71話
向かいには、コボルト5体だ。先ほどと同じ作戦で、ゴブリン部隊を展開している。もちろん展開をしており、背後をとっている状態だ。あと5秒後に戦いを開始するつもりだ。もちろん展開する前にカウントダウン後に戦いを始めると伝えている。
それぐらい理解する知能はあるようだ。「5・・・4・・・3・・・2・・・1・・0!!」
戦いが始まってから、10秒後に参戦する。それまでは余裕で戦うことができると思っている。もちろん根拠はあり、今の人数差は2倍で10対5だ。もちろんゴブリンが5だ。そして反対側に俺とゴブリンマジシャンを召喚している。今回は戦うことができるのがわかっている。そのため地面に足をつけて観戦をしている。といっても今回は負ける予感がしているので、すぐ援護に行くつもりだ。
戦いが始まる。普通のコボルトの場合は、闇雲に突撃をしてきて一体ずつ殺していくことで安定した勝ち方になっていた。だが、今回のコボルトは攻撃をしてくるのをまっている。そのため、リーダー同士の指揮能力の差で決まりそうだ。
早速一体倒されてしまった。追加したのは一体のみで、おそらく最初からいたやつだろう。さっきの戦いでも余裕で勝つことができていたので、余裕だと思ったんだと思う。その舐め切った思考で突っ込んで、殺されてしまった。
だが、戦い方がわかってきたような気がする。その素早さで、攻撃してきたものを囲み、複数体で攻撃したり下がったりすることで、ヘイトを固定させないように戦っている。これなら人数が多くても勝つことができる。
だが、1体だけ後ろにいる奴がいる。そいつは、この攻撃に参加していないということから考えると、リーダー個体だと思う。そのため、後ろからファイヤーランスを飛ばす。だが、流石はリーダー個体だ。それを難なく回避してきた。この攻撃方法がバレているかのように・・・。そして俺と目が合い、こちらに迫ってくる。
だが、全く問題はない。指示を出しているのがこの個体のみなら、今やっている陣形が崩れてくる。主にダンジョン産のモンスターは、リーダーといった指揮能力持ちのモンスターが死ぬことで、指示待ちになるか、考えなしになるかのどちらかだ。
予想通り陣形が崩れ、全員で攻撃を開始してきた。それを2対1で対処している。もちろんリーダー個体は、1対1だ。一瞬で両腕を切り落としさらにその首を切りはねた。そして、こちらの援護に入ろうと近寄ってきている。
今は目の前のリーダー個体と向き合っている。素早いだけのコボルトであれば、余裕で倒すことができる。魔法は警戒されているので、避けられるのはわかっている。
ファイヤーバレットを多く展開する。もちろん避けられるのは前提だ。さらに勿体無いのだが、その毛皮を燃やそうと考えている。毛が燃え火傷をおわすことで、行動がゆっくりになったり攻撃の存在自体に怖気付くようになる。それが狙いだ。
木を蹴りながら、ファイヤーバレットを回避しつつ、俺の方に近寄ってきている。そのスピードは、通常のコボルトの1.3倍ほど早いぐらいだ。もちろん短剣で対処するつもりだ。刀であれば、当たれば一撃で切り捨てることができるかもしれない。だが、近寄られた時の対処がまだ完璧ではない。そのため対処ができる短剣を構えている。
武器を持っておらず、爪での攻撃になる。そのため一撃一撃が早い。最初の一撃を短剣で受け止める。攻撃方法は基本カウンターだ。さらに距離が開けば魔法を使うといった形になっている。やはり、後ろに下がり、俺の行動に警戒し観察をしている。
「目の前だけでいいのかな?」
言葉が通じるわけではないのだが、ついつい煽ってしまった。もちろんこれは事実で、上空にファイヤージャベリンを展開している。その数5本。それをコボルトリーダーを串刺しにするように放つ。だが、バク転で全部回避され、先ほどいた地面に突き刺さり、消えていく。
魔法を警戒しているようで、睨み合っている状況だ。もちろん俺の方が有利だが、下手すると殺されてしまうかもしれない。だが、安心することはできた。それはゴブリンリーダーの剣がコボルトの腹から貫通していた。
ゴホッと血を噴き出し、倒れ込む。さらに追い討ちで何度もその背中を刺しまくっている。ゴブリンマジシャンは使わなかったが、あと何回か戦って後に魔法を使ってもらおうと考えていたのだが、それがリーダーに変わっただけだ。問題はない。
損傷も激しかったことからドロップはなかった。
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