95話
このままではジリ貧になるので俺が出ることにするか・・・。出たくないけど。漆黒の鎧を纏う厨二病の騎士の目の前にたつ。何度か鍔迫り合いを起こしてみたのだが、受け流すのを失敗すると腕を持っていかれそうだ。
念話でコマンダーに、あとは任せたと連絡を入れた。そして、戦っているところに、ファイヤーランスをぶち込む。ゴブリンが生贄になったが仕方のないことだ。リーダー個体ではないことは確定している。そのため、魔法を連続しで放つだが、ゆっくりだが、少しずつ俺に近づいてきている。顔に当たりそうなものには剣で、払い除け。それ以外はスルーしている。
ということは、魔法は効かないな・・・。刀に手を置き抜刀の構えをとる。何も気にせずにこちらに向かってきている。
「範囲に入った。」
そう感じ、少し助走をつけ抜刀する。見事と言いたいところだった。だがそこには、刀を盾で守っていた。そのため、一旦距離を空ける。先ほどまでいた場所に剣が、通っていく。右手を握る。少し違和感があるぐらいだ。受け止められたことで、威力が少しだけ、俺に返ってきた。そのせいで、少しだけ腕に違和感ができてしまった。
牽制兼目隠しとして、ダークボールを放つ。それも一刀のもとに切り捨てられた。遅ければ、切られる。それなら、
「ファイヤーチェーン」
を発動する。火の輪っかが騎士の体を縛るように動き出す。それには当たるまいと体を動かすのだが、その動きは遅く、縛られてしまっている。と言っても固定されたのは、盾を持っていた方の手だけだ。腕ごと固定されているので、体の動きに注意することで、ガードされることは防げるだろう。
勢いよく切りかかり、土煙が上がる。これでやれただろう。そんなことを思ってはいけなかった。当たったという手応えはあった。だが、それはただ当たっただけであって、切るまでには行っていない。嫌な予感がする。そう感じるときは大体が当たる。そのため、刀で防御するように構える。
「あっぶねー。」
冷や汗が少し垂れる。なんとかガードすることができたものの、少し飛ばされてしまった。さらにあの一撃だけで刀が少し欠けている。下手するとあと一撃で、刀が折れる。さらにあのチェーンが解かれている。だが、そこには少し焼けていて溶けているようだ。
だが、走ってこないということを見ると、やはり足は遅いようだ。先ほどまでのがフェイクならば、ここで追い討ちをかけようと急いで詰めてくるはずだ。それがないということは、あのスピードが最大だった。という結論に辿り着く。
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顔の理由は視界確保のためよ。




