15 学園生活の本当の始まり
あらあらまあまあ!教室に着いたら、まあびっくり!
リゲル先生の言っていた通りかよ!?ぐちゃぐちゃに荒れ果てた設備が全部元通りになっていますじゃ~ん。
そして!教室には今のところスピカのみかぁ。
『紅玉石』製の机…まぁ見た目は殆ど、宝石のルビーのように煌いている感じの…まぁ、俺の目を潰しに来るこの机!何これ?バカなの?
んで…背もたれが非常に高く、黒い革張りの、『紅玉石』製の装飾が施された椅子…。
ま、とにかく席に着きますよ~。
しかし…うへへ、この状況で二人きり!何も起きないはずがな…
「浮かない顔をしてるわね。何かあったのかしら?」
おう!マ~ジで!?何とスピカから寄って来てもらいましたわ!?
今日は良い事があるかな~!!
しかし…浮かない顔してますかぁ~?
「え~浮かないも何もさ?スピカも合わせて酷い目に合わされたからさぁ~。今日も何かされるのでは?と怯えているんだよね!」
こうは言いましたがね?もっと話しかけて!興味を持っていただいてほしいんです!!
スピカはさぁ…う~ん!何かと神秘的な雰囲気とクールビューティーさが合って~うへへ。
可愛い~!!
「…何をそんな気味の悪い顔をしているの?そんな感じだし、自業自得ね。そして災難だったわね。ご愁傷様ね?」
おうう!辛辣だぁ!しかし…またそれもまた良い!ぐへへ~じゃねえから~。
「おいおい!なにを他人事の用に言っているんだい!?スピカも攻撃してきたじゃないのさ~!?」
「何の事かしら?あれはただ檻を作ってみただけよ?少しひんやり冷たいだけのね。…それに、今のあなたの気味の悪い顔を見て、改めて思ったわね。氷の檻に閉じ込めるべきだとね?」
おお!?何を仰っているんだい!?俺を変態みたいに言わないでよ!!
ぅえ?あの~マジで顔を少ししかめて、引いておりませんか?
「なんて酷い!?それにあれを攻撃と認識していないなんて…あ!で~もぉ、スピカの作りだした檻なら入って良いかも~!」
「あなた、昨日は多少はマシかと思っていたのに…随分と本性を顕わにしたわね?気味が悪いわ。大丈夫なのかしら?私、凌辱されないかしら?」
あらあらまあまあ!?凌辱!?まさか!こんな美少女からそんな言葉が飛び出るなんて!?なんて素晴らしいのでしょうか!
って違~う!!俺がそんな事するはずないでしょう!?俺は陰キャなのよ!?
とまぁ?こんなどうでもいい茶番をしているとスピカがさぁ…?
「…スクールバッグの『空間拡張学生鞄』、買い戻せたのね。急に飛び出て行ったからどこに向かったのか気にはなってたけど。」
いや!飛び出るに決まっているでしょうが!!な~にを言っておられるんですかぁ!?
「いや~全くだよ!!アトリアのおバカのせいで冒険者組合にまで急いで行ったってのに、仕事がねぇっていうからさ~?仕方なく魔物狩りして魔石をそりゃもう必死でかき集めたもんさ。まぁ、この燦爛クラスは?職員によると毎年初めは問題を起こすからってもんで、夜に駆け込んだら運がいい事にカバンのだいき…」
「…よく喋るわね?あなた、昨日は大惨事だったけど、もう少し静かに対応をしてたわ。」
ええ!?そうですかぁ!いや~そりゃそうでしょう!!なにせこんな美少女たちから総攻撃を頂いたのですからねぇ~!?
静かに丁寧に対応もしますよね!!
「あらあらまあまあ!!鋭い突っ込みありがとうございま~す!!確かにね!!何せ燦爛クラスには~?厄介者しかいないとかの噂だったからさ~!?なるべくどんな方々なのかをチェックしていたんです~!!うへへ。でも美少女達の多いクラスで~!テンションが爆上がり~!!だか…」
「だからそういう部分よ。お喋りが多いと言うのは…。本題に入るわ。あなた、魔物狩りをしてた、って言ったわね?どこで?騎士科の学生でも学園初日から資金繰りに狩りをするというのは、中々ないと思うけど。」
ああ…中々本当に鋭いね…スピカ?
確かにその通りだよ…。
「……へえ~?まぁ確かにそうだね!でもさ、何でそんな事を聞きたがるのかな~?何処でも構わなくな~い!?」
うんうん!本当にどこでもいいと思います~!!
マ~ジで『空間拡張学生鞄』の資金繰り!苦労したからね~!
「…何で聞きたがるのかって?それは…昨日の入学式早々に学園近くで起きた、騎士科も実戦経験として向かう魔物が出没する、昨日の森の大騒動…。あなたが関わっているんでしょう?」
…ほ~ん?鋭いね!?やっぱりこの神秘的な美少女様!!
