103 庶務 兼 風紀委員5 対話
「『学生証』の念話で話した通りだ。ヴァールハイト生徒会長。顔合わせの最中に悪いんだが、3階のラウンジでクラートを借りるぜ?そして悪いな、アルタイル会計。生徒会室に入る権限を一時的にもらっちまってな。」
ええ!?なんだってー!俺を借りる!?は!まさか『借りる』とは言葉の比喩表現で、今度はラウンジに行った後グラオザーム家に連行されてしまうんですかぁ…!?
「は、早まらないで!?レグルス!!俺が何か不敬をしたのなら謝るから、俺をグラオザーム家に連行しないで~!?まだ俺はノートとスピカを愛でていたいのお…。まだ処するには早いでしょ~!?ごヴぇ!?」
「てめえも相変わらず一々うるせえなあ!?レグンと本当にそっくりかよ!?俺に何の恨みがあって、てめえら2人から被害妄想を受けなきゃならねえんだぁ!?」
な、何ですって!?レグンとそっくりですって!?何て失礼な!俺はレグンの凶暴性に比べたら遥かに誠実でしょうがぁ!!
って言うか何でレグルスがレグンと親し気なんですかい!?
「痛~い!?何で皆俺を小突くんだよ!エルナトと言い、俺が何をしたって言うんですか!ただ平穏を望んでゆっくりしていただけでしょ~?その最中にノートとスピカを誠実な二股をしてるだけなんだぞ!ごヴぇ!?」
「だぁ!?本当にてめえら2人口が減らねえなぁ!?うるせえしやかましいし、二股してる時点で誠実もねえだろうがよぉ?ま、俺も言えた口じゃねえけどよ。」
なぁ!?ついぞ俺が目を逸らしていた部分にレグルスまで突っ込んでくるだとお!?
「はぁ…。一々この女にだらしないクラートに振り回されるな。こいつの思う壺だぞ?それよりもレグルス。それはそうと、一体どういう事だ。この女たらしの紅眼屑に用があるとは。」
な!?エルナト様…。
酷いよ~。
「エルナト~。俺は一生懸命誠実に生きていただけで、誠実な二股の正当性を訴えていただけじゃないか~。エルナトだって最初に俺に斬りかかってきたじゃ~ん。俺はエルナトも前々から可愛いと前から思っていたのに…。それなのにさぁ…エルナトと仲良く…ぐへへ。あ。ごほん。屑だなんて…酷い!!ごヴぇ!?」
「「五月蠅いから黙ってろ!!」」
…レグルスとエルナトの両方に小突かれた~。
「全く…。レグンが小生意気で可愛らしい口減らずなら、てめえのは完全にやかましくて騒がしいだけだだなぁ?ったく。ああ、エルナト。俺の横にいるのがそこのクラートの妹のレグン・ウンシュルトだ。今は『緋色の魔術師団』に所属していてな。俺より強いし単独行動の許されてる特別枠ってところか?クラートとレグンが仲違いを起こしているからな。その対話をしに来たんだよ。」
はい?俺と同じ口減らずですって!?何を仰っていますの!?
そして可愛らしいとは一体なんですかい!?
レグンは俺に憎悪の言葉を浴びせるとても危険な妹だよ!?
「仲違い?もしや水魔術その物にトラウマがあるとは、レグルスの隣の…確かに『緋色の魔術師団』の戦闘着と緋色コートだな。『緋色の魔術師団』のクラートの妹と喧嘩別れをしていたと言う事か?」
「まぁ、そういう事だな。先生の許可も得てる。エルナト。悪いが、ちょっとクラートは昼休みを過ぎる。一先ずエルナトだけこの休み時間だけ生徒会のメンバーと話していてくれ。それに…てめえも俺のやらかした魔術科指南4日目の朝に起こした事、知ってるんだろ?それについてもクラートには話しておかないとな。」
ああ!そうそう!気になっていたのです!何だかやたらとシリウスお兄様も、可愛らしいエルナト様も何か言おうとしていましたから!
ん?今朝?
「ええ?確かレグルスの4日目の今朝と言うと…俺がノートと仲直りの口付けをしていた所じゃないかい!ぅえ?まさか!?スピカにまでレグルスの魔の手が!?それは許せないよお!いけません!ダメじゃないですか!俺の愛しているスピカに何て事を!!ごヴぇ!?」
「「良いから黙っておけえ!!」」
痛~い。
またレグルスとエルナトのお二人から小突かれたぁ!!
