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魔眼の名門家の俺は、常時発動するタイプの魔眼のせいで平穏な学園生活を送れません!  作者: はーにゃ
4 七公爵家

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54 新たな生活

「スピカ・アイスベルクを我がヴァールハイト家で保護する件については、1年燦爛クラスの担任、リゲル・アイスベルク先生より許可をいただいている。

 クラート。スピカも同じく魔眼で苦しんでいる事は、妹のノートより聞き及んでいる。ノートが我が家で匿う事を相談して来たのだ。ならば私からは何もいう事はない。ノートと同じく面倒を見てやって欲しい。

 まぁ、積もる話は沢山あるだろうが、先ずは我が父上である、テュール ・フォン・ヴァールハイト当主だ。」


 いやいやいや、えぇ~?大パニックではあるが、とにかく挨拶をしなくては!


「ごほん。初めまして。テュール ・フォン・ヴァールハイト様。私がクラート・ウンシュルトです。

 この度は私に新たな居場所を設けて下さり、誠にありがとうございます。」


 そんなテュールさんの見た目としては…あ~何というか、シリウスさんが切れ目のある、少しクールな印象に対して、銀髪をオールバックにして、顎髭も蓄えており、んで相変わらずの紫紺の瞳。

 身体も引き締まっている感じで厳つい雰囲気のある御仁。

 すまん、怖いですね。

 ノートを酷く傷つけてしまった件とかで、俺、殺されない?


「おう!よくぞ参られた!お主の事はよく娘のノートから沢山聞き及んでいる!いやー、私と我が娘ノートとの仲を取り持ってくれた恩もあるからのぉ!まぁ喧嘩もしたとの事だが、あまり気にせんでおくれ!

 本当に怒っていたなら、居場所を作るという真似はせんからな!

 まあ、もう我が家の一員。どうか気を楽にしておくれ!」


 …見た目と違って随分と気さくではないか!

 やっぱり見た目で人を判断してはいけないねぇ。


「こほん。そう言っていただけて非常に安心しました。ありがとうございます。これからお世話になります。」


 当然頭を深々と下げてますよ?何なら土下座でもしましょうか?

 でも…俺の『救済の魔眼』では確かに気さくで、優しい御仁ではあるが…これはとんでもない魔術師だな。

 流石はヴァールハイト家の当主。

 アトリアのおバカや、レグンを軽く上回る闇属性の魔術を扱う相当の実力者だね!


「おおお、お父様!!?ああ、あまりそんな話さないでくださいよおおお!?」


 などと恥ずかしがっているわりには、俺の腕にべったりと引っ付いておるんですが…?

 これでは全く取り繕うどころか、そういう関係と完全に宣伝しているようなものですぞい。

 んで、チラリとスピカの方は…もどかしそうにしているなぁ。

 くっ!仕方ない!最早この御仁にぶん殴られる覚悟で、手招きを…


「おお、すまんすまん!それでスピカ殿もクラート殿にくっつきたそうにしておる!あっはっは!隅に置けませんなぁ!!クラート殿も大変ですなぁ!!」


 なんと!お話の分かるお方!最早土下座を超えて寝下座でも…んん?いつの間にスピカが反対側に!

 くっ!マズイですよ!これ以上皆様、及びノートを怒らせてはいけません!

 しかし!俺は約束してしまったのです!どんな場面になろうとスピカを守り、全てを受け入れると!


「あっはっは!!私の前でもその娘にも、スピカ殿にも誠実さを貫く姿勢は、とても好印象ですぞぉ!だからこそ、我がヴァールハイト家にお招きし、家族として迎え入れると決めたのですぞ。まぁ、あまり緊張なされるな。」


 …ぅえ?マジで?器広すぎんかのう?俺めっちゃ皆様に失礼千万な事をしているんですが?


「よ、よろしいのですか?テュール公爵様?貴方様の大切な娘さんに失礼な真似をしているのですよ?私にはどちらも非常にとても大事な存在。…言わば、二股を続けているのです。故に…この場にお世話になる事に非常に罪悪感を感じているんです。」


 ううむ、あまりこの場で言いたくない話だが、どっちみち、ヴァールハイト家でお世話になる以上、話すしかあるまいて!


