101 光と闇の救済者
「んぁ?」
…窓の防弾・防魔仕様の水晶ガラスから朝日が入ってきてやがる。
ちっ、ウザってえ日差しだ。
ああ、にしても若干…じゃねえな、俺は大分寝ぼけてやがる。
何で寝ぼけてんだぁ?執行人として休みだろうと、ささっと毎日起きて活動してんのに…。
何でか妙に気だるい。
だったら…今日だって休みだからよお?流石にもうちっと寝てたいところだが。
ああ、このがっしりとした黒檀のベッドフレームに、硬めだが最高級のマットレスだ。
寝具は枕やら掛け布団もよお、濃紺のシルクだしなぁ?寝心地かなり良いんだわなぁ?
ああ…にしても、あれ?何でシルクの柔らけえ感触を感じてんだっけ?
「ん~?ふひゃあ…。」
ああ、レグンの寝起き声な。
もういつもの事過ぎて最近慣れちまったん…
「っ!!ふわああ!?」
もう完全に何も身に着けていなくて、レグンのまだ若干幼くもふっくらとした雪の如く白いの艶の良い、素肌がぁああ!?
い、い、色々と丸見えええ!?
何で!?あれ!?昨日何があったんだ!?
ってはああ!?俺も同じじゃねえか!?
ちょちょちょ!?待て待て!え~と?何だっけか?
「(―レグルスさん…。また、数時間前に殺しをした男の口付け…。して?―)」
…そうだ、俺にしては随分と激しく求めたかぁ?
「(―ん~…っ!…はむ…っぷあ…。レグルスさん…。私を…抱いて?―)」
「(―ああ…抱かせてくれ…。レグン…。―)」
…ああ!?この俺が?何やってんだぁ!?
おいおいおい!!レグンと一線…越えちまったぁ…。
したらレグンが今度こそ、のそりと起き出した。
「ぅあ?ふぇ~。ああ、レグルスさ~ん…。おはようござ…。」
ああ、そうだよな。
今まではどうであれ衣服を着ていたが…お互い肌が出てる状態で俺のベッドで横になって身体引っ付いてんだからなぁ…。
…そのフワッとした柔らかい長い亜麻色の髪、長くクルっとした長いまつ毛に、妖精めいた可憐なあどけない顔…。
ああ…やべ、丸い亜麻色の眼をしたレグンの目が驚きと困惑と…羞恥心だな、めっちゃ見開いてるわ…。
顔がほんのりと赤く染まってるしよぉ…。
「……ああ、口付け…する?」
何を言ってるんだろうか、俺は。
「……ひゃい。」
…上手く喋れてねえが、頷いてるし…朝からいきなりのレグンとの、そっとした口付けからクソったれな朝が始まったぜ…ったく。
俺は、継ぎ目のない磨き上げられた、光を鈍く反射する黒御影石の上に、深緑色の分厚い高級絨毯が続く廊下を歩いてる。
相変わらずよお?足音を吸収するのやめてくれねえかぁ?このクソったれ絨毯はよお。
一応滑らかになってやがる玄武岩の石壁には…『光石』が埋め込まれてよお…はぁ、青白いから威圧感を感じるから嫌なんだよ。
別にそこまで明るくねえし。
だから、別の光源で…はぁ、何で銀製のしかも特に装飾も何もねえ『永炎の燭台』なんだよ。
廊下の要所要所に石壁に取り付けてあって、これまた『永久』の刻印によって延々と炎が灯ってるわけだが…。
あ~歩き辛え。
天井も無駄に教会みてえに高いしよお?
