4 『宝玉等級』
「ちょっと!あれはどういう事なんですか!?俺が燦爛クラス:グロワールに配属というのは!?何かの間違いじゃなんですか!?俺は魔力無しの単なる上流科の生徒に過ぎませんよ!?『射影具』が間違って【グロワール】の項目に俺を載せてしまっただけなんじゃないんですか!?」
いやマジで!燦爛クラスになんて関わりたくないと、今朝から思っておりましたからねえ!!
「『射影具』の故障はあり得ない。もしそうであるのなら、新入生約800人の見直しをしなければならない。その様な事態を防ぐ意味もあり、あの『射影具』は王立工房が作り上げた『宝玉等級:サファイア』と認定された一品物だ。当然、工房の職人も定期的にメンテナンス、及びチェックを行っている。故に間違いで君を【グロワール】に表示したという可能性は無い。
更に言えば入学試験を終えた後、君も行ったと思うが、各個別に試験官に呼ばれ、特殊な水晶玉に触れるよう指示を受けたはずだ。あの水晶玉は我が校の試験合格か不合格を判定すると同時に、合格者であればクラス選別も同時に行う。水晶玉は『宝玉等級:ルビー』だ。つまりは君は確実にルミナス王立学園の最高峰、燦爛クラス:グロワール【栄光】の特別生徒という事だ。」
あ~確かに魔眼もさ?触れるよう指示された水晶玉が『宝玉等級:ルビー』と解析してさぁ…見た瞬間に驚きのあまり素っ頓狂な声を上げて怪訝な目で見られたけど!
は?今でも根に持ってますからね?あの時の試験官さんよぉ!?し~かし、あれがクラス選別の魔導具とは~…おい、魔眼よ、何故もっと早くに効果を教えてくれなかったんだい?あらあらまあまあ!!ポンコツなのかい?
あ~で、ポーションのような消耗品はね~、そのまま宝石の等級で呼ぶんだけどさぁ、(例えば俺が飲んだポーションは、そのままアメシスト級ポーションという風に)、魔導具や装備品(剣や槍に鎧、弓など)、『射影具』のような設備の魔導具は『宝玉等級:○○(宝石名)』と呼びます。
消耗品はさぁ…最高ランクでもルビー級までだが、それ以外の魔導具は最高ランクでダイアモンド級まであるんだよね~。
面倒くさい?覚えられない?あらあらまあまあ!!んじゃ知りませ~ん!
「ほう?水晶玉の等級を話したが、あまり驚く素振りはないな。事前にあれがなんなのか知っていたか、或いは何となく気づいていたか…。どのような効果までは知らなかった様子だが、等級についてはやはり事前に知っていたのであろう?なにせ君は噂に名高い魔眼の名門家、ウンシュルトの人間だ。その紅い輝きの魔眼の効力によるものかな?」
あ、違うんですよね~、少しあの~場面?の奥の方々にご説明していたんですね~。
心の中で、はい…。
あ、そんな下らない事を思っていたら!並みの者では目に追えないほどの速さに、そして尚かつ!尋常ではない練度の高い動きで!仕込んでいた短剣…え?仕込んでいたの?危ないお人だ!?短剣による刺突をシュウウン!と繰り出してきました!!?
しかし…俺は既に魔眼の超予測で攻撃の意志を察知しているんですね~。
サッと右足を一歩後ろに持っていくと同時に身体を右に少しずらしながら、パシンっ!と左手で刺突を払いのけたぜ!!どうですか?凄いでしょう!
んで~、魔眼の解析でその短剣は『一瞬凍結』『宝玉等級:ルビー』と断定。
短い刀身全体には、瑠璃色で鈍く輝き、白い霜がさらさらと刃から出ていますね!
綺麗ですわ!?
「…いきなりですね。先生?」
「ふむ。この程度の攻撃は簡単に対処するか。しかも私にこれ以上攻撃の意志がないことも、どうやらお見通しのようだな。君は魔力のないただの学生と言っていたな?しかし何もないただの学生に私の攻撃をいなすことは適わんよ。」
そりゃそうでございましょうよ!魔眼の超思考、超予測頼りの戦闘をしているんですから!
…あれ?俺本体って、実は大した事ないのでは?
「それにしたって、今の攻撃はやりすぎでしょう。何もしなければ本当に怪我どころでは済まない刺突でしたが?」
ええはい、本当に。
チクショ~、魔眼の効果がなければちょいと危なかったんですよ?
「君がウンシュルト家の者でもあることもそうだが、家を出てから2年間冒険者稼業をしていたそうではないか。君の資料の中に17の時にサファイア級の魔物を討伐したとの記録もある。いくら名門の侯爵家と言えども、10代の少年に倒せる相手ではない。故に容易く躱せると判断したまで。それにグロワールクラスに入る者であれば、この程度簡単に対処してもらわねば困る。
さて、本日は入学式がメインだが、始業式、及びホームルームの時間もこれから行う。授業は特にないが各クラスでは諸々の説明や、クラスの中での学生通しの顔合わせもある。君がこのグロワール専用の職員室に、一直線でやってきたという事は、私がグロワールの担任であることを知っての事だろう。皆すでに各教室にいるはずだ。時間も迫っている。早くグロワールクラスの教室に向かいたまえ。」
おお!!サファイア級の魔物を討伐した事の実績を、お褒めいただきましたわ!?
なんてお優しいお方なのでしょうか!?
分かりました!!教室に向かいま~す!!
「かしこまりました!リゲル先生!!」
リゲル・アイスベルク。
爵位は侯爵で~、水色に輝いた腰まで届く長い髪が特徴の女性…。祝辞を述べていた3年のシリウス主席もそうだけどさぁ、知的な風貌にクールな印象で、お美しいですわね!
全体的にスラリとしておりまして~、何より先ほどの身のこなし!流石はグロワールクラスの担任を務めるだけあって!尋常ではない強さです!!
家名のアイスベルクからも察しがつくように、冷気の魔術を行使するんですね~。
先ほどの短剣の刺突にも冷気の魔術を付与していたしね~。
「よろしい。今年の新入生のグロワール【栄光】は君を含めて6人。準備を整え次第私も教室に向かう。それまでに5人のクラスメイトと軽く挨拶でもしておきなさい。」
は~い!了解しましたよ!ひゅ~!今すぐ向かって挨拶をしてきま~す!!
んで、俺は職員室を出ていく直前に、先生が何かの書状をじっくりと読んでいる姿が、チラリと横目に映ったんだけどさぁ…先生の机に何かの封筒が置かれているのは確かに見えたが…一体なんだろうね?
まぁ、どうでも良いし、正直あの部屋も壁一面の本棚やら、魔眼が勝手に解析するから…頭も痛いし、さっさと立ち去るに限りま~す!
いざ!燦爛クラスへ!!行くぞ~!!
そんなことを思いながら、燦爛クラス:グロワール【栄光】の教室に足を進めま~した!