「ほうほう。そちらのお嬢さんがクラート君の妹さんか。クラート君もそうだけど血筋だねぇ?とても可愛い!うんうん。どうだい?僕と遊ぼうじゃないか?」
はい~!?アンタレス公爵うう!?俺の妹にまで、その顔から甘い顔から常時発動している魅了の魔術と共に手籠めにしようとしていらっしゃいますう!?
めっちゃニコニコと女の子ならコロリと落ちる笑顔と共に、甘い顔で誘惑されていらっしゃいますわ!
「は?何ですか?私、まだ15なんですけど?情欲とか気色悪いんですけど?ロリコンですか?いい年して恥ずかしいですね~?貴方も同じですか?私の美貌に惹かれてしまうお猿さんですか?」
…容赦ねえ。
俺と対峙してきた時くらい…それ以上に男のプライドをへし折るお言葉相変わらずだなぁ?レグンやい?
んで~凄くレグルスによりべったり引っ付いたねぇ!?どういうご関係なのお!?
「おやおや?これは中々の逸材だねぇ?僕の魅了の魔術…まぁ、これは僕の意志で解除ができないからこればかりは許してもらいたいけね!でも…へ~?こうも全く効かないとは…流石はクラート君の妹さんだ!うんうん!それも良い!むしろこの程度の魔術を跳ね除けられる女の子が良いんだ!ね?ポラリス副会長?僕の婚約者?」
全くへっちゃらだぁ!?流石はアンタレス会計監査だぁ!!
「いい加減黙りなさ~い…?これ何度言わせるんですかぁ~?…ふわあふう…。そうやって試すような事ばかりを~、やってるから私とても困ってるんですぅ…。ふあぁう…。」
あやべ、ポラリスお姉さまが怒っていらっしゃいますう。
今後は怒らせないようにいないとお!!
「いい気味だなぁ?クラート?これでようやくお前の女たらしも少しはマシになりそうだ。」
「ちょちょちょ!?何を言ってるんだい!エルナト様や!何度も言ってるでしょ~?俺は女たらしじゃない普通の陰キャだって!!?ごヴぇ!?」
「陰キャが二股何てしないわ!このバカ垂れ!!」
痛いです。
とっても強く小突かれた~。
「まぁ、承知した。クラート、今度こそふざけていないで、レグルスの4日目の事と…仲直りをしておけ。」
…仲直り、ねえ…。
出来るのかな?もちろんそれは俺も前々から望んでいた事でもあるし、トラウマにもなってるからねえ。
…レグルスとはどういう風に出会ったかは知らないけど、レグルスの背中に隠れて俺を不安げに見てるし…。
はは…まさかこんなところで話し合いが、レグンと再会なんて誰が思いついたかよ。
怖いなぁ…本気の殺意向けて来たし。
俺…レグンの魔眼での憎悪の言葉が離れなくてさぁ?ヴァールハイト邸に引っ越したのに絨毯が引かれているとは言え…床で寝るくらいだからね?
「(―紅い輝きの眼光を見るたびに…心の底から憎悪していたのですよ…。羨ましい、妬ましいとねえ!!―)」
…うう、吐きそう。
でもレグンだってどうやら、あの時と違って、かなり不安な感情を魔眼から読み取れる。
なら、今しかないかなぁ?俺も言い過ぎたしねぇ…。
「(―レグンや姉さん、そして兄さん2人の方が、俺はよっぽど羨ましかったんだよね~?あんまり俺を苛めないでもらってもいいかなぁ?―)」
やべえ…現状、俺の最大のトラウマと向き合うのが今かよ…。
何も心の準備出来てねえよ。
「へぇ?あれだけ減らず口だったてめえが随分と顔が強張ってんな?…レグンと仲直りしてえんだろ?勇気が出ねえか?レグンはこうして来てくれたんだぜ?」
…言うじゃないか~?レグルス。
煽ってきたかぁ~。
へえ~?
「はっ。強張ってた顔が少し怒りを見せたなぁ?いつもてめえは飄々としてやがるからよお?いつも中々掴みにくい部分があったが…はは、感情を表に出さねえとなぁ?…ま、これ以上てめえを怒らせると俺も怖えからな。何せこの俺以上の実力者でもあるレグンの兄で?ブリッツシュラークと同じく規格外だからなぁ?とにかく話をしようや。つう事で、ちょいとお借りするぜ?後は任せたぞ?エルナト。」
「はぁ…仕方あるまい。私としてもクラートには振り回されていたからなぁ?クラート、早く行ってさっさと心の棘を抜いておけ。」
な~んで俺が従わないといけないのやら。
俺さぁ?この魔眼の力を気に入ったウンシェルト家に、結構あちこち連れまわされたんだからね~?