「うむ!逃げずに正直に話が出来る者だからこそ、お招きしたのだ。先ほども言うたが、クラート殿には恩がありますからなぁ!それに、かの『雷滅の鬼神』との一戦も見事である。その一戦までに至る一週間はとても苦しい時間だったのであろう?もう良い…。お主は良くぞ戦った。ここは安息地である。もう一度言うがクラート殿はもう家族なのだ。よく休みなされ。」


 そうか…ようやく…安息地か。


「感謝申し上げます。テュール公爵様。そしてお隣のお方が…」


「うむ。我が妻である、スノトラ・フォン・ヴァールハイトだ。」


 …ノートによく似ている。

 髪の色と瞳の色が違うくらいか。


「改めて初めまして。クラート・ウンシュルトと申します。本日よりお世話になります。」


 まぁとにかく挨拶は大事…ん?あれ?


「あなたがクラート君ね?うふふ。娘の言う通り、確かに容姿も良くて…眼光が禍々しくて…いいわねぇ。うふふ。よろしくね!」


 …すう…ノートのドジっ子具合とか、俺の魔眼に惚れ込む辺りは…母親譲りかなぁ?

 なんか頬に手を添えてスリスリしていて…う~ん、学園初日のノートみたいだね!なんかとても怖いです!

 しかし…『救済の魔眼』でも解析されているが、あぁ…とんでもない闇魔術の使い手だね。

 最低でもレグンと同等の実力者だわい。


「え、ええ。よろしくおねがああいいってあああ!ノート!何で引っ張ってんの!?」


「お母さま!クラートさんは私の物です!下手なちょっかいは出さないで下さいね!?」


 え!?何!?どういう事なの!?


「あら~、何を言っているの?ただ少しカッコいいと思っただけじゃない?ね?クラート君?」


 俺来る場所やっぱり間違えたかなぁ?安息地というかもう、スピカもいるし、新たな戦場ではなかろうか…。


「母上、お戯れはそこまでに致しましょう。挨拶も済みましたので先ずは新たな家族、既にスピカには自室にご案内しましたが、クラートにも用意した私室へとご案内しましょう。」


 シリウスさん!ふぇぇ…助かったぁ。

 ここの玄関ホールだけでとんでもない疲労感だよ…。









 んで、今俺はご用意していただいた自室へと、シリウスさん含めノートとスピカで歩いていま~す。

 しかし…玄関ホールから廊下全てが、磨き上げられ、鏡のように光を反射する、白い大理石の床に… 白を基調とした、美しい漆喰しっくいの明るい色合いの、オーク材の腰壁が続いていま~す。


 んで…天井まで届く、巨大な窓があって、朝や昼は太陽光がめっちゃ入って来るらしいです。

 そんでもって今は夜なので、壁にかけられた、銀細工の綺麗な魔術のランプ…あ、貴族家でも侯爵以上でもないと持っていない、廊下用の『永久光波』が刻まれた魔導具『永遠の光(ルクス・アエテルナ)』ですか…が、廊下を暖かく照らしていますねぇ。

 これもあの~1つ1つが『宝玉等級:サファイア』なので、早々手に出来る代物ではないんですがね?


 んでんでっと、時たま見える廊下の壁が、床から天井までの巨大な本棚にがありますねぇ…。

 高位の魔術書や、歴史書が整然と並んでるんです。

 廊下というこんな場で読みますかねぇ…とか思ったら、黒く長いベルベットソファがありましたわ?

 ぅえ?まじでこの場で読む気なんすね!流石は七公爵家のトップでございます!


「ノートも廊下で書物を読むの?」


 ちなみにさっきからノートがべったりとくっついて離れません。

 …あの独特な雰囲気を醸し出すノートの母と、何やら話してから逃がしてくれません。

 あの~お兄様もいますけれども…もういいや。

 馬車の中で散々やってしまいましたからねぇ!


「ふえ?はい、読みますよ。案外自室よりも集中できたりしますので。」


 …最近はドジっ子が全面に出ていますけど~、はい、流石はヴァールハイト家の一族。

 天才なんですね~。

 

 事実、このピッカピカの大理石の床には『永久炎熱』『永久氷結』の魔術刻印が刻まれておりますの~。


「ほえ~やっぱりノートは才能の塊なんだねぇ…。スピカも読んでみたら?」


「ひゃい!才能の塊…うへへ。」


 …はい可愛い過ぎかな?

