186話
白狼が相手している根はぶらぶらしており、今にも切れそうな感じだ。あと1手間で切ることができる。俺のすべきことはその攻撃をするまでの時間稼ぎだろう。今までの攻撃方法は、素早さを生かして根の攻撃を避けて、カウンターとして魔法を放つという方法だ。なんとかダメージを与えることができているが、一歩間違えると即死の攻撃を喰らうのと変わりはない。
斬撃は通りにくいが魔法は問題なく通る。それはもうわかっている。ここで火魔法を使うと、根についている氷が全て水になる。水を得た時の効果がわからない。根が回復するのかもしれないし、花が生えてくるのかもしれない。そんなことイレギュラーには出会いたくはない。今回は、火魔法を封じ、風魔法で戦う。
「ウィンドランス」
まだヘイトは白狼が持っている状態だ。さっさと終わらせて、範囲魔法を放ちたいところだ。この魔法が当たり、ヘイトが俺へと移った。さっきと同じ根の突き刺しがやってくる。それを横にスライディングをして回避し、ファイアーエンチャントが切れている刀で、魔力を込め切り飛ばす。
騎士の方は俺たちの戦いを観察しながら何か話し合っているように見える。何を言っているのかはわからないが、そんな気がする。まだファイヤーエンチャントの効果が残っており、巻きつかれている。周りの花だが、火が回ったおかげで殲滅も終わったようだ。
その火はトレントまで迫って体を燃やしている。
「ファイヤートルネード」
トレントを中心にその魔法を放つ。たちまち周りは熱風や火に包まれる。少し近い俺でもその暑さを感じるぐらいだ。これが中心や攻撃を食らっているとなるとこれ以上の暑さになる。効果時間はおよそ8秒だ。それまでは中を見れないぐらい火がすごい速度で回っている。
8秒ほどたち、その魔法が解かれる。そこには葉がなくなり、ところどころ焦げている木がある。そして、その根元にはまだ綺麗な花が1つある。それがすごい違和感に感じ、そこに魔法を放つ。もうトレントは、焼かれたことにより動くこともできないのだろう。そのまま俺の刀に切られ、大きかったトレントや、周りの地面の割れ目が光りだす。
おそらくドロップに変わろうとしているのだろう。そのトレントがいた場所には1個の宝箱がある。その中身は種とスキルブックが2個だ。スキルブックは眷属召喚と樹魔法だ。樹魔法は、その名の通り植物を操る魔法だ。成長をさせたり逆に枯れさせたりすることができる魔法だ。
だが、眷属召喚がどこから出てきたのかだ。そこがわからないので話が進まない。人間の眷属なんて想像をすることができない。それならチーフに渡すか?そうすることで、軍師として動こくことができるだろう。ということで眷属召喚はチーフに渡った。
もう疲れたので帰っているところだ。そのための換金場にやってきている。この種がどんな種なのか気になっている。それ以外のスキルブックはもう使っている。悩んだ末あの樹魔法は俺に使った。レベル1は成長促進だった。名前の通り植物の成長率を伸ばすものだろう。
あの種次第だが、成長させるのもありかもしれない。1つだったこともありすぐに鑑定が終わった。その結果はランダムフルーツトレントの種だった。トレントはテイムされると何かを実としてつけるとされている。だが、トレントのレア個体だとその実が月ごとに変わるといったことが起きる。
そんな個体が確定ということだ。名前の通りフルーツだけだろう。だが、そんなフルーツだけというのがさらにいい。テイマーの人がダンジョンを潜るというものをやめた際に今後に着くとしたら、このトレントによるフルーツ栽培だ。それを販売することで生計を立てることができる。
レア個体と言ってもそれはフルーツのみならず、野菜も実る。そのため収入が不定期になってしまう。だが、それでも美味しいので売ることはできる。テイムがなければ育てることができないトレントだが、俺はテイムを持っているので育てることに決めた。
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