「…てめえもブリッツシュラークと同じタイプか…。」
何かレグルスが呟いたんだが…。
4階の会議室はそもそも部屋の真ん中に、巨大なマホガニー製の円卓テーブルがあってねえ。
そこにさぁ?背もたれが高くてビロード張りの、最高級の椅子が5個おかれてたんだとさ。
今は俺とエルナト加わったから、7つに増えたみたいだけどね~。
壁の一部は作り付けの本棚になってるんだけどさぁ?ここ天辺のドームだから壁が少し傾斜してるんだよお。
だからそれに合わせた作り付けの本棚の形になってんのさぁ。
そこに歴代の資料や高価な魔術書が並んでいま~すぅ。
あとですか~?仕方ないなぁ~。
隅っこに『万象の噴水』が置かれてますわよ~。
それを飲みながら、残ったゴブレットは噴水でその物で洗浄、ポイっと『万象の噴水』の上に放り込むだけさね~。
後は『大理石の冷暖炉』も置かれて超快適~!!
え~まだ聞きたいですか~?欲張りさんですね~。
この円形状の廊下の真上に、手の拳サイズの赤く光る石が取り付けてるんですわ~。
それが『アウレリウス中央講堂』ならぬ『中央評議院』を壊さないようにする防護障壁、『至高に栄光あれ』『宝玉等級:ルビー』が張られてるんですね~。
燦爛クラスの教室にもありますでしょう?
ふえ~この狭~い螺旋階段まで白い大理石ですわぁ~。
はぁ…窓ぉ?でけえ天窓だけですわぁ~。
そこから入って来る日差しが…ああ!!まるで燦爛クラス6階の廊下のように大理石が反射して魔眼を潰して来る~!!更に俺の魔眼の紅い光までピカ―と、毎回学園に行く度跳ね返って来る~!?
おお!!眩しい!!
などと言う現実逃避をしていたんですね~。
もう既に3階のラウンジだよ!
4階の会議室と同じく、真ん中に長い年月使い込まれたのか、良い感じで深い色合いのチーク材のローテーブルが一つ!
L字型の赤いベルベットソファが、ローテーブルを挟むように2つ!
そしてその奥に、黒の革張りの1人用のソファと、小さい黒御影石のダイニングテーブルのセットが2つずつ置かれているねぇ。
床は真っ白にキラキラな大理石に~、壁は漆喰壁で下半分が経年変化による深みのあるオーク材の腰壁だ!!ちなみにこのラウンジ部屋もドームの構造で少し傾斜しているぞい。
んで、ドームの外壁に面した側にな、縦に細長いスリット状の窓が数カ所あるだけ~。
そこから差し込む夏の強い日差しが…床の大理石に鋭い光の帯を描いていて~、魔眼がチカチカするんだぁ!!
そして天井からの明かりは、『永久炬火』の刻まれた『永炎のシャンデリア』『宝玉等級:サファイア』で照らされておるわい。
炎が床を反射して眩しいぞお!
ちなみに『永炎のシャンデリア』は生徒会のどの部屋にもあるんだぜい。
ちなみにここの冷房魔導具はね、各テーブルに置かれた台座に乗せられた水晶玉の『凍結水晶』『宝玉等級:エメラルド』なんだぞ!空色の球体から冷気が漏れてるんだ。
これは俺がついこの間まで住んでた、平民寮にある魔道具設備の『空調石』を、完全に夏用に特化させたものかな。
手を添えて念じれば起動、解除が可能だよ!
ただしね?魔力を使って夏用に快適な空間を保つけど、『空調石』と違い魔力が勝手に補充されるんだよねぇ。
で~もぉ、その分魔力が減る量が多くてね~。
あんまり強めに冷風を出し過ぎると、すぐ魔力が空になって、また使えるようになるまで時間がかかるのが欠点だね~。
あと、当然このラウンジにも『万象の噴水』があるぞ~!さっきか冷や汗が止まらないんで~、果実水でも汲みに行っても良いですかぁ…?
俺の艶の良いプルプルしたお肌の美貌がああ…カサカサになってしまいますぅ…。
俺が座ったベルベットソファの反対側に、レグルスとレグンの2人が…何でそんなにめっちゃ2人して引っ付いてるんですかね?後さ~、何でそんな手まで握っておられるのぉ?
つうかさぁ?レグンやい。
いつの間に『緋色の魔術師団』に入団したんだい?その緋色のロングコートで隠されているけど、その下の漆黒の戦闘着…身体のラインが分かるやつだよねえ?いつの間にそんなにエッチいくなってしまったんだい?お兄様はそんな子にした覚えありませんよ!?