はぁ…今はレグンも一緒だ。
これから学園に行かねえといけねえからな。
俺は学園の制服だよ。
このブレザー制服よお?一応生半可な武具では傷は付かねえって触れ込みだが…まあ、確かに変に汚れは中々付かねえよな。
レグンはいつもの『緋色の魔術師団』の戦闘着だ。
「…無駄に家の家臣が慌ただしいな。下らねえ。ちっ!これまでアウロラの奴に頼り過ぎてたか…。」
…ちっ!イライラする。
こんな程度の事で昨日から大騒ぎしてんなよ。
さっさと次の執事長を決めるなり、戦闘部隊を取り仕切るのも『執行部隊』から選抜すりゃ良いだけだろうが。
この程度で一々騒いでたら、公爵家の家臣として失格だぞ?おい。
「…あ、あの…レグルスさん…。大丈夫…ですか?苛ついてて怖いですよ?」
…ちっ!レグンを怖がらせたか。
執行人として、この程度で無駄に精神が荒れるようでは、グラオザーム家の者として失格だ。
「悪いな…。無駄に怖がらせた。はぁ…昨日レグンに…助けを求めておいてこれだ。…俺とブリッツシュラークは休みだが、クラート達は今日から学業が始まる。ついでに言えば、クラートめ、生徒会の一員になったらしいじゃねえか。ローズクォーツを迎えに行くと共に、レグンにもクラートと対話が出来るいい機会かもしれねえ。…レグン。一緒に学園に行こう。まぁ、勇気が出ないなら無理はしないで良い。ただ俺の傍に一緒にいて欲しい。」
レグンがこれにどう答えるか次第だな。
…レグンには昨日の恩があるからな…。
出来りゃ上手く仲を取り持ってやりてえな。
「……クラートお兄様と…。はい…。対話したいと思います。でも、レグルスさんと一緒にいたい…。」
…レグンとは一線を越えてしまったからなぁ。
ある意味じゃ、俺もクラートの奴と話さないといけねえのか。
…遠慮させてんのか。
今日はしがみついて来ないな。
寂しい…。
「レグン…。俺から手を握っても良いか?」
「もちろんです!へへ、うへへ。」
はは、また変な声と良い笑顔だ。
そのまま手を繋いで、軽く朝食を食べに食堂に向かった。
ああ?今日はチタニアもいるのか。
食堂に行っても朝だと大抵俺1人が多いからな。
何かと執行人つうのは忙しくてな、先ず家族が揃うってのがほぼ無い。
だからまだこんな朝早くからチタニアが先にいた事に、少し意外に思っているのさ。
はぁ、今見ても変な光景だ。
20人は使えそうな鏡面仕上げの、黒檀の長えテーブルに、チタニアが1人かい。
玉座めいた漆黒の革張りの椅子に、ポツンと座ってやがる。
ああ?壁か?廊下や玄関ホールと同じだよ。
精々言うなら、一族の功績とやらを描いた無駄に巨大なタペストリーが掛けられるなぁ。
んで、話が逸れたが、レグンと一緒に椅子に座る。
流石に俺とチタニアもいる前じゃ、騒がしかった家臣も静かになりやがる。
いつものように、サッと影かよって感じで給仕してくるし、相変わらず食器の触れ合う音すら響かねえよ。
季節の野菜を使ったスープや、…柔らかく煮込まれた肉料理かい。
今は肉なんて口の中に入らねえ…。
「お兄、昨日、アウロラに何を言われたの。様子が変。お兄は私たちと違って…感情豊かで優しさがあった。嫌な意味じゃなくて、心が繊細。勿論執行人として、お兄だって淡々と執行するけど。でも…今日は普段以上に淡々としてる。…敢えて感情を消してるように感じる。でも同時に自分に怒っている。そんな感じ。」
ああ?レグンと飯を食ってたら変な事をチタニアから言われたんだが。
淡々としてるだぁ?んなもん、いつもの事だろうが。
「そうですね~。今日のレグルスさんはちょっと不気味ですから~。…いつも以上に強がってるように感じますね~。」
「おい、レグンまで変な事言ってるんじゃねえよ。まぁ確かにアウロラの奴が死んで家臣が慌ただしい事には苛つてるがよ。さっさと立て直せってよ。」
飯を美味そうに食いながらも、心配そうに覗きこむなよ。
レグンだって同じ境遇だろうが。
「お兄以外、誰も…私を含めたあの誰もが信頼していたアウロラの最期を見ていないんだよ。特に『影の試練場』の1番区画の『王都(裏)再現区画』だと、入り組んでるし暗いから、中々誰が何をやっているのか分からないんだよ。それに昨日は5番区画でアトリアさんが、『執行部隊』全員を相手にしていたから…。あの場ではお兄と、レグンちゃんと、…アウロラの3人しかいなかったの。私も驚いたけどね。アウロラの死体に巻き付けてあった、違法魔導具『致死の空気』だけど…。調べたら本物。…起爆すると一広大な侯爵領を覆う程に、毒ガスが広がる絶大な被害を受ける。アウロラがどこで入手したかは分からないけど、それを延々と持っていたという事が問題。グラオザーム家に何らかの不満や怒りがあったという事。特にお兄のほぼ従者のような感じでもあったから。」
…面倒くせえ。
あんまりどうでも良いんだわなぁ?いつも通りの執行をしたに過ぎねえんだが。
「私も見てないですから…。レグルスさんがアウロラさんを手に掛ける瞬間を…。あ、あの、私にす、縋る程でしたからぁああ!?」
「おい!!ちょ!レグン!それをチタニアの前で言うなぁ!!?」
レグンも変にパニックになってんじゃねえよ!恥ずかしいだろうが!?
