17 クラス混合試合 1戦目
「なるほど。出てきたのは上位クラスが2人と最上位クラスが3人、か。なんだろうな?あまり真剣味が感じられない…。」
…やはり、所詮はボンボンの貴族程度…か。
ちっ!!俺が家を出てからの2年間、本当に命がけだったんだよ…。
どうにも本物の戦場、命の奪い合いと言う物がやっぱり分からないんだね…。
ミリアルデ侯爵…お前、俺に偉そうな事を言っていたね?けれど…ただただプライドだけが肥大化しているだけの…弱者でしかない。
…何でお前らを心で見下していたか分かるか?危機感がないからなんだよ…。
「仕方がないんじゃない?貴族家の優秀な能力を持っていても、まだ10代の学生。それに実戦経験があったとしても、下手に優秀だから、苦戦や危機に陥るまでの状況にならない、或いはサファイア級以上の魔物なんかとは戦った事がないとか?…下手をすれば、平民出身の一般学生の騎士科と魔術科、そちらの方が戦いにおいては優秀なのかもね。」
あらあらまあまあ…確かにな、スピカの言う通りだ。
貴族と言えど、まだ彼らは学生だ。
…俺も人の事は言えない。
だって俺も貴族の血を受け継いでいるから…魔眼や謎の身体能力を持って生まれる事が出来たんだ。
レグン…確かにお前の言う通り、俺も確かに魔眼と言う天恵を持っていたよ。
だからここまで、1人でもどうにかなったんだよね…。
レグン…お前を羨んではいたが…お前が俺を羨み、憎む気持ちが良く分かったなぁ…。
「…魔術師はアルバス・ミリアルデ侯爵のみ、か。後は戦士職だな。燦爛クラスには魔術師が多いだけに、エルナト以外の戦士職を見るのは何だか久しぶりだな。魔眼ほどではないにせよ、魔術師もそれなりに貴重だしね。」
本当に4人が戦士職、魔術師ではないな。
…ミリアルデ侯爵、お前はどうやら恵まれているようだぞ…?
「まぁ、戦士職は任せるわ。…私、いる必要あるのかしら?あなただけで何とでもできるでしょう?」
はは…嬉しいな、スピカにそんな事を言ってもらえるなんてさぁ。
でもね、スピカだってとても強い魔眼使いなんだよ?
だから…
「それを言うならその言葉、そっくり返すよ。スピカ一人でも戦士職含めて全員何とでもできるだろ?」
ふふ、嬉しそうに笑ってくれているね?その顔が好きだぞ?
そうだ、別に俺だけでここまで来れたわけじゃない…。
そもそも、燦爛クラスに推薦して入れてくれたのは…シリウスさんなのだから…。
さて、残念だよ、ミリアルデ侯爵…お前と戦うのはスピカとなった。
お前がやたらと魔眼持ちのスピカに、媚を売ろうとしていたね?
その代償は…俺ではなく、スピカに払ってもらうとしよう…。
「…あなたにそう言ってもらえて、少し救われた気持ちになったわ。…そろそろね。」
そう言ってスピカは目を瞑り、そして瞼を開くと蒼く眼光が強く輝き出す。
ああ…綺麗だね~?その魔眼の輝きはさ…。
…上位と最上位、そして俺ら燦爛クラスの先生の中で代表としてリゲル先生が、審判を務めるそうだ。
「ではこれより試合を始める。…両者、始め!!!」
「何か余裕そうに話をしていましたが、私もミリアルデ家の者として、例え相手がグロワール【栄光】の生徒相手でもそう舐められるわけにはいかない!!『第4階梯:炎:グルートクリンゲ』!!」
黙れ、最初に舐める真似をしたのは…アルバス、お前だ。
さて、奴が持つ魔術媒介は、アトリアの長い魔杖とは違い、ワンド型、片手サイズの長さで全身が銀色の魔杖『火炎の銀』『宝玉等級:ルビー』だ。
そのワンドを前に突き出し、グォオオオン!!地面を切り裂きながら灼熱の刃が飛来。
それと同時に4人の戦士職が一斉に駆け出してくるか。
だがなぁ…甘いんだよ。
「『第3階梯:氷結:フロストシルト』!」
スピカが魔眼を通して魔術名を叫ぶと…ギイイイイイン…。
「は?バカな!!第4階梯とは言え、私が全力で放った一撃が通っていない!?」
前方に1.5人分程が入れる程度の氷の盾に、炎の刃はあっさり打ち消されるんだな。
駆け出した4人も足が驚愕で止まるかよ…馬鹿者共が。
そして、何を驚いている?アルバス…?まるで魔力の使い方が分かってないみたいだな?
