192話
コントロールを失った魔法が発動した。形は綺麗なことからあの後も魔力を注ぎ込んだのだろう。場所はリング内だった。それなら安心だ。リングから魔法が出ることはないと言われている。出たとしてもその魔法は解除され消える。そんな仕組みだったような気がする。
弾かれた魔法や避けられた魔法なんかが、人に当たることはない。だが、外で発動されるとこれも使うことができないので、それが問題点だ。あのコントロールを失った魔法だが、勇者君は困惑しているようだ。おそらく、範囲攻撃系の魔法を使ってこなかった弊害だろう。
勇者君は魔法について調べておらず、コントロールを失うことを知らなかった。そんな範囲魔法の一番最初に被害に遭ったのは勇者君だった。自分の魔法で自分を追い込むとはさすが勇者君だ。ダメージを受けても、その魔法は止まることはない。
ずっと勇者君の周りをうろうろしているだけだ。ずっと攻撃の中にいる勇者君。どうやって脱走するのかな?あれぐらいの攻撃だったら、普通に魔法防御力をあげていれば余裕で耐えられそうだな・・・。勇者君は、魔法使いになってなかったし、その影響が大きいのだろう。
最近の噂ではテイマーになっていたという噂もあったのだが、モンスターを連れていないことからデタラメだったのか?それとも、勇者の職業が邪魔してなることができなかったのか、どちらかだな。
10分が経過した。ついにあの魔法が解かれた。そこに立っているのはボロボロになった勇者君だ。終わりかな。敗因は自滅とかダサいな・・・。そんなことを考えていたのだが、ゆらゆらと立ち上がり、俺の方を睨んでくる。おそらく、俺が何かしたとか考えていそうだ。
ただの自滅なのにこじつけがすぎるよ。俺に近づこうと数歩進み倒れる。そのまま気絶したようだ。部長が確認をし、気絶が確定した。その結果俺の勝利だ。勇者君が気絶したことにより、審判が俺になってしまったのが最悪だったが、仕方がない。勇者君に水をかけて強制的に起こしてもよかったのだが、あの魔法が俺のせいだと考えていそうな勇者君だ。
起こした後の方がめんどくさそうだ。放置でいこう。救護班に引っ張られながらリングから退場していく。回復職も仲間にいるのだから、そいつに回復してもらえ。魔術師に次は回復魔法かな・・・。それとも回復要員を作っておく必要があるな・・・。
3年生のみでの試合は審判をしていたのだが、特に面白くはなかったので、割愛させてもらおう。
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