ってそうじゃな~い!
「…ごほん。3ヵ月ぶりだね。レグン。まさか姉さんだけでなく、レグンにまで再開するなんてね。一体どんな偶然かなぁ?…それに六大魔術師団の2位の『緋色の魔術師団』に所属とはね…。実質魔術師団のトップじゃないか。凄いや。流石は俺の自慢の妹じゃないか。」
ああ…何て言ったら良いか分からなかったし、正直トラウマを植え付けられたからねえ。
本当は少し皮肉も言いたかったし、殺されかけた文句も言いたかったけどさぁ…。
でも!それはお兄様として!!言ってはいけないよねえ!!
俺だって姉さんに言った通り、仲直りをしたいと思っていたんだ。
レグンも何がどうあってレグルスと親し気なのかは知らないけど、こうして連れて来てくれたし、レグンの顔も怯えが見えるしねえ?
…魔眼からも不安と罪悪感を読み取れるよ。
ま、それにしてはアンタレス会計監査にはいつもの如くの毒舌ぶりだったけどさ?
「…あ、あ、え、えっと…その…、お、お久しぶりでじゅぐう!?」
はは!緊張で嚙んじゃってる。
相変わらずまだまだ15ですかい。
…でも少しだけ色気づいたかぁ?まだ幼さを感じさせるお花めいた愛らしい顔立ちだが…『緋色の魔術師団』の戦闘着と言い、何というか、ああ…大人と言うの華やかさもやや含んできたかぁ?
「はっはっは!!面白かったよお!レグン!ああ…お久ぶり!それで…一番気になってたのがさ?何でレグルスと仲良さげなの?」
…ん?あれ?なんか…顔が赤くほんのり染まってないですか~?え?どうしたんですか?まさか俺を処しに来られたレグルスと良い関係に!?
んなわけな…
「れれれ、レグルスさんとは恋仲でぇえ!!?昨日抱いてもらいましまたしたんですううう!???」
…ん?え?恋仲ぁ!?そして最後!!めっちゃ喋れてなかったけど爆弾発言を聞いたような気がするけど!?いや!俺の気のせ…
「ああ…済まねえ。クラート。レグンとはマジで恋仲だ。んで、マジでやった。」
…なななな何ですって~!?ぅえ?俺を処しに来たレグルスとレグンがマジで恋仲ああ!?
ぅえ?更に本当にやったのおお!?抱いたんですかぁ~!?ええ!?
「ああ…そしてついでに言うとてめえと同じく、俺も絶賛二股中だ。二股仲間同士、仲良くしようや。」
…はいいいい!?
「ちょちょちょ!?まままま待つのです!!色々と情報が多いよお!?ああ!?そう言えばアルタイル会計にローズクォーツさんと婚約を結んだって…。ええ!?俺の妹は愛人、って事おお!?は!?まさか俺の人質にでもされているのかい!?レグン!そうなのかい!?ごヴぇ!?」
「てめえは俺をバカにしてんのか!!人質だなんて悪い言い方をすんな!マジで執行されてえかぁ!?」
何で俺怒られてんのおお!?ついでに痛いです。
小突かないでよ~。
「くく、クラートお兄様ああ!?レグルスさんがすすす好きで私から誘っててて抱いてもらいもらましたですうう!?」
ちょちょちょ!?めっちゃ目がキョロキョロ動いてパニックになってますわよ~!?レグン!?
「ええ!?レグルスが好きいい!?この怖くて俺を処しに来ましたレグルスが好きいい!?更にレグンから誘ったあああ!?レグン!?本当は何か脅されて無いだろうね!?ごヴぇ!?」
「だぁ!?だからそんな酷い事してねえわ!!それと勝手な被害妄想はやめろや!この屑紅眼野郎!俺も好きだわ!!レグンの事がなぁ!」
痛~い!?小突かれるような発言はしてないよお!?
そしてマジで好きなのお!?あらあらまあまあ…。
「レグルス…。二股をするなんて何て酷い事をしているんだい!いけませんよお!めっ!です!ごヴぇ!?」
「てめえも同じだろうがぁ!」
「痛~い!!小突くなよ~!そして何を言っているんだい!俺のは誠実な二股だ!誠実にノートとスピカを愛してるんだよ!だからレグルス。二股なんて最低だぞ!いけません!ごヴぇ!?」
「…クラートお兄様!!レグルスさんを悪く言うのは許しませんよおお!!」
「痛~い!?ええ!?レグンが俺を小突いたあ!?…すう。あのさぁ?ちょっと『万象の噴水』で喉を潤していい?」
「「そうだね!」」




