18 クラス混合試合 騒ぎ
流石に燦爛クラスの圧倒勝利だったからか、上位、最上位クラスと騒めき出しているなぁ~。
「おい、聞いてないぞ!あんなにヤバいのかよ!燦爛クラスってのは!」
「噓でしょ…私は最上位クラスだから、燦爛クラスなんて私たちと同じか、ちょっと強いくらいじゃないの!?なにあれ!死んじゃうじゃない!」
「こんなのおかしいだろ!何が特別授業だ!俺たちを殺したいのかよ!?」
「さっきのアルバスはリュミエールでもかなり上位だろ!?それが…っ!しかも炎と氷結だったら、相性的に炎の方が優勢じゃないか!」
「不公平じゃないの!?魔眼持ちを同時に出してくるなんて!魔眼なんてそんな得体の知れない物のせいじゃないの!?そもそもこんな授業に何の意味があるのよ!?」
かなりパニックを起こしているようだが、俺たちが出張ってこのボンクラ共の気を引き締めてさせるのが目的。
それはこいつらも先生から聞いてただろうが、やはり話半分にしか聞いてなかったんだろう。
まあそう言いたくなる気持ちは分かる。
自分たちはあくまで学生であり、貴族の爵位を持っているから、本当に危険な事にはならないと思っていたんだろう。
貴族としての義務があるから、国民を導き守る義務があるからと、そう頭では理解し誇り高く国のために!と声を上げていても、所詮はやはり人間。
命の危機がいざ迫ったら、生物の本能から義務やら誇りやら、今まで散々声を高らかに上げていたものをぶん投げて、このように喚く…。
所詮自分が第一なのだ。
もちろん俺もだ。
しかし…本当に大切な、守りたいものがあるなら、自分が危機に陥る事になっても、ギリギリまで粘る。
…今回の一戦で、こいつらにとって、本当に怖い戦場が何なのかである事を学ばせるための特別授業。
そして俺らの燦爛クラスも、ただボコボコにするだけではなく、チーム、仲間の大切さ、偉大さを学ぶための特別授業でもある。
で~もぉ、流石にうざい!!眉間にしわが寄ってしまったではありませんか!!
「…スピカ、平気か?あんな戯言は聞き流しておけ。あいつらに本当の戦場を少しでも理解させるのが、今回の特別授業だ。魔眼などなんだの気にしているだけ無駄だから放っておけ。俺たちは正しい事をしたんだ。」
マジでそう。
…ちっ!!魔眼についてやかましく騒ぐな!!クソ共が!!
レグンの怨嗟と憎悪の顔を思いだすからさぁ!?
「…っ。今日は随分と優しいのね?気色も悪くないし…。別に平気よ。それにあなただって同じ魔眼持ちで苦しい思いを…今でもしてる。フフッ。だから平気よ。それに…私たちはまだ優しいほうだものね?」
ん?あらあらまあまあ?ちょっと待ってください!今!気色悪いって言いませんでしたかぁ!?
酷くね!?
…でも、今のスピカの言葉で俺も冷静さが戻ってきたなぁ…。
少し顔を赤らめちゃって~!!でも嬉しそうに答えてくれたね!!
か~わいい!!
「良かった。ほっとしたよ。大丈夫そうで。それに確かにそうだな。俺たちのチームはまだ優しいほうだ。こんなんで騒いでるとあいつらが可哀そうになってくるな?あと一週間、大変だぞ?」
「ええ。本当にね。…次はアトリアさんとレグルス君のチームだわね?」
あらあらまあまあ!優しく微笑んでくれちゃって~!!同意してくれるの~?か~わいい!!
っと、ごほん。
「ああ。どちらも魔術師だけど、どちらもタイプが違うからな。アトリアは大火力による超範囲型の魔術師。レグルスはアトリアみたいな派手さはないが、正確無比な精密射撃をするエキスパートだ。仮に切り抜けて接近できても、レグルスは普通に近接戦もこなせる。俺たちは魔眼が目立ってはいるが、厄介さで言えば、あの二人の方が上だろう。」
さて、そんなこんなで、アリーナ席にいる美少女達の待つ燦爛クラスまで戻ってきました~!!
は!?またもやレグルスの事を忘れてしまった!?不敬罪で処されてしまいますわ!?
んで~?何でアトリアがぴょんぴょん飛び跳ねてんのかな~!?
「おお~!!すごかったよ~!!二人とも~!!クラっちはいつも通りに規格外だったけど~、スピカっちの本気は初めてみたよ~!!とっても戦術的でカッコイイ~!!」
規格外だとぉ!?何て事を言うんだい!!アトリア!!また小突かれたいんですか!?
「うふふっ。そうですねえ。低位の魔術でありながら、高位の魔術を寄せ付けない。お見事でしたね。あ、えと、クラートさんも…うへへ。」
…少し意味ありげに微笑みながら賞賛してきたかと思えば!!何て事だ!?銀髪美少女のノート公爵様に褒められてしまったぞ~!?
ぅえ?何?やっぱりどこか天然入ってるよ!?可愛いねえ!!