「…お兄がレグンちゃんにそこまで…。まぁ、そこまで追い込まれる事を言われたんでしょ?アウロラに。」
ちっ、まだ目鼻に幼さが残り柔らかい印象があんのに、相変わらず怜悧だなぁ。
その妙に突き刺すように覗いてくる鋭利さのある目が苦手だ。
「(―レグルス様はこの3ヵ月で弱くなられた!元が精神が脆いが故、学園と言うぬる甘い場所に行ったばかりに!!下らない人間関係、下らない男女のもつれ!―)」
「(―私は何があっても悪を許せない!その悪を許したこの国がもっと腹立たしい!…私の復讐のため、あなたには強くなってもらわねばならなかったのに!―)」
ちっ、忘れかけていた野郎の言葉を思い返しちまっただろうが。
言わねえとダメかぁ?面倒くせえ。
「はぁ…アウロラの生まれ故郷を知っているな?奴は貧民街生まれだ。そこに弱い者をいたぶりに来たゴミに壊滅させられて、悪そのものが許せなくなった。そんな悪を野放しにしていたこのルミナス王国はもっと許せないってな。そんな国の復讐のため、俺に次期当主として許せねえ悪を殺し尽くしてもらいたかったんだと。だが、俺の心が脆いから失望と怒りで、グラオザーム家に反逆してきた。それがあの違法魔導具の『致死の空気』だ。だから起爆される前に執行人として殺した。
これで分かったか?これ以上あんまり突っ込んでくるなよ?面倒だからな。」
「そう。ごめん。お兄。」
ちっ!別に謝んなよな。
チタニアが珍しく消極的になっちまった…。
黙々と朝食を食べ終わってからは、レグンと馬車に乗り込んで、黒鉄製の重い、無骨な門を通り抜けて、上流科エリアに続く『正門(凱旋門)』までの『放射状道路』を移動する。
ああ?ブリッツシュラークか?あいつはぐ~すか寝てやがるし、わざわざ今日にクラートに放り込まなくても良いだろうと思って置いてきた。
チタニアにブリッツシュラークの面倒も頼んだしな。
「レグン…。クラートと対話するなら俺も一緒に同行して良いか?レグンと…まぁ一線を越えちまった事もあるし、恋仲って事も話さないといけねえからよ。今日は昼休みに生徒会室に挨拶に行くって事じゃねえか。ちと、ヴァールハイトの兄に連絡もして、訳を話して入れてもらう事も可能だ。どうする?先生には俺から少しクラートを借りる事を言っても良い。…ローズクォーツとの件もアルタイル会計に話さないといけねえからよ。婚約の約束をしてるのに、レグンを愛しちまって、二股しちまってる。こりゃぶん殴られる覚悟でいかないといけねえ。」
…ローズクォーツ自身は許してくれてるが、俺がやってる事は最低だ。
「……はい。一緒に来て?レグルスさん……。」
はぁ…不安げに俺に引っ付いてるなぁ。
戦闘力その物は俺より高えのに…。
まだ…15だもんな。
「分かった。ちと先ずはヴァールハイトの兄に連絡入れるわ。」
そうして…学生証を取り出した。
ガラガラと上流科エリアに到着。
後は…レグンと共にローズクォーツを待つ。
つうかこうしてレグンと手繋いで待ってる時点で、そこでぶん殴られるか?
ああ…来たか、ローズクォーツの『空間跳躍馬車』がよお。
やべ、緊張と不安になってきた。
アルタイル会計にどの面下げて来たんだ、って感じ。
そうしてローズクォーツと…アルタイル会計が馬車から出て来た。
やべえ…冷や汗が止まんねえ。
どうしよう。
レグンに今めっちゃ情けなくしがみついているからな?ああ…こっちに向かってくる。
アルタイル会計は無表情だから、何をされるか分からん。
「……なるほど。そちらが『緋色の魔術師団』のレグン殿か。レグルス公爵。実はな、昨日よりも前から、ローズクォーツから話はレグン殿との関係は聞いている。故に緊張する事は無い。むしろその緊張と不安げな顔で、ローズクォーツとは遊びではないと改めて確信が持てた。レグルス公爵は今日も学園の休日にも関わらず来たのだ。…シリウス会長からも『空間跳躍馬車』で向かってる際にレグン殿が置かれている状況を聞いた。俺が今ここで、一時的ではあるが、ゲスト役員として生徒会の扉を開けるようにしておいた。後はクラート庶務の事はレグルス公爵から先生に話しておいてくれ。」
…は?こんなあっさりと話を進めてるんだが、え?レグンも困惑してるぞ?
