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『スキル【空間魔法】で転移ライフを謳歌する』  作者: 愛月量


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第43話 素直さだけは評価したい

「……っ!」


息を呑んだ、その刹那。


『ム......?』


低く、疑問を含んだ声が響いた。


『確かに当てた感触はあったのだが......。其方では避けられぬとは思ったのだが』


鉤爪は、確実に俺の首を捉えていた――はずだった。


『先の対応を詫びよう。我の攻撃を初見で避ける者など、余程の実力者である』


「......は?」


 脳が、理解を拒んでいた。


な、なんだ......?

何が起こった?


俺は、何をした?


今の俺に、不意打ちに完全対応できるほどの実力はない。

それだけは断言できる。


だが――何かが、確かに行われた。


("それ"が何かは分からない)


ただひとつ言えるのは、

もし今起きた現象が、俺の思い描いていた「無敵」を誇る"壁"なのだとしたら――


それは、俺を最強へと導く一歩だ。


(......落ち着け)


俺は、必死に思考を回す。


(原理が、一切分からねぇ)


だが、手掛かりはある。


「......アイツ、確かに"感触はあった"って言ったよな」


つまり。


("そこ"にいた。けど、"そこ"には居なかった......?)


「あー!!」


 思わず叫ぶ。


「分かんねぇ!!」


脳内が、ぐちゃぐちゃになる。


『ふむ』


グリフォンが、静かに翼を広げた。


『ヒトよ。其方の希望とやらを、受け入れよう』


("居たけどいない"は、俺が原理を理解してないから無理だな)


だが。


(可能性があるやり方なら......一つ、思い浮かぶ)


『先の攻撃は敵意無しにしたのだが』


空気が、変わる。


『此方は命のやり取りだ。我も――』


魔力が、爆発的に膨れ上がった。


『本気で行かせてもらおう......ムゥ......っ!!』


「もしかしたら、この世界に来て早々にやったことかも......」


――って、は?

殺気。

有り得ないレベルの、殺気。


視界を上げると、先程より距離はある。

だが、その鉤爪が、既に迫っていた。


「やばっ......!」


話、全然聞いてなかった。

でも、

(さっきより、明らかに殺気が濃い)


つまり――

(やり合ってもいいってことだよな?)


俺は一歩、後退する。


「まずは威力測定だ」


手を振り、《虚障壁》を複数展開。


空間を個体化。

だが、正直――

(空気固めるのと大差ねぇ)


破られる未来しか見えない。


次の瞬間。

――衝突。

鉤爪が、壁に深く食い込んだ。


「止まっ......」


止まらない。


《虚障壁》は、そのまま貫通された。


「うへぇー......まじか」


思わず苦笑する。


「じゃあ、こっちも得物を出すしかないか......」


手をかざす。

顕現するは――覇國。


ぶっちゃけ、俺的ランキング最強格。

こいつが負けたら、それは死を意味する。

......って勝手に思ってる。


刀を構え、《身体強化》を自身に付与。


鉤爪を、受け止める覚悟はある。


「来いよ......っ!」


歯を食いしばる。


「たかが魔獣の一撃、受け止めてやる!!」


――衝突。


重い。

とんでもなく、重い。


身体が軋む。

衝撃を逃す技術がないことが、致命的な欠点として牙を剥く。


(弾くのは......無理だな)


「きやあああああ!!」


気合いで、どうにかした。

ただし。

手が、ジンジンしている。


『ム......埒が明かないな』


グリフォンが、冷静に告げる。


『今の姿勢、我の攻撃を受け止めることにかなり力を使っているようだ』


図星すぎ。


『一度我の攻撃を躱したことは、まぐれであるか?』


「まぐれ?」


俺は、笑った。


「笑わせんな!」


内心、心臓バクバクだが。


「お前が優勢に見えるように、力加減調整してるんだわ」


やばい。

マジで適当こいた。

死ぬ。


『ほぅ......』


グリフォンの瞳が、細められる。


『我も舐められたものよ。その言葉――』


魔力が、収束する。


『後悔するなよ』


『《天焦(てんしょう)》』


刹那、ビームのようなものがグリフォンの口から放たれた。


「うおっ!ビーム!?熱の塊!」


焼き尽くすような灼熱。


「ってことは火属性!!」


掠ったら終わり。


だが――

(空間は、溶けねぇ!)


俺は斬る。

一閃、また一閃。

灼熱の奔流を、覇國で斬り伏せる。

が、しかし。ここで武器にも得手不得手が存在することに気付く。


何で気付いたのかって?

最初は上手くやれてたさ。けど、今だと調子悪く感じる。

予想だけど、覇國は攻防の両方にステータスが伸びているというよりかは圧倒的に攻撃よりの性質なんだ。


つまり、俺が次に取る行動ってのは――


『ク、クハハハハ!!』


グリフォンが、嗤う。


『疲れが見えるぞ?この戦も、そろそろ終わりか』


翼が、大きく広がる。


『ならば、我の有終の美を飾ろうぞ』


『《双極(そうきょく)》』


「......はっ」


息を吐く。


「やるしかねぇか」


俺は、笑う。


「お前の真価を測る時が来たってことよ」


>春は血に散り、夜は怨に哭く。

>彼の世と此の世を繋ぐ花よ、我が魂を代価に今ここに咲き誇れ。

>鮮血は花弁、怨嗟は風。刃に宿りて万象を断て。


「――顕現しろ」


魔力が、世界を染める。


「妖刀――『紅桜』!!」


紅が舞った。


神話級との、本当の殺し合いが――

ここから始まる。

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