21 クラス混合試合 嫉妬
あの~圧倒的勝利を収めたですね?レグルスとアトリアが燦爛クラスのメンバーの元へ戻ってきたんですけど~?
レグルスが!!怖~い!!?ぅえ?何なの『第3階梯:光:リヒトクーゲル』って!!?
もう意味が普通に!『光の弾丸』なんですけれど!?ぅえ?しかもさ~?光だけじゃなくて…完全に物質としても存在してましたよね~!?あらあらまあまあ!?
ちょちょちょ!?すいませんでした!!不敬罪で処されてしまいますわ!?
「たっだいま~!みんな~!!クラっち!!」
せい!手を大きく振りながら、ぴょんぴょんと俺に向かって跳ね飛んで来る、このおバカの頭を片手でキャッチ!!
「クラっち~!?何するの~!?ちゃんと勝ったんだから~、ほ~め~てーーーー!!!」
何を両手をグルグルと回しながら抗議してきやがっているんですかい!?
あなたねぇ!?何をしたのかお分かりなのですか!?このお方に!!俺を規格外なんて言う資格はございませんよ~!?
「やり過ぎだ!!このおバカ!!第6階梯なんて最高位の魔術使うなんて何考えてんだ!!演習場がぐっちゃぐちゃじゃねえかあ!!
…けどまあ、10人を相手に、しかも上位、最上位の戦士7人を簡単にねじ伏せるとは、流石はアトリアだ。やっぱりお前はとても凄い偉大な魔術師なんだな。改めて再認識させられたよ。…よく頑張ったな。」
うんうん!恥ずかしいが仕方ない!!きちんと褒めて差し上げようではあ~りませんか!!
アトリアはな~、いつもお転婆が目立つからさぁ…。
燦爛クラスでも、とりわけ大惨事ばっかり引き起こす困ったちゃんなんですよねぇ!は?俺も一緒だってか?困ったちゃんだと!?うるさいわい!
おっと、話が逸れてしまいましたわ?
やるときは極めて非常にねぇ、高い技量を発揮する最上級の魔術師なのなんですよ~。
いつも喚く子供みたいな無邪気さがあるから、褒めようとすると何だか気恥ずかしいです~。
「そうね。アトリアさんの技量には改めて感嘆するわ。それからレグルス君も。周りの状況を冷静に見極める観察眼と、戦意喪失してる相手には不用意に危害を加えないようにできる技量…そう簡単にできる事じゃないわ。やっぱり執行人としての性かしら?何はともあれ2人共流石だったわ。」
…そうでしたわ!このお方!執行人でございました!!ひええ!!?
あら~スピカさんのその2人をほほえまし気にしながらさ~!褒めている表情!素敵じゃないの~!
…レグルスさん?な、何を少し言い難そうにさ!?やや顔をしかめておるのですか!?
ぅえ?まさか!?俺の心の内がバレて不敬罪で処するおつもりなのですか!?
「…まあ、不用意な殺しは俺もしたくねえからな。特にもう腰の抜けちまった女をいたぶるのは趣味じゃねえ。ローズクォーツって名乗った女は中々見どころがあって、今後に期待できそうな奴ではあった。…今回の一件で心が折れないでくれると良いがな…。」
…セーフ!!違ったみたいですね!な~んだ!やっぱり優しいじゃないの!
震えて動けなくなってしまっているさ?最上位クラスの先生に担がれていくローズクォーツの姿をさ~、痛まし気に見つめてるではあ~りませんか!!
…それにしても、レグルス?なんか珍しいねえ!!表情からしてさぁ~!ローズクォーツさん!!気になってるでしょ~!!うんうん!分かります!!
ローズクォーツさん!お上品で可愛いからねえ!!
あやべ、不敬罪で処されてしまいますわ!?すいませんでした!!『第3階梯:光:リヒトクーゲル』は撃たないで!?
「うふふっ。今回のお二人の派手な活躍によって、あの2クラスも戦場がどんな悲惨なものであるか、疑似的に体験、目撃したことで改めて再認識するでしょうねえ…?クラートさん…うへへ。あ!ごほん。とスピカさんの時は魔眼の力のせいにして、喚く愚か者も数名おりましたが…、今回は流石に騒ぐこともなく唖然としていらっしゃいますね。
…次は私とエルナト殿下の出番ですけど、どう動くのやら。楽しみですね?」
銀髪美少女のノート公爵様!!?相変わらず微笑みを絶やさず言葉をお紡いでいますけど、今また変な声が混じりましたよ!?やっぱり少し天然なのでは!?
でも、う~ん、俺とスピカが勝利した時の喧騒が聞くに絶えなかったんですかね~?