「アルタイル会計は…俺に怒らないのか?ローズクォーツに失礼極まりない事をしてんだぞ?」
相変わらずの無表情だが…綺麗で神秘的な顔立ちもあって、余計に不気味だ。
「いや?俺はこんな事で怒ったりする方ではないからな。もし今日来なかったり、昨日のような本気であると言う発言をレグルス公爵から聞けなければ怒っていたかもしれんが。しかし、レグン殿の置かれている状況、レグルス公爵の状況も知っているからな。そんな状態でも今日来てくれたのだ。怒る理由はないな。妹のローズクォーツを本気で想っているからこそ、俺に緊張されているんだろう?まぁ、婚約は交わしたのだ。それで十分。レグン殿とは…これからどうするかはレグルス公爵が決める事だ。」
これはまた…流石は燦爛クラスか…。
やっぱり只者じゃねえって事か。
「レグルス公爵様…。ただ今戻りました…。本日から…お世話になります。レグン様も。」
はは…まさかな、こうも早くグラオザーム家に来てくれるとはな…。
ああ…やべ、泣きそう。
でも、レグンもいればアルタイル会計もいる。
まだまだやる事もあるしな。
「ああ…これから一緒に暮らそう。ローズクォーツ。」
俺は2人の手を引いて、アルタイル会計とは途中で別れ、1年校舎へ。
レグンとローズクォーツの手を引いて歩くのは何だか異様な光景だし、レグンは『緋色の魔術師団』の戦闘着…まぁ、緋色のロングコートで隠してはいるが、ここの生徒じゃねえからなぁ…。
んで5階の最上位クラスまで…。
…んだよ?俺を変な目で見てきやがって…。
昨日の嗚咽が面白かったかよ!!クソったれがぁ!!
後は肝心の昼休みまで、『蒼穹の隠れ家』でレグンと休憩よ。
今頃6階の教室では、クラート達が授業を受けてると思うとなぁ…。
レグンも落ち着きがなさそうに、いつもの『星屑のソーダ』の程よい甘さの炭酸飲料を飲んるし。
んで一時限目の休憩時間に俺はレグンと共に、職員室の地下一回まで向かう。
地下一階か?職員室と大食堂があるな?
深紅の絨毯が敷かれた、緩やかな曲線を描く大階段を下って、右が大食堂、左側が職員室だ。
はぁ…左に曲がって一本道の通路は、やたらと鏡かよ、って感じで反射してきやがる輝く大理石の床だ。
んで、アーチ状のトンネルかぁ?って感じの同じく白亜の大理石の道が続いているんだよ。
まぁ…白く輝く『光石』が壁と天井についてるから流石に明るい。
んで、自分の目から見て左側に各クラスの職員室がある。
手前は警備員室諸々。
クラートの奴はやたらとここで、ブリッツシュラークに『空間拡張学生鞄』を吹き飛ばされては、ここに駆け込んでるだっけか?まぁ…重厚なオーク材の扉よなぁ。
まぁそんで歩いて下位から最上位クラスを抜けて最後に、燦爛クラスの教室がある。
きちんと説明しねえとクラートの奴貸してくれなさそうだからなぁ。
だから理由のためにレグンを連れてきた訳だが…。
…万が一リゲル先生がレグンに敵意を向けるようなら、俺が守ってやらねえとならねえ。
「安心しろ、レグン。レグンが魔物の森を薙ぎ払った事を、そんな簡単に揉め事にはしない人だ。まぁ…もし何かあれば俺が止めに入ってやる。それに今は『緋色の魔術師団』の…『霞みの隠者』として活動してるだろ?魔術師団にそう喧嘩を吹っ掛ける事はねえと思うぜ。」
不安げで、怯えが入ってるレグンを宥めてやる。
いつもの小生意気さは何処に行ったのやら。
「え?ああ…はい。守ってくださいね~!か弱い見た目してますから~!!あ、あれ?小突きが来ないですねえ?あれがないとなんかモヤっとするんですが。」
最近こいつ面白い奴に変貌したよな。
ま、多少の不安は取れたか。
んで、ついぞあ~、また『聖銀』製の扉をしている職員室前だ。
んじゃ、ちょい失礼と。
『聖銀』製だからな。
ノックなんて硬くて出来ねえ。
そのままガチャリと開けて…。
「失礼します。リゲル先生。昼休みにクラートが生徒会に挨拶に行くと聞きまして、それで申し訳ないですが、クラートを少しお借り出来ないかと。生徒会室で話がありまして。既にシリウス生徒会室とアルタイル会計には、生徒会室に入る許可は貰っています。」
