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『スキル【空間魔法】で転移ライフを謳歌する』  作者: 愛月量


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第54話 もう一度

 いやー、色々あった。

 本当にそれしか言いようがない。


 あの後、試合は引き分けになった。

 引き分けの際、賭けられたポイントは無いことになったらしい。まぁ当然といえば当然か。


それにしても──


 薄々気付いてる人も多いだろうが、今回のことでハッキリしたことがある気がする。


 成績ランキングとは、ただの枠組みでしかないということだ。


 まだ確信にまでは至っていない。

 だが、おそらくそうだ。

 成績上位に必ずしも最強と謳われる固有能力(ユニークスキル)持ちがいるとは限らない。


 現に、盗み聞きした程度だが、泡渕くんは上位に見合わない能力らしい。


「......能力の使い方、か」


 与えられた能力をどう使うか。

 そこが全てな気がする。

 俺だって想像力で賄ってきた部分が大半だ。


 空間魔法も、覇國も、変曲も。

 全部、発想から始まった。


 ......まぁ。

 そんな理屈よりも。


「楽しかった......」


 そう。

 楽しいんだ。

 どうしようもなくな。


 戦うことが。

 強い相手と向き合うことが。


 そして──

 これからもっと楽しくなる。

 俺の実力を見せるその時まで。


── ── ── ── ──


 俺は寮のベッドに横になりながら、今まで出会ってきた転移組の能力を頭の中で整理していた。


「まず、古宮は置いといて......下南かな」


 あの時見た【勇者】の文字。

 下南のランキングは分からない。

 だがユリウスに居たってことは落ちこぼれ扱いのはずだ。


「勇者って何だよ......」


 もし予想通りなら──

 勇者組と同格の力を持つ可能性すらある。

 気になる。


「次は......楠か」


 スキル名は知らない。

 ていうか見えなかった。


 あの高圧縮魔力。


 今の俺なら避けなくてもいい。

 怖くはない。

 だが──


「連射されたら面倒だな」


 完全に防戦一方になる未来が見える。

 そして。


「......あ、小松さん」


 この人のスキルが一番ロマンだ。

 正体不明。

 だが可能性として一番しっくり来るのは──


 時間系能力。


「記憶そのままで時間だけ戻る系とかありそうだな」


 もし本当なら、最強に近い能力だ。

 今度会ったら聞いてみたい。


── ── ── ── ──


 そんなことを考えながら寝る準備をしていると、外が騒がしい。


「もう寝させてくれや......」


 そう思っていた。

 だが。

 聞こえてきたのは──


「下南と楠が試合するらしいぞ!」


 その瞬間。

 俺の意識が完全に覚醒した。


「は?」


 下南と楠?

 ユリウスでの続きか?


「行くしかねぇだろ......!」


 俺はベッドから飛び起きた。


── ── ── ── ──


 練習場。

 俺がさっきまで戦っていた場所。

 今回は観客席側だ。


 人が多い。

 熱気がすごい。

 どうやら楠と下南が別の街で会っていたという話は広まっているらしい。


 一度勝負は着いた。

 だが改めてやり直す。

 そんな流れらしい。


(下南......頑張れよ)


 二人が向き合う。

 楠が笑う。


「いやさ、あの時の黒煙?だっけ。に似た魔力の持ち主がここにいる気配がするんだよねw」


「はぁ。で?」


「下南、何か知ってるんじゃないの?」


「知らねぇよ。俺だってあの後の行方は分からねぇし」


「そう?まぁいいよ」


 楠の笑顔が消える。


「てか次会ったら殺すって言った手前、ここで模擬的に殺しちゃってもいいよね」


「あ、返事はいらないよ?」


 空気が冷える。

 プラントが前に出る。


「両者、試合──始め!!」


「あはっ。早く負け姿見せろよ──【解離展開(エンプティ)】」


 空気が歪む。


「──【勇者(ペイ・ルーラー)】」


その瞬間、2人の2度目の戦いが始まる。


── ── ── ── ──


名前:下南 光太(しもみな こうた)

成績ランキング:101位

固有能力:【勇者(ペイ・ルーラー)


勇者(ペイ・ルーラー)

“他者を救う・助ける”という行動を取った際に相手から感謝をされたとき、その代償として「(自分が行った行為によって)自分が同等の苦痛・損傷・不運」を受ける。救う対象がいない場合は無傷で力を使うことができる。

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