189話
俺の真逆の位置にいるのは勇者君だ。もしこのまま上がっていくと、俺と勇者君との戦いが始まる。決勝を盛り上げるため、勇者君の場所は半強制的に最初に決定された。そのまま余裕で勝ち上がり、決勝で戦うことになった。前回と同様にゴブリンで行進をさせて入場させる。今度数体を選別して楽器でも覚えさせようかな?行進に楽器は付き物だし、絶対に合うと思うんだけどな・・・。
勇者君と目が合う。その目は真面目にしないのかと言っているようだ。こんなことまで真面目にしていると肩が凝るわと、目で返事を返した。気がついているのかは知らないが。リングの上に上がった途端。
「君はこんなことも真面目にしないのか・・・」
そんな呆れた声で言ってきた。わざわざ言って来んなよ鬱陶しい。目で返事をしたのに気がついていないとか、相手にするのもめんどくさい。暇つぶしにしているのに、これほどまで言われるとめんどくささを通りこして怒りが湧いてくる。
部長が合図を出す。旗が振り下ろされた瞬間に戦闘が始まる。今日はあんな失態はしたくないので、刀も装備している。殺さなかったらいいやという気持ちだ。最近聖魔法のレベルが上がり部位欠損ぐらいなら治すことができるようになった。殺さなかったら、直せばいい。戦闘中に怪我を回復させて心を折ってもいいのだが、それだと他の人が見ている中するもんじゃない。
そのため回復魔法は終わってからだ。戦闘が始まる前にゴブリンは召喚している。前も勝つことができたのだ。もう余裕だろ。まずは騎士が突撃をする。その背後からは魔術師と白狼がウィンドランスとアイスランスを放つ。騎士のスピードは、その魔法が当たってから、自分が攻撃をすることができるスピードだ。誰かさんみたいに脳死で突っ込むほど馬鹿ではない。
勇者君の一振りによって、魔法は打ち消され、騎士の攻撃を防御する。というか防御してよかったのか?前も破壊されたのに・・・。攻撃し合っている間に魔法の第2弾が完成している。俺のアースランスも地面にセットできた。そして魔法を放つ。騎士の攻撃を防御するのに精一杯で、この魔法には気がついていないようだ。
コマンダーの命令で、ギリギリまで勇者と戦う騎士。あと1mぐらいの時だった。空中に飛ぶことで魔法の攻撃を避け、勇者君に当たる。土煙が上がっている。これで決着か?そう誰もが思った。
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