ああ…相変わらず謎の魔道具で満たされた、壁一面の本棚で埋め尽くされてるな。
…ゆっくりと俺と…レグンを見て来るか。
「ふうむ。レグルス、君は今日は休みだったはず。それでも学園に来たのはローズクォーツ侯爵の事と、そちらの『緋色の魔術師団』の方がクラートに用があると言う事だな?魔術師団の方はどうにも…クラートにそっくりだね。…ウンシュルトだね?」
少しだけ試す目で俺を見て、そしてあの森の災害を引き起こした事もバレたか。
まぁ、クラートに用があるなんて、あの森の災害の件しかないしな。
俺がレグンを庇うように立つが…
「なるほど。君と言う…レグルスと懇意にしているという事は、何か悪意を持ってきたわけではないみたいだね。本当に悪意を持っていたなら、即刻レグルスの怒りを買ってグラオザーム家で追われる事になったはずだ…。良いだろう。レグルスの頼みでもあるし、私もクラス内の悩みは解消したいところ。昼休みを過ぎても構わないよ。」
はは、流石だな、先生。
レグンも呆気に取られているぜ。
そうして許可をもらい、『蒼穹の隠れ家』で過ごして昼休みに。
「……行くか。レグン?」
俺がそう聞いて頷いて、
「はい。…クラートお兄様と会いに行きます。」
伏せていた顔を上げたか。
隣にいるローズクォーツにも声をかける。
「んじゃ、行ってくるわ。愛しいローズクォーツ…。今日うちに帰ろうな?」
俺がそう言うとなぁ…ああ、綺麗だわ。
美しい仕草でお辞儀してきてくれてる。
「はい…。行ってらっしゃいませ。レグルス様…。」
離れたくないが…俺とレグンは生徒会室に向かった。
「ああ…全く、変な建物だわなぁ?『中央評議院』なんてよ。ここは単なる『アウレリウス中央講堂』だとしか思ってなかったぜ。」
まるで燦爛クラスの教室扉をしているような場所に立っている。
俺がぼやきつつ隣のレグンを見るが…ああ、まだ俯いて怖いのか。
クラートと会う事がよ。
「平気だレグン。俺もいるからよお。はは、俺の方こそクラートの奴と会うのに緊張してるくらいだ。レグンと…まぁ恋仲になっちまって、二股してんだからよ。」
まぁレグンはクラートの事で頭いっぱいで気づいてねえだろうが、結構他の貴族共がレグンの見た目で近づこうとしていたからな。
ったく、レグンの『緋色の魔術師団』の戦闘着と緋色のコートがわかんねえのかよ。
俺がそう言う急に嬉しそうな顔してんじゃねえか…。
「開けるぞ。」
扉が開いて奥には、やたらと豪勢な絨毯で覆われた階段が見えやがる。
ここがドームに繋がっているのか。
レグンと共に、階段を上がると…。
そこはまるでドームのように円型に広がる廊下だ。
…ほ~ん、ここの床もまたやたらと反射してくる大理石の廊下かい。
ここの3階には2つの扉があるな。
外からは緑色のドームだったが…漆喰壁で覆われてやがる。
案外廊下は狭くて『光石』がはまってやがる。
さて、中心部にある螺旋階段の上が4階…クラートがいる会議室か。
レグンと共に階段上がると…ああ、何だかわちゃわちゃ聞こえるぜ…。
階段上がって振り向いて背後には、同じく漆喰壁だが、妙に異様な、黒曜石と大理石の幾何学模様のある扉か…。
あれが生徒会長専用の部屋の扉かよ。
そして…今目の前にある、この無駄に分厚いのオーク材の扉の先が会議室かい。
「準備はいいか?レグン。」
俺が聞いて、レグンは…。
「うへへ。レグルスさんとなら大丈夫です!!」
そうか…。
ならば開けるかな!!
ガチャリと開けると…はは、ヴァールハイトの生徒会長にアルタイル会計。
んで残りの3人生徒会メンバー。
はは!エルナトの奴が俺を見てびっくりしてやがる。
そして…。
「ああ…挨拶の最中に済まねえな。シリウス会長と、アルタイル会計には許可をもらっている。申し訳ねえが邪魔させてもらいたい。んで、話に来たぜ?クラート。」
俺がクラートに声をかけると…ああ、相変わらず禍々しい紅い光を放つ魔眼だ…。
「…れ、レグン?」
奴は驚いていた。
レグルス視点での時系列がクラート視点まで追いつきました。
次回からクラート視点に戻ります。
レグルスのお話をまた書くかどうかは分かりませんが、余裕があれば書く事があるかもしれません。




