音を鳴らしています。
階段を上がった背後に黒曜石と大理石の幾何学模様のある扉が、シリウスさんの使う生徒会長執務室。
んで前にある重工なオーク材の扉が会議室か…。
「そら、開けるぞ。いつまでもそうやって突っ立っていても仕方あるまい。」
「エルナトは本当にガツガツ行くよね~。」
「お前に言われたくはないぞ。女たらし。」
どうでも良い会話を繰り広げて、扉をあける!
すると中にシリウスさんとウェズン書記も合わせて5人勢ぞろい。
うげ…一斉にこっち見てんじゃん。
するとシリウスさんが口を開く。
「来たか。クラートにエルナト殿下。もう既に会っているが、ウェズン・ツー・ノルム公爵だ。」
ペコリとお辞儀するウェズン書記。
昨日と同じ、水色の髪を毛先が若干外ハネしている、レイヤーボブスタイルで垂れ目が特徴ですね~。
可愛いです!!はっ!エルナトが俺を睨みつけております!
「次が2年燦爛クラスの、アンタレス・ヴァン・フラーメンヘルツ公爵。役職は会計監査だ。」
フラーメンヘルツ公爵と言えば、炎の属性魔術を代々受け継いでいる家系か…。
真っ赤な髪は肩まで届きそうなちょいふんわりとした、やや長めのスタイル、堂々と背筋が伸びた男子生徒。
しかし…え?なんだか容姿端麗な優男って感じ~?スゲーモテてそうですね!
「ふふ。やあ!君たち二人が新しく入った生徒会メンバーだね。初めまして!シリウス会長からも紹介された通り、僕がアンタレス。2年燦爛クラスの、アンタレス・ヴァン・フラーメンヘルツだよ。よろしくね!クラート君にエルナト殿下!」
うわーお…見た目通りめっちゃ明るいじゃん!?これ絶対無自覚に女の子をたぶらかしているだろ!?
エルナトは…やや顔をしかめております!!
「こほん。はい。俺がクラート・ウンシュルトです。よろしくお願いします。フラーメンヘルツ会計監査。」
「ああ。新しく入ったエルナト・ルクス・アラリオン・ルミナスだ。よろしく頼む。」
うん、すんごい嫌そうに挨拶したね!!
「うふふ。エルナト殿下には嫌われちゃったかな?まぁでも、僕たちは一緒の仲間!仲良くしましょうね!」
メンタルも強靭ですね~。
羨ましいです!
「ふむ、まぁ中々に色男だが、能力は非常に高い。とは言え何分、女性関連で問題のある男だが。」
「あはは!褒めないで下さい!シリウス会長!」
…やべ~、俺が苦手な人だわ~。
しかもめっちゃポジティブに皮肉を跳ね飛ばすじゃん!
「フラーメンヘルツ会計監査は、まるでお前みたいだな。なぁクラート?」
「ちょちょちょ!何を言っているんだい!?エルナト!?」
「ほうほう、クラート君とは気が合いそうだねぇ~!」
「は!?ええ!?そっすね~…フラーメンヘルツ会計監査…。」
めっちゃ目を逸らして途中からボソッと声になってしまいました!!
なにせ、シリウスさんもとっくに二股の件分かってるからねぇ!!
「ふむ。では次だな。2年燦爛クラスのアルタイル・ムート侯爵。役職は会計だ。」
うん?ムート侯爵?確か…クラス混同試合で、レグルスとアトリアのチームと試合した一人ではなかったか?
「全く、フラーメンヘルツ公爵殿が失礼をしたな。俺がアルタイル・ムートだ。よろしく頼む。」
あの時のローズクォーツ・ムート侯爵と同じ桃色の髪をしている…。
フラーメンヘルツ会計監査程ではないにせよ、耳元は完全に隠れて、うなじ付近まである。
中々顔も整っていて、幻想的な雰囲気。
ううむ、これで男子生徒でございますか。
フラーメンヘルツ会計監査とは別の意味で、容姿端麗だねぇ~!!
「うん?何か俺の顔についているのか?クラート・ウンシュルト。」
やべ!!ついつい男である俺が見とれてしまいましたわ!
「いえ、そういうわけでは。クラス混同試合で妹さんのローズクォーツさんは大丈夫そうでしたか?」
レグルスも見どころのある奴だと言っていたからなぁ。
「ああ。その件か。別に平気だ。案外すぐに立ち直っていたからな。あれは良い経験だったと。」
「そうですか…。俺の燦爛クラスのレグルスも気にされていたので。大丈夫そうで良かったです。」
しっかしこの人口調とは別として、めっちゃ綺麗だねぇ~!
うっとりしちゃう!絶対にこの人も女性からモテモテだろ!
「おいクラート。お前とはまるで真逆じゃないか。なぁこの女たらし!」
「ちょちょちょ!だから言うなって!!」
「ああ、それとちなみに、俺の妹のローズクォーツはグラオザーム家に嫁ぐ予定だぞ。何やらレグルス公爵様と良い関係になれたそうだ。ムート侯爵としてもグラオザーム公爵と縁を築くのは、非常に家同士の繋がりを強められるしな。」
…ぅえ?ちょっと今何を言いました?レグルスとローズクォーツさんが!?
…エルナト?何で悩んでいるような顔をしているの?
レグルスか…。
「(―…はぁ、クラート。お前に話すべきか…。魔術科指南4日目にな…グラオザーム家のレグルス公爵が、登校した今朝方に…―)」
…シリウスさん、何を言おうとしていたのかな?
ああ…大パニックですがまぁ後でじっくりと聞きましょうではあ~りませんか!
そして…最後が副会長さんかな?
長い青髪に…碧眼の女子生徒。
これが3年の燦爛クラスか。
「では最後に、私と同じく3年の燦爛クラスの、ポラリス・ド・エーデルブラウ公爵。もう分かっているだろうが、役職は副会長だ。」
「初めまして~…。私がぁ、ふわぁ…ポラリス・ド・エーデルブラウですぅ。よろしくお願いいたしますね~。」
う~ん、なんだか天然と言うか、おっとり系というか、不思議な感じですなぁ!
流石は燦爛クラス!どこの学年でも癖が強い!!
「まぁ、このような感じではあるが、副会長としての実力は申し分ない。エーデルブラウ公爵家は代々、水の属性魔術を受け継いでいる。」
エーデルブラウ公爵家はそういや確かにそうだったな。
…水の魔術?水、水、水…っ!!!
「(―あらあらまあまあ…クラートお兄様ああ!!?もう許しませんから!!最高位魔術…まだありますからねぇっ!!―)」
「(―あらあらまあまあ…?怖気づいてしまうなんて…情けな~い!!!『第6階梯:水:エーギルランツェ』!!!―)」
…やべ~、吐きそう。
次回より101話までレグルス視点での話となります。