け~ど、言うわけにはいかないんだな~?
「う~ん?一体何の事かな?俺は魔物を狩っていただけなんだよ?俺がそんな騒動に巻き込まれたらさ~?死んじゃう!!」
「…あら?あくまで白を切るつもりなのね?まぁいいわ。もうあなたが昨日の騒動に関わっていた事…もう確信したから。今日のあなたの表情に、魔物狩りの話をしたら、妙に言い逃れをするその言動…。繋がったわ。」
ええ!!?なんなのこのお方!?とっても賢いわ!?チックショー!!俺がこうもたじたじになってしまうとは!ん?いや、いつもたじたじだったわ!?
「ぐうう!!でもさ~何でそこまで俺を気にするの?スピカに関係あるのかな?あ~!な~るほど!俺の事が気になっているのですね!?」
よ~し!!まさかここまで俺に興味を持っていただけるとは!くうう!!最高!!
「関係はあるわ。学園の近くで起きた事件だもの。高度な魔術の破壊痕に、物騒な事に何処かの暗殺者3名の死体。もう私だけの問題だけじゃない。学園全体の問題にまでなっているわ。既に国の騎士団や魔術師団が動いているわ。破壊の規模から推定で最低でも第5階梯の魔術か、或いは最高位の第6階梯か…それ程の高位魔術師が関わっているとなれば、大騒ぎにもなるでしょう。」
あ、全然違かったわ。
しかも完全に俺に気を惹かれていると言う部分はさ、見事にスルーされました~。
しかし…レグンとの一戦がこれほど大きな事態になっているとはね~?昨日時点では深く考えていなかったからさぁ。
…いや、魔眼の酷使もあるけれどね~?
まぁ…レグンの憎悪の言葉と…決着のついた最後の…あの本当に怖くて、憎悪で満ちた睨む表情が忘れられなくて…あんまりそこまで考えられてなかったな~。
「…本当に魔眼持ちというのは苦労が絶えないわ。他人からしたらとても羨ましく見えているのでしょうけど、当の本人からしたらたまったものじゃない…。昨日の騒ぎも大方あなたの関係者からの襲撃と言ったところかしら。そうなると、よくあの規模の魔術にさらされて無事でいられたわね。…その紅い魔眼の効力によるもの?」
…あらあらまあまあ!?完全にバレてるじゃん!!
…にしても~、大人しい雰囲気のスピカにしてはさ~?随分とよく喋るじゃんか?
魔眼を有している者はさ~?大陸中何処を見ても非常に稀な存在だからねぇ…。
ああ…スピカも『極冠の魔眼』を有してる身だったかぁ。
昨日も父親からは魔眼という一点だけに、執着されていると言っていたし…。
あ~!な~るほど!俺という初めての同じ境遇持ちに出会って!ついつい口が軽くなってしまっているんですね!?
「まぁ~そうだね~?勝手に色んな情報を拾って処理してさぁ、最適な行動が取れたり、超予測…相手が何をしてくるのか…何となく直感で分かるんだ~。どうですか?凄いでしょう!」
ああ…俺も口が軽くなってしまってます~。
ついつい色々と喋ってしまっていますわ!?なにせ美少女から話しかけてくれる、滅多になかった機会だからね~!?
「…あの、気色が悪いから。やっぱり檻に入れておくべきかもしれないわね?まぁ、なにはともあれ、無事で安心したわ。」
…う~ん!?辛辣なお言葉だぁ!やっぱり引いている顔をしていらっしゃいますよ!?
でも…その後に続いた言葉…。
「…心配でもしてくれているの?お優しいことだね~。」
「クラスメイトとしてね。…あまり辛気臭い顔されると私も気になるから。でもそれと同時に気色も悪いわね。話しかけた事を少し後悔しているわ。」
前半はありがとうございま~す!!でも後半は酷くね!?
ああ…そう言えば俺も気になっていた事があったなぁ。
「辛気臭い顔をしていたか…。それは悪かったね~?…スピカの方こそどうなわけ?…先生とは上手くやれてるの?…お互い他人の用に振る舞いをしていたよね?」
俺もなぁ…レグンと溝もあったし、かなり躊躇いながらも聞いてしまったなぁ…。
流石に聞くべきではなかったかな~?
「どうかしら?先生と生徒という事もあって年は離れてるし、お互い深い関わり合いはないかも。それにまさかこの燦爛クラスに配属されるだなんて、思ってもいなかったから。この魔眼にクラス選別するあの水晶玉が反応したのかもしれないわね。」
「(―お前の持つ魔眼をあの水晶玉を持ってしても測れなかったからだ。―)」
今朝のシリウス主席さんのあの言葉がよみがえってきますね~。
「……そっか。不躾な事を聞いちゃったね。申し訳なかったかな~?」
「構わないわ。私もあなたに色々と聞いたしね。…授業が始まるわ。気を引き締めないとね。今日は普通科と同じく通常通りの学業よ。燦爛クラスでもそれは例外ではないみたいね。」
「え~!?ここの連中…いやごほん。癖たっぷりの美少女達がちゃんとやれるのかい!?あ!またレグルス公爵様をお忘れてしまったわ!?」
間違えて本音が漏れてしまったではないか!?