 ちなみにスピカも隣で歩いております。

 あの~シリウスさんの前で俺は一体何をしているんでしょう?


「ええ。そうするわ。私にご用意してもらった自室にも小説を幾つも用意していただいたし…。

 何から何までお世話になりっぱなしね…。いいのかしら?私ここまで丁重に扱われた事がないから、かなり動揺しているわ。」


 …やはり、そうなのか。

 魔眼持ちはルミナス一大国家ですら、そうそういない存在。

 何だったら魔眼持ちというだけで、そこら野党や盗賊に狙われかねない。


「構わないとも。もう君たち2人は家族なのだ。自由に使っていい。」


 …家族、ねぇ…。

 正直家族ってどういう物かよく分からないや…。

 俺も、スピカも、家族が何なのか分かっていない。

 俺の場合は…ずっと眼光が紅く輝いているからさぁ。

 夜とかに外を出歩くと、暗がりから紅眼の2つが不気味に光るから、結構他人からビビられるわい。


「クラートとスピカは、家族がどんな物か分かっていないのだろう。だがここは安全だ。我がヴァールハイト家の名に懸けて。一先ずクラートを自室に案内したら、この後は夕食だ。ノート、クラスメイトであるノートが一番2人を分かっているはずだ。気を遣ってあげてほしい。」


 おいおい!俺の心の声が聞こえたのかい!?流石ですわぁ!?シリウスお兄様!


「ふぇ?はい、もちろんですよ!シリウスお兄様!ク、クラートさんと一緒の屋根の下ぁ…。ぐへ、ぐへへ…。」


「俺も大事なノートと暮らせるなんて夢のようだよ。はい、なでなで…ってはっ!!スピカもほら、なでなで…ってはっ!!」


 一体ヴァールハイト家で俺は何をしているんだい!?シリウスお兄様の目の前で!?

 いけません!やはり、ここは戦場です!


「フフッ。面白い反応をするな。クラートは。何度も言うが気にするな。さて、ここがクラート、君の自室だ。」




 幾つもある、一つの部屋に入ると…なんもねぇ…。

 豪華だが、華美ではない、白と基調とした落ち着いた内装だの~。

 まだ来たばかりだからかな?没個性的だね。

 最高級の素材で作られているが、装飾は少ないです!

 ただ…大きな天蓋付きのベッドに…オーク材のしっかりした書斎机と…。

 

 そして『空間拡張箪笥(アーク・アルトゥス)』『宝玉等級:エメラルド』ですかい。

 まぁ、寮にもあったしこれくらいはあるよね!


 壁際には、まだ何も入っていない、空っぽの本棚…か。

 うへへ…ポーションコレクターとして、あの本棚に沢山飾ってしまおうか!?


「クラート…なんでベッドの方ではなく、なんで本棚を見てニヤニヤしているのかしら…?」


「そ、そうです!なんでベッド方ではないんですかぁ!?普通は…うへ、うへへ…」


 …君たち二人は俺を一体何だと思っているのかね?

 ただポーションを飾り付けたいだけなんですけれど?


「まぁ、男女の仲だ。ほどほどにな。さて、キャリーケース『空間拡張旅行鞄(アーク・レース)』を置いたら夕食だ。ノート、スピカ、後でクラートに自分達の部屋を教えてやれ。」


 おい、シリウスお兄様よ?俺を変態扱いするんじゃないよ。


「っ!!ク、クラートとベッドの中…その、あの、優しくして…?」


「ひぇ!?スピカさん!?わわわ、私もクラートさんと…ぐへ、ぐへへ。」


 …何であなた方は顔が腫れ上がっておられるの?


「スピカ、ノート、あの…ポーションをあの本棚に飾り付ける事を妄想していただけなんです…。」


「「………」」


 …何か言ってください…。


「フフッ。本当に面白いな。クラートは。さて、3人共、大食堂に向かうぞ。」


「「「…はい。」」」


 おい、めっちゃ気まずくなってしまったではないか!!



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