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魔眼の名門家の俺は、常時発動するタイプの魔眼のせいで平穏な学園生活を送れません!  作者: はーにゃ
3 騎士科稽古

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43 怨嗟の跡地

 今俺たち2人はあの惨劇痕地に向かっている。

 既に日は落ちて夜となっており、『永久光波』の魔術刻印された巨大なアーチ型の照明、『魔街灯サンクトゥス・ルーメン』『宝玉等級:サファイア』が、王都学園近くの舗装された道に点々と続いている。

 燦爛クラスの教室にもある刻印で、魔除けにもなっているため、エメラルド級以下の魔物は近寄っては来ない。

 だが…道の左奥の魔物の巣くう森の過半数が抉られている。

 そのせいか、道の左の森には魔物も全く出て来なくなっている。


 姉さんの膨大な魔力量による、圧倒的フィジカル戦闘もそうだが、レグンもまた、圧倒的魔力量による、魔術の破壊力が桁外れなんだよねぇ。

 クラス混合試合のリュミエール【光】なんかと比べるのがおこがましい程の、絶対的差の威力がある。

 正直なところ、レグンの魔術師としての単純な破壊力は、あの『微笑む災厄』のアトリアと、ほぼ同程度だろうさ。


 魔槍『水精霊の魔槍ウンディーネ・ランケア』…。

 レグンは姉さんよりは劣るが、白兵戦もできる。

 実際、『第4階梯:水:ヴァッサーシュトース』水の突き技、『第3階梯:水:ヴァッサーシュナイデン』水の斬撃も使ってきたからねえ?


 ああ、当然戦技だって使えるぜ。

 俺が暗殺者を殺めたとき、全力に近い力で1人は足刀で、そして2人を地面に叩き潰した。

 俺がレグンの不意をついて地面に叩きつけて拘束したが、実のところ暗殺者を叩きつけた時とあまり変わらないくらいの力を出していたはずだ。


 だが…ダメージが入っていた程度で、逆に鬼の形相で睨みつけてきたのだ。

 俺もそうだが、意味が分からない身体能力…頑丈さがあるんだよなあ。


「…っ!!?」


 俺の身体が震えてくる。

 聞こえてくるようだ…レグンの幻聴が。


(あらあらまあまあ?クラートお兄様?一体どの面を下げて、ここまでやってきたのですか?)


「ごめんなさい…。クラート。無理をさせてしまったわ…。」


 行商人が通る道を手をつないで歩く俺とスピカ。


「…ああ。ふう…。いや、これは俺のせいで、大災害が起きたものだからね。」


 あぁ…そう言えば、こんな時間くらいだったか。

 襲撃に合い、暗殺者といえども、初めて人を殺したのはさ。

 そして…毎度悩まされる怨嗟が響くようになった原因たる、妹のレグンが現れたのは。


 …もうそろそろ見えるな。








「「……………」」


 ああ…やっぱり!!現場には、『第6階梯:水:エーギルランツェ』の直径20メートルほど巨大の地面のクレーター痕、そこに抉れた木々が幾つも倒れこんでいるしさぁ。

『第6階梯:水:シュトロームランツェ』による、森が遥か奥の方にまで何もかもめちゃくちゃに破壊され尽くされているじゃねえか!!

 あの大馬鹿!


『第5階梯:水:レーゲンシュペーア』による、これまた直径10メートルに渡って地面に無数の穴が空いて、爆撃されたような荒れ具合。

 酷いもんだねえ。

 そりゃあ、大災害として事件になるわ。

 え?何?やっぱり小さな隕石でも降ってきたんですかね!?

 これを1人の少女がやったとは思えないほどの規模の破壊具合だわ。

 よく俺、今こうして生きていられるわ…。


「これは…凄まじいわね…。クラート…よく無事でいられたわ。」


 スピカに抱きしめてもらっているね。

 なんで俺が原因なのに、慰められているんだかねぇ!?


(あらあらまあまあ?魔眼と言う特別な天恵に加えまして、今度は恋愛ごっこをされているのですか…?随分と楽しそうですねぇ。クラートお兄様?)


 …済まない、レグン。

 本当にどうしようもない大馬鹿だね、俺は。


「クラート…。辛い思いをさせてしまったわ。これ程まで破壊の爪痕が残るほどの怨嗟を…抱え込んでいたのね…。」


 はっとすると、いつの間にやらスピカは『極冠の魔眼』を発動させて蒼く眼光が輝いている。

 その蒼い輝きに心の緊張もほぐれて…レグンの幻聴は聞こえなくなっているなぁ…。


「ありがとう。スピカ…。また君に救われたかな。俺が君を救うと言ったのに、立場が逆転しているね。」


 少し微笑むスピカ。


「また、今日も傍にいてほしいな。スピカ。あの蒸し暑い部屋で。」


 スピカがこくりと頷いて、俺たちは今度こそ、森の中を紅と蒼の光で灯しながら帰路につく。


 …そういや思い出した事がある。

 かつてまだウンシュルト家に居た時、貴族も利用する大都市に行った際、武具店でレグンにスズランの花で纏われた『水精霊の魔槍ウンディーネ・ランケア』が似合うと勧めたのは俺だったな…。

 レグンは、お花みたいな可愛らしい妹だったから。

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