190話
その土煙の中から勇者が飛び出してくる。狙うは俺かな？魔法を使っている人や召喚師はこぞって近接戦闘が弱い。そこを狙ってきているのだろう。ドヤ顔をして
「取った！！」
そんなことを言っている。
「残念ー」
抜刀した刀で剣とぶつける。ステータス上では、俺の方が圧倒的に上だと思う。押し負けることもなければ、その攻撃に当たることもない。攻撃が通らなかったことで、勇者君が一旦距離を空ける。そんなことを許しはしない。刀に魔力を込め斬撃を放つ。それを何度も剣で受ける。
「制限解除<リミッターオフ>」
そんなことを呟くと同時に、勇者君が金色のオーラに包まれる。人間の動くことのできる限界を解除する魔法だ。金色なら、俺は黒か？威圧を放つと、周りの人全員が気絶確定だろうからな・・・。使えないわ。
「ここからが本気だ」
そんなことを言っているのだが、その真下は俺が仕掛けたアースランスが敷かれている。その魔法を発動するために魔力を込める。俺もそれに応えるかのように刀を構える。
「バイバイー」
魔法を発動させた。地面から出たそれによって、足が貫かれる。ちょうど飛び出したタイミングだったようだ。そのため体は、前屈みになっている。そして足を抜きそのまま俺に斬りかかろうと近づいてくる。そこに現れるのはイライラとしている騎士だ。
「時間か・・・」
暇潰しも兼ねて交互に戦おうという約束をしていた。前は進化をしていなくて、負ける可能性があったので一緒に戦った。そして進化をした。その力を勇者君で試したいらしい。俺も試したかったのだが、美味しいところだけ取られてしまったな・・・。
援護も別にいいやとなっているので、魔術師たちの方に帰る。そして見学の開始だ。念の為騎士は勇者君の攻撃を警戒しているようだ。攻撃を全て見切り避けている。だが、攻撃をしないところを見ると、舐めプをしているのだろう。少しだが、勇者君の息も上がってきている。
騎士が攻撃に転じ殴る。だが、その攻撃は剣を盾にして受けることでガードされた。その攻撃を外に受け流すことはできておらず、後ろに飛ばされている。剣を地面に突き立て、その体制を整え騎士の方を目にした時にはそいつはもう目の前だ。
頬を殴られ、飛ばされる。この時に剣を力強く握っていなかったのでここで剣はおいていかれた。その剣を騎士は握り、勇者の前に投げ地面に突き刺す。指を折り曲げ、早くかかってこいと促している。
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