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連載エッセイの可能性について、連載エッセイ作者が語ってみた!

作者: 六野みさお

 エッセイ界のみなさん、お久しぶりです。ついに短編も連載も代表作がエッセイになってしまった六野です。今回はなろうエッセイにおける連載エッセイの有用性について考えていきます。


 さて、なろうでエッセイを書くなら短編だというのは定着した言説です。日間ランキングのほとんどを毎日短編エッセイが占めていることからもそれがよくわかるでしょう。どうしてこのようなことになっているのでしょうか。


 それは、短編エッセイはコスパがよいからです。ご存知の通り、なろうのランキングシステムはポイント(評価)至上主義です。ランキングを上げるにはポイントを増やすしかないのですが、各作品には短編と連載の別なく、一回しかポイントを入れることができません。となれば、短編を連発して高い初動を獲得し、ランキングに打ち上がり、そこで得た読者を中心に岩盤支持層を獲得し、さらに初動力を高め……というような作戦が最も有効であることは当然です。連載エッセイはあまりにもリスクが高いのです。


 しかしながら、これも周知の事実ではありますが、なろうエッセイで最も総合ポイントが多いのは連載です。例のひょろ氏の作品紹介エッセイですね。なぜ日間から月間あたりまでは短編が強いのに、総合ポイントでは逆転されてしまうのでしょうか。


 そのことを考えるにあたっては、なろう全ジャンルの総合ランキングにおけるハイファンタジーと異世界恋愛の位置付けを参考にするのがよいでしょう。異世界恋愛は日間から月間あたりまではランキング上位を占めていますが、年間になるとハイファンタジーに逆転され、総合上位はほとんどがハイファンタジーです。これは異世界恋愛は短編が多く、ハイファンタジーは長編が多いことが関係しています。


 要するに、異世界恋愛(短編)は低リスク低リターン、ハイファンタジー(長編)は高リスク高リターンなのです。短編では初動を獲得しやすいですが、一回しか更新しないため、粘りは少なくなります。対して長編ではよほどの大手でない限り初動は低めですが、何回も(場合によっては何百回、何千回も)更新するため、更新されるごとにトップページに載ることになり、実力があればじわじわと読者を増やし、完結のあかつきには大ブーストが発生します。そして、一回人気を得てしまえば、次回からは「初動が高いハイファンタジー作家」という最高のスキルを身につけることができるのです。


 我々エッセイ界においても、そのことを理解している人は多いはずです。しかし、多くの人は目先の利益に惑わされて、短編連投に逃げてしまっています。


 しかし、私がこんなことを言ったところで、「じゃあお前が連載エッセイで伸ばしてみろよ!」と言われるに決まっています。しかし、私は実は一年以上にわたって連載エッセイを書いています。毎日更新はできなかったものの、話数は114回を数え、文字数は3万を超えており、pvは1万に迫り、142ptを獲得しています。え、全然伸びてないって!? まあ落ち着いてください。こんな人材、なかなかいません。ということでここからはその結果について考察していきます。


 連載エッセイを書くにあたってまず私が考えたのは、「テーマを決める」ということです。ただの日記では他の連載エッセイと差別化を図ることができません。そこで、私は自らの得意なジャンルに引き込んで戦うことにしました。


 そんなわけで、連載エッセイのタイトルは『日刊ボーカロイド』と決定しました。ボーカロイドについてよくわからない人のために補足しておきますが、ボーカロイドは音楽のジャンルの一つで、しばしばボカロと略されます。ボカロの最大の特徴は、従来の音楽と違い、生身の人間ではなくボーカロイドとよばれる音声ソフトが歌を歌っていることです。しかしボカロ界隈ではこれまで、ボカロ界全体の動きを一手にまとめた媒体がありませんでした。私はそこに目をつけたのです。


 つまり、『日刊ボーカロイド』はジャンルを絞ったニュースエッセイとなるわけです。本当は一日の終わりに更新するのがよいのですが、あいにく私は夜には時間がないので、翌日の朝や昼を中心に、その前日の出来事を伝えることにしました。主要な新曲の紹介に始まり、ミリオンなど大台を達成した曲の紹介、タイアップの情報などを中心に、一回200文字から500文字くらいで、昨日のボカロの動きが全部わかる……という触れ込みにしました。


 ところで、なろうでは歌詞の使用が禁止されています。これは多くの音楽系エッセイを書こうとする人に大きな障害になっているのですが、私はよくある音楽の歌詞考察ではなく、音楽ニュースをエッセイの主題とすることでこの問題を解決しました。


 そんな感じで、断続的に一年間余り更新を続けてきました。いろいろなことがありました。今年の春には『強風オールバック』が大ヒットしました。また、ボカロ出身のアーティストであるAyase氏が『アイドル』を大ヒットさせました。今年の後半には『人マニア』など重音テトが人気となり、さらにYoutubeでは『少女A』が海外勢によって再評価されました。


 しかし、良いことばかりでもありませんでした。ここでは言及しませんが、いくつか不祥事について伝えなければならないこともありました。平日はあまりにも新曲が少なく、ネタ探しに苦労しました。特にりゅうちぇる氏が死去してから数日間は、新曲投稿が激減しました。もちろんその死によって伝えたいことはあったのでしょうが、音楽界にとっては有名人の急死はマイナスポイントなのです。


 この一年間、私は連載エッセイを伸ばすことの難しさに直面しながらも、なんとか更新を続けてきました。そんな中で、多くのボカロ好きのなろうユーザーさんから心温まるコメントをいただき、私の視野はさらに広がりました。さらに、Twitter(途中でXになりました)上でも、某有名Pや某有名ボカロ公式に更新報告にいいねを押していただく機会がありました。これも私のモチベーションになりました。


 しかし、前述した通り『日刊ボーカロイド』はヒットからは程遠く、一日のpvは100に満たない日も多いです。それなのに、私はどうしてこの連載を続けているのでしょうか。


 それはおそらく目的意識があるためだと思います。私は自分の連載で、他の誰にもできないことをやっているという自信があります。少なくともアイデアについては唯一無二なのです。もし今評価されなかったとしても、10年後に誰かが「そうだ、あの時代のボカロはどんな状況だったのだろう?」と思ったとき、役立つ情報を提供したいという思いがあるのです。私は読んでくれる人が一人でもいる限りこの連載を書き続けますし、将来はもっと読まれるようになるという自信を持っています。


 これから連載エッセイを書こうとする方は、ぜひ目的意識を持って書いてほしいです。これは他のジャンルにもいえることですが、「自分はこの作品を通して何を伝えたいのか?」ということがはっきりしていれば、苦しい状況も乗り越えられます。そして、努力し続ければ、必ずチャンスはやってきます。


 ここまで読んでいただきありがとうございました。面白かったら星をつけたりブクマを押したり感想を書いたりしてください。よろしくお願いします。

よければお読みください。

『日刊ボーカロイド』

https://ncode.syosetu.com/n8330hv/

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― 新着の感想 ―
[一言] 本文下部に、作品リンクがあればなおよかった
[一言] 連載エッセイ、短編に比べてポイントは本当に伸びにくいんだけど読み物として面白いものがたくさんあって、僕は結構好きです。自分自身の趣味や特技、あるいは特定のトピックに焦点を当てたエッセイは面白…
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