若干棘のある物言いですし~、相手2クラスを見る目も完全に呆れと見下しが入っていますねぇ…。
あ!レグルスが睨みを利かせております!!
ダメですよ!?ノート公爵様にそんなお顔を向けては!!
あやべ、不敬罪で処されてしまいますわ!?
「ヴァールハイト。お前とエルナトの2人が一番、何をしでかすのかわからねえんだ。ブリッツシュラークは分かり易い性格をしているが、お前が一番何を考えてるのか分からねえ。変な真似はしでかすなよ?
それとエルナトの手綱をしっかり握っておけ。この戦闘バカを止められるのはお前しかいねえんだからな。」
え!?そうなの!?レグルス!!?この銀髪美少女、結構分かりやすいと俺は思っておりましたんですが!?あれ!?俺がおかしいのかな~?
ああ…ほら~お怒りの感情が魔眼からも伝わってきますからぁ~。
両手を重ねてさ?目を瞑ってますやん!
「あらあら。それは心外な物言いですね?レグルスさんやアトリアさんのように強くありませんし、そしてスピカさんにクラートさんのような、魔眼のような特別な力も無い私に何か余計な真似をする余裕があるとでも?
………………あまり、私を怒らせる言葉は控えてくださいます?」
…ノート、そうか…レグルスを睨みつけるその顔は…まるでレグンの様だね。
それ程までに嫉妬、怒り、憎悪…あらゆるマイナスの感情をレグルスに向けるほど…劣等感で苦しんでいたか…。
目の奥がもう、苦しみに満ち溢れている…。
「(―私は主席として第6階梯まで使え、称号も『宝玉階梯ほうぎょくかいてい:ダイアモンド』だ。しかし…そんな私を間近で延々と見せられていた妹の苦しみは相当な物だっただろう。―)」
ああ…一ヶ月前のシリウスさんの言葉を思い出すよ。
…触媒なしで魔術を使えるなんて聞いた事も無いし、学園でもそんな芸当が出来るのはノートしかいないのに…。
そんなノートならではの技術はあっても、どんなに魔術の鍛錬、努力し、そして『宝玉等級』の高い触媒でも最大で第4階梯まで…か。
これまでの1か月、俺含めてアトリアや他のクラスメイトに悪戯し遊んで、常に微笑みを浮かべ余裕の態度を崩さなかっよね。
なるほど、確かにノートが一番劣等感を抱えている様子は…ずっとあったね。
それを覆い隠すための鎧として、掴みどころのない態度をしていたわけか。
ならば…
「…ノート。これまで俺たちに悪戯で闇魔術を使っていたが、それでお前が教室の設備を壊した場面は一度たりとてなかった。第4階梯までしか使えない分、魔術の緻密な制御はレグルスをも上回っていた。相当の努力をしてきたんだろう?あの2クラスの連中みたいに高位の魔術をぶっ放せば解決すると勘違いしてるあいつらに、今ここで魔術の上手な使い方を叩き込んでやるチャンスじゃないのか?
俺とスピカ、レグルスとアトリアの戦いの中、あいつらが使う高位の魔術は未熟そのものだった。だから俺たちが最初に戦ったアルバス侯爵の高位魔術は、スピカの低位魔術に歯が立たなかったんだ。
ノート・フォン・ヴァールハイト。お前の持つ触媒なしで魔術を行使できる素晴らしい技術と、圧倒的な魔術制御の技術。この2つの力を今こそ奴らに叩き込んでやるんだ。
くっくっ!きっと奴ら唖然と口を開いて間抜け面をさらすぜ?」
ふふ、今まで結構変な声が漏れていたけどさ、その天然なドジっ子が本来の素なんでしょ?
今までにない唖然とした顔をしているね?うん!もう魔眼からも伝わる。
かなり胸につっかえていた心の棘が…かなり抜けたね?ならばもう大丈夫!
「そう…ですね。まさか…そんなに私の事をよく見ていらっしゃるとは思いませんでした…。
…うふふっ。ええ。その通りですね。あの2クラスのお方たちに授業をして参りますわ。エルナト殿下。どうやら向こうにも動きがあったようですよ?参りましょうか?」
「歯ごたえのある奴がいればいいがな。…クラート。礼を言おう。」
あらあらまあまあ!中々珍しい言葉を言うじゃないの~!…エルナト。
でも…エルナトだって変わったよね。
分かるよ。
もうかつての用に猪突猛進するだけのエルナトではない、ってさ。
俺の横を通り過ぎて、そしてそのまま歩いて行き、そのエルナトを追いかけるように続くノート。
そんなノートの顔は晴れやかで、そして少し赤く染まっていた。