「ありがとう。アトリアさん、ノートさん。まぁ…ミリアルデ侯爵も高位の魔術が使えるだけで、練度はまだまだ甘かったから。…次はアトリアさんとレグルス君のチームね。私と違って2人共明確な実績と二つ名がある。私たちで…あの騒然っぷりだから、どうなることやら。」
「全く、魔眼持ちとか関係ねえだろうになぁ。クラートとスピカのチームなんて序の口じゃねえかよ。2人よりよっぽど厄介なのが、そこのドでかい魔術を連発するアホと、とにかく何でも襲いにかかる王女とか言うアホがまだいるってのに。」
レグルス!?怖いっす!?腕を組んでレグルスが忌々し気に!?舌打ちをしているじゃないですかぁ!?
やべ~、不敬罪で処されてしまいますわ!?
「レグっちひど~い!?レグっちだっていっつもプンスカ怒ってるじゃ~ん!!」
「いっつもてめえらが厄介事ばっかり起こすからだろうが…!」
はい!!その通りです!!やっぱりレグルスは俺の味方なんだね!!
おっとお!!向こうでも動きがあるかな~!!さ~て?誰が来るのかな~?
「上位クラス、最上位クラス共に静かにしろ。言ったはずだ。これは君たちの意識を引き締めるための訓練という特別授業だと。1か月前、入学式早々に起きた森の騒動を覚えているか?暗殺者3名の死体と、そして大規模魔術による争いが学園近くで起きたのだ。それがあったにも関わらず自分たちは関係ないと?そんなわけはない。君たち2クラスも貴族の上位クラスの者として、万一にも、あの森の事件のような事態に直面した時にも、冷静に対処をできるように本場の強者がどういった物か。それをきちんと認識してもらうための特別授業。ルミナス王立学園に属する者として意識を引き締めろ。
…先の先鋒の2人はまだ甘い方だぞ?魔眼持ちだからと言う理由で特別強いと言うことではない。そこは勘違いをするな。
では次だ。アトリア・ディ・ブリッツシュラークと、レグルス・アフ・グラオザームの2人が相手をする。上位、最上位の2クラス共に前に出なさい。」
そうだぞ!!俺たちが魔眼持ちだからと言って特別に強いわけじゃないんだぞ!!
え!?リゲル先生!?俺たち強くなかったんですか!?ぅえ?
「…リゲル先生。先は5人でしたが、あの公爵2人は有名な魔術師。こちらは10人に増やして臨みたいのですが。」
そう言うのは、最上位クラスの女子生徒。
確かローズクォーツ・ムート侯爵だったか。
ん~?何だね!?あの子は!?清楚でお上品さがあって…可愛いね!!
薄色の桃色をふんわりとしていて~!あれはきっと最上位クラスでもモテモテでしょうなぁ!!
「ローズクォーツか。良いだろう。戦いにおいて数の多さもまた戦術の一つだ。」
あ~まぁ確かに数の多さは脅威だよね~。
かつて大厄災が起きたときのようにさ~、圧倒的な数の魔物の対処にさぁ?臨んでいた騎士団や魔術師、冒険者達も大苦戦を強いられたよね~。
俺もまたその内の1人何だけど~!!でもバッサバッサと他より連中より捌いていたから~。
どうですか?俺、強いでしょう!
「おいおい。人数増やすだぁ?ったくそんなんでどうにかなるわけでもないだろうに。手間が無駄に増える。」
レグルス!?別に人数を増やす事をあっさり認めたことにさ~?面倒くさそうにしなくても~いいじゃないですかぁ!あ!俺は面倒です!!でも~あのローズクォーツさんなら…うへへ、認めちゃう~!!
「まあまあ~。別に構わないんじゃな~い?どばーん!!とやっちゃお~!!」
おやめください!?ローズクォーツさんを苛めないで!!
アトリア!?ねぇ!?むしろ目をキラキラとさせながら楽しそうにしてるよねぇ!?もう物騒な事しか本当に言わないんだから~!!全く!!
「能天気だな!?おい!?」
レグルスとアトリアが話しているうちに向こうも、誰が出てくるか決めたそうだ。
「パール、エスメラルダ。2人共構わないかな?」
そうローズクォーツが問いかける。
「はい。別に構いませんよ。私も気を引き締めなければなりませんね…。」
そう言うのは最上位クラスの、もの静かな真珠のように輝く髪が特徴の、パールと呼ばれた女子生徒。
ん~?そんな物静けさも素敵~!!
「もちろんですわ。このまま負けっぱなしも嫌ですものね?」
同じく最上位クラスの金髪に緑の瞳の、エスメラルダと呼ばれた、如何にもな誇り高気な女子生徒。
ん~?あらまぁ!?如何にも可愛いお嬢様ではあ~りませんか!!
「チームは決まったな?ではこれより試合を開始する。シーエル【天空】、リュミエール【光】の両クラスは前へ。」
そうすると10名が一斉に出てきて、先ほどのローズクォーツ、パール、エスメラルダもいる。
「では燦爛クラス、[アトリア・レグルス]チームは前に出なさい。」
リゲル先生が俺たち燦爛クラスの方に顔を向けて告げた。
「おお~!!ついに始まるねぇ~!!楽しくなってきたぁ~!!」
「はぁ…なんでてめえはそう本当に能天気なんだ…。さっさと片付けるか。面倒くせえからな。」
アトリアは長い魔杖をくるくると回しながら目を輝かせ、レグルスは怠そうに首を回しながら、相手チームを睨みつけた。
2戦目、上位クラス&最上位クラス VS 燦爛クラスが始まる。