「『第4階梯:氷結:アイスシュヴェールト』!」
そして…ジュキイーンッ!!と、盾を貫通して氷の剣がアルバスに向けて射出される。
「なああっ!?」
はっ!流石に盾から貫通して攻撃されるとは思っていなかったみたいだなぁ!!
氷の盾に空いた空洞からスピカの蒼く輝いてる眼光が、妖しく覗いてくる。
焦ったアルバスがさぁ?急いで迎撃しようと『火炎の銀』を振り上げ魔術を発動してんだよね。
「くっ!『第5階梯:炎:ゾンネンシュトュルム』ぅううう!!!」
ブゥオオオオオ!!!と超巨大な炎の竜巻を巻き起こし、氷の剣を阻もうとするが…
「はぁ!?なんだとぉ!?第5階梯の魔術で止められない!?」
真下から吹き荒れる炎の嵐の中をぐんぐんと氷の剣は突き進んでくる。
「クソおっ!!?他の4人!何をして…は?」
はい、残念~。
もう既に、4人の動揺して足の止まっている馬鹿共の戦士、騎士はさぁ…アルバスよお?お前の無駄に激しい魔術の攻防のせいでな?視界が遮られていたんだよ…。
『深紅の魔眼』でさ?お前のやらかした、激しい魔術の中でも、最適ルートで静かに素早く動いている俺に気づきもしていなかったんだよね?
とっくに全員…俺の瞬時に動く徒手空拳で、あっさり意識を飛ばし終えているんだわ。
そしてパニックになったアルバスは炎の嵐を抜けてくる氷の剣を避けようとし、足を動かそうとするが…
「『第3階梯:氷結:ボーデンフロスト』!」
「な、なんだ!?いつの間にぃ!?」
スピカの魔術で、アルバスの野郎が目を下にやると足を地面ごと凍結、磔にして動きを封じている。
くっく…ああ…お前の無様な姿がさぁ?よく見えるよ。
精々足掻けよ?
『第3階梯:氷結:ボーデンフロスト』
「お、おおおおお!!!『第4階梯:炎:フランメランツェ』!!『第5階梯:炎:グルートランツェ』えええ!!!」
はっ…必死だね~?
『火炎の銀』を振り回し、ズオオオオン!!ジュオオオオン!!と炎の槍と、灼熱の溶岩の槍をぶつけて、ようやく氷の剣は相殺したが…
「『第5階梯:氷結:グレッチャーカノーネ』!」
「はぁ!はぁ!…っは?」
ズゴオオオオオオンっ!!!
アルバスは巨大なアリーナ状のヴィクトル演習場の既に遥か最後部まで、吹き飛んでいた。
巨大な氷河の大砲に…アルバスのバカは撃ち抜かれたんだよね。
「…そこまで。燦爛クラス、[クラート・スピカ]チームの勝利。」
そうリゲル先生が判定、圧倒的力量差で勝ちを燦爛クラスは収めた。
「はぁ…ここまで極冠の魔眼を使うのは久しぶりだわ。」
そう言うと輝いていた蒼い光が薄れ消えた。
魔眼の力を解除したか。
うんうん、その普通状態の目もとても綺麗だね。
「ああ。お疲れスピカ。俺は今回殆ど何もしていなかったな。やっぱり強いな。スピカは。」
本当にそう。
俺はアルバスがやらかした魔術の中を潜り抜けていただけだからさ?
本当に圧倒的実力差で、アルバスには報いを受けさせた。
「…っ。別に、そんな事はないわ。あなたも流石だったわ。あの視界の悪い中を走りぬけて4人ともあっさり倒したんだから。」
…顔を背けちゃってさぁ?顔…赤くなってるよ?か~わいい!!




