55 食卓
今ですね、大食堂に来ております。
え~、磨き上げられた、一枚板の黒曜石でできた、どこまでも長い長テーブルで…とにっかく広いです!!
背もたれが高く、深緑色のビロードが張られた、座り心地の良さそうな椅子もありますしねぇ…。
床から天井まで届く巨大な窓と~、天井から吊るされた、いくつもの魔術の光が灯る、クラシックなデザインの銀製シャンデリア『永光のシャンデリア』が、食卓を暖かく照らしているんですねぇ。
『宝玉等級:サファイア』の代物です!!
俺はノートとスピカに挟まれる形で席に座っているのだが…しかしですね、現在問題が発生しております。
何がかって?…ノートとスピカの2名のお嬢様方が機嫌を若干そこねてしまったのです。
何でかって?そりゃまぁ…時はほんの少しだけ遡り、
「(―っ!!ク、クラートとベッドの中…その、あの、優しくして…?―)」スピカさん。
「(―ひぇ!?スピカさん!?わわわ、私もクラートさんと…ぐへ、ぐへへ。―)」ノートさん。
「(―スピカ、ノート、あの…ポーションをあの本棚に飾り付ける事を妄想していただけなんです…。―)」俺です。
話が食い違っていたのです!
もうそれはそれは顔が真っ赤で俺が女の子に、恥をかかせてしまったのです!
やべ~…とにかく機嫌を直してもらわねば!!
「こほん。スピカ、ノート恥をかかせて済まない。俺は先ほどポーションの件で頭がいっぱいだったんだけど、あ~その。俺もやっぱり男でさ…。あ~、シリウスさんの前もあって言えなかっただけで…その、2人とも大好きな女の子だから、あ、あ、あの興味が、えと、ありますう!?」
俺は一体この食卓で何を言っているのだろう…。
よく訓練された執事さんやメイドさんたちが、料理を、音もなく、完璧なタイミングで運んでくる前で、めちゃくちゃ恥ずかしい事をいいました!
だって仕方ないだろう?女の子に恥をかかせたなら、それを上回る恥で塗り替えなきゃならねえ。
はい、よく訓練された方々ですら、一瞬だけ固まりましたもん。
でも途中でどもりまくりました!とっても情けないです!!
そしてとっても恥ずかしいです!!
なんてったって…
「あっはっは!見事!良くぞ我らの前で恥を敢えてかいた!うむうむ!そういう誠実さが気に入っておるぞぉ!クラート殿よ!」
「あら~!とってもはっきりと言うじゃない!うふふ。いいわねぇ…私もクラート君のような美男子に言われてみたいわぁ。」
「フフッ。やはりその勇敢さ、私の目は節穴ではなかったな。」
チックショー…ヴァールハイト家の皆様の前で言ったからだよ!
ていうか、実際にそういう年頃だしなぁ!俺もよ!
…ポーション飲もう。
制服に仕込んであるアメシスト級の銀貨5枚する高価な奴だよ!
少しでも脳疲労と精神的な苦痛を和らげるためだが、まさかこんな状況で飲むとは思いもしなかったよ!!
キュポンっと音を鳴らして蓋を開けゴクリと流し込む…。
ぷはあ…沁みるわぁ…。
さて、俺はもうやれるだけの事はやった…。
ふう…ポーションがこんなにも上手く感じるなんて思わなか…
「ぅえ?ちょちょちょ!なになに!なんで2人共なんで引っ張って…ぅああああ!!」
俺なんで床の大理石に2人に押さえつけられているのぉ!?
「ク、クラート!!なら!私の部屋のベッドで…ね、寝てちょうだい!!?」
ぅえ!?ちょ、スピカさん!?
「ククク、クラートさんは、わ、わ、わわ私とも寝て下さい!!?」
はわ!?ノートさんまで一体!?
「ちょちょちょ!まま待つんだ!!2人共!!俺も2人共大事かつお年頃だけど、い、今は夕食の時間だから!って、なにを…っ!!!」
ヤバいヤバい!なんだか目が2人共目が怖いです!とりわけスピカに関しては気が昂りすぎて『極冠の魔眼』が発動しております!!眼光が蒼く輝いています!!素はこんなにも積極的な子だったのかぁ!?
しかもお2人共俺の股をまさぐってないかなぁ!?
しかも何でですか!?ヴァールハイト家の誰も助けてくれません!!
シリウスさんは…なんで面白そうに眺めているんだい!!
くそー…。つまりは自分でどうにかしろと言いたいですかい!?
試しているんですかい!?俺は家族なのにかい!?
仕方あるめえ…
俺氏、2人の背中に両手を回し、両足を胸に寄せる要領で曲げて…おりゃ!身体能力に物を言わせた跳ね起きだ!
お2人氏とてもびっくりされておりますんで…
「スピカ…ごっつんこ!…んっ!…んはぁ。ノートも。はむ!んっ!…ふはぁ…。落ち着いたか?先ずはなんにしても夕食を食べて腹を満たしましょう!!」
ええ!そうとも!ヴァールハイト家の皆様と執事さんとメイドさんの前で!2人に口付けをして宥めましたよ!これでええかい!?
くそぉ…訓練された方々も一瞬じゃなくて、今度は3秒ほど固まりましたもん。
「あっはっは!相変わらず見事!良くぞ宥めたの!」
「ああ…とっても素敵な光景ねぇ…?私もちょっと羨ましいわぁ。」
「くっくっ。済まないな。面白い光景過ぎてどうするのかを楽しませてもらった。」
…お、おのれぇ!やはり、ここは安息地ではなかったかもしれん!!
その後は黙々と、豪勢な季節の野菜を使ったスープや、柔らかく煮込まれた肉料理を半分いじけながら食べていましたよ!
まぁ魔眼の効力でマナーは完璧に優雅に食ってやったわ!ぼけぇ!!
味が分からなくなってたわい!