しかし…うへへ。
「あなた…気色が悪いわよ?それとレグルス公爵様に今の発言、ばらしてあげた方が良いかも?どうしようかしら…?」
「待て待てお待ちになって!!本当に大変な事になってしまうから!?」
俺が大慌てしているとガチャンと音がする…。
教室扉が開いた音だね~。
「ああ?まだ2人だけだったのか。おはよーさん。」
ああ!!大変だ!?俺の味方でもあり、失礼な本音をうっかりスピカさんに漏らしてしまった…レグルス・アフ・グラオザーム公爵様!?
「ええ。おはよう。レグルス公爵?この魔眼さんが…」
「ちょちょちょ!?本当に言おうとしているんじゃないよ~!?」
おい!?マジで楽しそうな顔して、バラそうとしたじゃないのさ!?
いや!?その楽しそうなお顔を拝見出来て!俺もハッピーです!!
ああ!?レグルス公爵様が怪訝な顔をしていらっしゃいますわ!?
「ああ?俺がどうかしたのかよ?執行人だからって、別に昨日みてえな怒りを吐き散らしたりしねえぞ?」
ああ!?安心しましたわ!?セーフ!!
「そうだよね!?レグルス!?お、お、おはようだよ…?」
…やはり俺は陰キャだったようです。
もうどもりまくっております
「ああ?何だか随分と冷や汗かいてるじゃねえか?クラート…てめえ、」
ああ!?まずいです!?怒らせてしまったですか~!?
「大丈夫か?具合でも良くねえのか?平気か?まぁ、昨日はハチャメチャだったし無理もねえけどよ。」
…ぅえ?ご心配のお言葉をいただきました!!
やはりレグルス公爵様は俺の味方だったんですね!!さ~すが!!
「いや、大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。」
お礼は大事!!ん?でもそのお礼を言ったら魔銃を突き付けられたのでしたわ!!?
「そうかい。平気そうなら良いけどよ。あ~けど、あのエルナトのバカもいるからなぁ…。おっと、噂をしていたら影ってやつか?」
おいおい!お可愛いエルナト様になんて事を言うんだい!?
実際に今ガチャリとまた扉が開いたけれども!?
「皆さま。おはようございます。あ。クラートさん…うへへ。あ!ごほん!よろしくお願いしますね?エルナト殿下も。」
ううん!?やっぱりどっか天然なんじゃないですかぁ!?銀髪美少女のノート公爵様!!
そしてそして~!!?
「…………………ふん。レグルス。お前、私に不敬な考えを抱いていただろう。切り裂いてやろうか?」
ああ!?やっぱりお可愛いのに…そんな不機嫌そうな顔をして!!エルナト様!!
「ああ?エルナト…てめえこそ光弾をぶち込んでやろうか?昨日みてえな荒事は御免何だがなぁ?おい?」
「ほう?レグルス。お前に出来るのか?先に首を跳ね飛ばすぞ?」
ああ!?お二方おやめくださいませ!?喧嘩は良くないよ!?
どちらも眉間に皴をお寄せになって!!?
「エルナト殿下?そこまでに致しましょう…。これ以上の揉め事は良くありませんから…。」
おおお!!流石は銀髪美少女のノート公爵様!!よくぞ止めてくれましたしね!!流石ですわ!!
「ちっ!!レグルス。またもや命拾いしたなぁ?」
「はぁ…面倒くせえ野郎だよ。ったく。」
ああ!?仲直りをしましょう!!?仲たがいは良くありませんからねぇ!!?
ん?またもやガチャリと音が…くっく…ああ…もう最後はあいつだろう!?
「みんな~!!おっはよ~!!え!?クラっちのバッグが復活してる~!!??ごヴぇ!?」
「アトリアああああ!!何ふざけたこと言ってんだぁ!!お前のせいで無駄な出費が出ちまっただろうがぁ!!」
この大馬鹿者があああ!!!何を呑気に俺が必死で買い戻したバッグに言及しやがったなぁ!!?
思いっきり小突いてやったわ!!
「痛ぁ~い!?またポカポカ叩かないでよ~!!」
そうだよね!?やり過ぎたね!?ごめんね!?
そして~、おっと、またもやガチャリと音がするね。
となったら…。
「全員いるな。昨日の夜、学園の近くで騒ぎがあったが、関係は無い。今日よりホームルーム後、授業を開始する。」
燦爛クラス担任、リゲル先生~!!相変わらずのクールビュティーだぁ!!
それにしても…はは…。
ようやく…本日よりやっと…学園生活の始まりか!




